日本航空で初の女性社長就任とのニュースが大きく取り上げられる程依然日本は女性登用に後発、と欧米メディア
日本航空(1953年設立)が1月中旬、4月1日付で鳥取三津子専務(59歳)の同社初の女性社長に就任すると発表したことが大きく取り上げられた。ただ、欧米メディアは、女性役員登用が少しずつ増えているが、女性管理職はまだ他先進国に比べて後発だと辛らつに報道している(末尾記載データ参照)。なお、厚生労働省が昨年7月、従業員10人以上を抱える全国約6千社にアンケートを行ったところ、回答企業約3千社において、課長級以上の女性管理職比率は12.7%と前年比+0.4%で、2009年の10.2%より+2.5%ではあったが、伸び率は非常に低いことが分かっている。
2月1日付
『ロイター通信』は、日本航空で初の女性社長が就任するように、日本でも漸く女性役員の登用が増えつつあるが、女性管理職に至っては依然後発だと報じている。
日本航空で初の女性社長が就任するとのニュースが大きく取り上げられた。
多くの大手企業も、政府・東京証券取引所(TSE、1949年設立)、更には外国人投資家らからの圧力に遭って、女性役員の登用に努めているが、多くは弁護士・学者・公認会計士等を社外取締役として採用しているに過ぎない。...
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2月1日付
『ロイター通信』は、日本航空で初の女性社長が就任するように、日本でも漸く女性役員の登用が増えつつあるが、女性管理職に至っては依然後発だと報じている。
日本航空で初の女性社長が就任するとのニュースが大きく取り上げられた。
多くの大手企業も、政府・東京証券取引所(TSE、1949年設立)、更には外国人投資家らからの圧力に遭って、女性役員の登用に努めているが、多くは弁護士・学者・公認会計士等を社外取締役として採用しているに過ぎない。
企業統治等のコンサルティング会社プロネッド(2008年設立)がTSE上場全企業を調査したところ、約30%の女性取締役が他社役員を兼務していて、それは男性役員の倍の比率となっている。
同社は、女性管理職を育て上げ役員まで昇格させるという道筋が付けられてこなかったツケだとコメントしている。
すなわち、日本の多くの企業は、採用の段階で“総合職”と“非総合職”に分けてきていて、後者は主に事務職として女性が採用されてきており、社内で役員まで昇格する可能性はほぼなかった。
大和証券(1943年前身設立)の田代桂子代表取締役副社長(59歳)は、1月中旬に開催された世界経済フォーラム年次総会に出席した折りに『ロイター通信』のインタビューに答えて、“女性登用という多様性を見たこともない人たちに、その価値や魅力を理解させるのは大変難しい”と吐露している。
同社では、2005年から女性管理職の育成に本腰を入れてきているという。
田代氏は日本の金融業界でトップに君臨する女性役員の一人であるが、大手企業全体の中では非常に稀なケースである。
何故なら、TSE上場の大手1,836社の女性取締役や役員の比率は僅か13.4%であるばかりか、そのうち社内から昇格した女性役員はたった13%に過ぎないからである。
経営コンサルティング企業のボード・アドバイザーズ・ジャパン(2018年設立)の安田結子取締役副社長(60歳)は、“多くの企業がかつて、資格のない女性をあまり早く昇進させることはできないと言っていたが、単なる言い訳に過ぎない”とした上で、“しかし、最近では潮目が変わっていて、多くの企業からの相談の半分以上が、女性取締役や役員の求人に関わるものだ”とコメントしている。
一方、人材派遣等の大手リクルート(1963年設立)の広報担当は、“日本ではインポスター症候群(注後記)が特に強い”とし、この意識改革を女性のキャリア支援の中心に据え、“早い段階から様々な経験を経て、キャリアを積んで行くよう奨励している”と述べている。
なお、日本航空の社長に就任することになった鳥取三津子氏は記者会見で、“自分の社長就任が、キャリアや人生上の重要な出来事に悩んでいる女性たちの励みになればと期待している”とコメントしている。
(注)インポスター症候群:自分の達成を内面的に肯定できず、自分は詐欺師であると感じる傾向であり、一般的には、社会的に成功した人たちの中に多く見られる症状。1978年に心理学者のポーリン・R・クランスとスザンヌ・A・アイムスによって命名。特に社会的に成功した女性に多いとする。
(参考)女性管理職比率の世界ランキング:労働政策研究・研修機構(1990年前身設立)が昨年3月に公表した「国際労働比較」によると、①フィリピン53%、②スウェーデン43%、③米国41%、④豪州40%、⑤シンガポール38%、⑥フランス38%、⑦英国37%、⑧ドイツ29%、⑨イタリア28%、⑩マレーシア25%、⑪韓国16%、⑫日本13%。
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世界保健機関、世界の喫煙率減少を評価するも電子タバコが若年層に広がっていると警鐘【欧米メディア】
世界保健機関(WHO、1948年設立)はこの程、世界における喫煙率が減少していて、この傾向は更に続くとするも、代わって電子タバコ(注後記)利用者は増加し、かつ若年層にまで広がっていると警鐘を鳴らしている。
1月17日付
『ロイター通信』や
『ボイス・オブ・アメリカ』等は、WHOがこの程、世界の喫煙率のデータを公表し、減少傾向にあることを評価するも、代わって電子タバコが蔓延しつつあるとして、各国に規制政策の実施を訴えたと報じている。
WHOは1月16日、世界の喫煙率のデータを公表した。
それによると、世界中の15歳以上の喫煙者が2000年に13億6,200万人(喫煙率33%)だったのが、2022年には12億4,500万人(同21%)に減少しているという。...
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1月17日付
『ロイター通信』や
『ボイス・オブ・アメリカ』等は、WHOがこの程、世界の喫煙率のデータを公表し、減少傾向にあることを評価するも、代わって電子タバコが蔓延しつつあるとして、各国に規制政策の実施を訴えたと報じている。
WHOは1月16日、世界の喫煙率のデータを公表した。
それによると、世界中の15歳以上の喫煙者が2000年に13億6,200万人(喫煙率33%)だったのが、2022年には12億4,500万人(同21%)に減少しているという。
更に、2030年までには、人口は増加するものの喫煙者は12億人未満(同18%)になると推計している。
2022年の実績を地域別にみると、東南アジアが26.5%と最も高く、次いで欧州が25.3%であり、最も低いのは低中所得国の多いアフリカ地域で10%未満となっている。
なお、データ公表に当たって、WHO健康増進担当のルーディガー・クレッチ理事(59歳、2019年就任)は、次のように発言している。
・各国での喫煙抑制政策が奏功して、喫煙率が下がっていることを評価。
・しかし、大手タバコ会社は、喫煙によって毎年800万人以上が早世しているにも拘らず、依然利益追求に連綿としていると非難。
・具体的には、喫煙率の低いアフリカ諸国をターゲットにして、財政支援等の手段を用いてタバコ販売増に注力していると強調。
・また、電子タバコ利用者が直近4、5年で急増していて、米・英国では150%増となっている。世界全体で3億6,200万人となっているが、データ不足であるため実際にはもっと多いと警鐘。
・特に子供も手にしやすいバニラやグミ等の電子フレーバーを付けて販売していることから、若年層にも広がっていて、将来の喫煙者予備軍が作られていると警告。
・以上を踏まえて、各国に対して、喫煙率減少を促進するためにタバコへの課税強化、販売広告の禁止や規制強化等の政策実施を訴えるのに加えて、電子タバコを禁止していない国については、子供が電子タバコに触れられないような厳格な規制導入を求めると強調。
(注)電子タバコ:化学物質が入った液体を蒸気化して吸うタバコ。バニラやグミ等何千種類もの電子フレーバーが付けられたものも販売されていて、若年層にも広がっている。
(編注)世界各国の喫煙率(2020年データ):(1)ナウル48.5%、(2)ミャンマー44.1%、(3)キリバス40.6%、(4)セルビア39.8%、(5)パプアニューギニア39.3%、(6)東ティモール39.2%、(7)ブルガリア39%、(8)レバノン38.7%、(9)インドネシア37.6%、(10)ラトビア37%、・・(19)フランス34.6%、・・(41)ロシア26.8%、(44)中国25.6%、(65)米23%、(71)ドイツ22%、(80)韓国20.8%、(88)日本20.1%
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