フランス政府、外国からのデジタル干渉に対抗するために専門機関を創設(2021/07/14)
フランスのジャン・カステックス首相は13日、海外からの情報操作に対抗するための国家機関の設立を正式に決定する政令を発表した。「外国のデジタル干渉に対する警戒と保護のための機関」である、略して「ヴィジナム」と呼ばれる新しい国家機関は、9月から活動を開始する。
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『リベラシオン』紙は、フランス政府が、海外から発信される「フェイクニュース」による情報操作戦に対抗することを決意したと報じている。2017年の大統領選挙の最終日に、マクロン大統領の選挙陣営の電子メールが大量に公開された事件や、2020年秋のイスラム原理主義者による殺傷事件後、SNS上での「反フランスキャンペーン」が繰り広げられたことなど、外国から仕掛けられてくる情報操作戦に対し、フランス政府は武装することを決定した。...
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『リベラシオン』紙は、フランス政府が、海外から発信される「フェイクニュース」による情報操作戦に対抗することを決意したと報じている。2017年の大統領選挙の最終日に、マクロン大統領の選挙陣営の電子メールが大量に公開された事件や、2020年秋のイスラム原理主義者による殺傷事件後、SNS上での「反フランスキャンペーン」が繰り広げられたことなど、外国から仕掛けられてくる情報操作戦に対し、フランス政府は武装することを決定した。
フランス放送局『フランス・アンテール』によると、「ヴィジナム」は、閣僚会議の議事録では「情報操作と公的議論への外国勢力の干渉」に対応していくことを使命としていると伝えている。具体的には、「直接的または間接的に、外国の国家または外国の非国家組織が関与し、明らかに不正確または誤解を招くような、国家の基本的な利益を害する可能性のある主張または推測を、オンラインの公共通信サービスを用いて、人為的または自動化された大規模かつ意図的に広めることを目的とした活動」を特定していくという。
9月以降、ヴィジナムの仕事は、「人員増加と共に拡大していく」としており、2022年1月には50名に達することが見込まれている。アナリスト、データエンジニア、デジタルメディアの専門家などが集められる。
国防安全保障事務局(SGDSN)のステファン・ブイヨン局長は、公聴会で、ヴィジナムの「隊員はオープンソースを使って仕事をする」と述べた。「諜報活動ではなく、我々が関心を持っているのは、情報レベルで何が流行しているかということであり、それがフランスを政治的に不安定にすることを目的とした外国の国家や組織」から発せられたものであるかどうかを特定することだ」と説明した。
SGDSNは6月初めに、9月末に行われるドイツの議会選挙など、今後数ヶ月間にいくつかの選挙イベントに注視していき、「そこから学んでいく」つもりであることを明らかにした。
フランスでは大統領選挙を1年以内に控えており、フランスだけでなく米国でも過去の選挙に外国勢力が介入しようとした試みが確認されている。しかし、大統領選挙まであと1年を切っているため、この新機関が現政権のオンラインでの情報操作のツールと見なされる恐れがある。そのため、SGDSNは、その活動について「完全な透明性」を約束している。
仏『ウエストフランス』紙によると、最高行政裁判所である国家評議会のメンバーが、視聴覚評議会(CSA)に補佐されながら、倫理・科学委員会の議長を務め、「この機関の活動を監視する責任を負い、いかなる勧告も表明することができる」と政府は述べている。
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中国、コロナパスで中国製ワクチンを対象外としたフランスに対し報復措置を示唆(2021/06/18)
欧州連合(EU)が7月1日に「ヘルスパス」と呼ばれるコロナパスポートの運用を開始する。中国の在仏大使館は、中国製ワクチンをシステムから除外するという欧州連合の決定に追従するフランスに対して、中国に入国しようとするフランス人旅行者に対する規制を強化することで報復すると発表した。
仏ラジオ局
『フランス・アンテール』によると、ヘルスパスは、直近の検査で陰性であったこと、ワクチン接種が完了したこと、あるいはコロナから回復したことを証明するもので、フランスではすでに、紙とデジタルの2種類が使用できる。11歳以上から提示が義務付けられ、2021年9月30日まで使用が認められている。
しかしニュースサイト『Cnetフランス』によると、ヘルスパスでは「欧州医薬品庁が認可したワクチン」のみが認められるため、ロシアの「スプートニクV」や中国の「シノバック」などのワクチンは、対象外となる。...
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仏ラジオ局
『フランス・アンテール』によると、ヘルスパスは、直近の検査で陰性であったこと、ワクチン接種が完了したこと、あるいはコロナから回復したことを証明するもので、フランスではすでに、紙とデジタルの2種類が使用できる。11歳以上から提示が義務付けられ、2021年9月30日まで使用が認められている。
しかしニュースサイト『Cnetフランス』によると、ヘルスパスでは「欧州医薬品庁が認可したワクチン」のみが認められるため、ロシアの「スプートニクV」や中国の「シノバック」などのワクチンは、対象外となる。例えば、ロシア製のワクチンを接種しているハンガリー人は、フランスをはじめとするEU諸国に入国するためには、PCR検査を受けなければならない。欧州で認められたファイザー、モデルナ、アストラゼネカ、ヤンセンのいずれかのワクチンを接種した人のみ、PCR検査なしでEU27カ国への渡航が可能になる。
米『エポックタイムズ』によると、フランスでは6月9日から先駆けて、新しい入国規制を施行し始めた。欧州で認められたワクチンを接種した人は、フランスに入国する際に「やむを得ない理由」の提示や検疫の必要性がなくなった。
しかし、フランスはコロナの流行状況に応じて世界を緑、オレンジ、赤の3つの地域に分けており、中国はオレンジ色の地域に分類されている。そのため、中国からフランスに入国するためには「やむを得ない理由」を提示し、入国が許可された場合でも到着後7日間の検疫が求められる。
在仏中国大使館員がラジオ・フリー・アジア(RFA)に語ったところによると、中国政府はフランスに対する報復制裁として、フランスから中国に入国する際に、中国製以外のワクチンを接種した人を認めないことを明らかにした。
中国本土のメディアは6月15日、このフランスに対する報復措置を報じ、フランスからの旅行者には到着後28日間の隔離が義務付けられ、フランスが中国国民に求める期間よりもはるかに長いと付け加えた。記事は、中国製のワクチンが世界保健機関(WHO)で承認されているにもかかわらず、政治的な理由でフランスとEUに受け入れられていないと主張している。そして、中国政府の報復は「フランスに思い知らせる」ためのものだと伝えている。
フランス在住の時事評論家、ワン・ロンメン氏は、RFAに対し、中国の報復は中国人のナショナリズム感情を掻き立てるためのものだと考えられると語った。同氏は、政権の「戦狼外交」の代表者の一人である中国の盧・在仏大使が、新型コロナウイルスの起源の調査を求める欧米諸国をたびたび批判していることを指摘した。また、「中国が主張している相互制裁は馬鹿げている。フランスに住む、西洋の予防接種を受けた中国国民はどう感じるのか。彼らは中国への帰国を禁じられるのか」と述べ、EUの主要国であるフランスは、中国製ワクチンの有効性の低さや、臨床試験データの透明性の低さが報告されていることから、中国製ワクチンを承認しないことで、フランス国民に対する責任を果たしていると語っている。
フランス在住のカザフ人ジャーナリスト、アーキン・アザット氏も、中国製ワクチンを承認しないというEUの決定を賞賛した。しかし同氏は、中国の「一帯一路構想」に参加し、中国から多額の融資を受けているEUのいくつかの国が中国製ワクチンを承認していることから、EUの政策がいずれ中国政府のワクチン外交によって破られるのではないかと懸念している。
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