フランスの小さな農家が農薬大手のモンサントに勝利した。仏南西部シャラント県の穀物農家のポール・フランソワさんは、14年に及ぶ法廷闘争の末、日本の最高裁判所に相当する破毀院がモンサントの控訴を却下したことで、勝訴判決を獲得した。
『フランス アンフォ』によると、破毀院は21日、フランスの南西部の穀物生産者であるポール・フランソワさんが、農薬大手のモンサントが販売している除草剤「ラッソ」の被害者であることを認めた。ポールさんが除草剤「ラッソ」によって健康被害を受けたと判断し農薬会社の控訴を棄却した。
ポールさんはフランスアンフォのインタビューに対し「肩の荷が下りた。何よりも、モンサントはもはやこの話が捏造だと主張することができなくなる」と語り、「名誉が守られた事、それが重要だ」と付け加えた。...
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『フランス アンフォ』によると、破毀院は21日、フランスの南西部の穀物生産者であるポール・フランソワさんが、農薬大手のモンサントが販売している除草剤「ラッソ」の被害者であることを認めた。ポールさんが除草剤「ラッソ」によって健康被害を受けたと判断し農薬会社の控訴を棄却した。
ポールさんはフランスアンフォのインタビューに対し「肩の荷が下りた。何よりも、モンサントはもはやこの話が捏造だと主張することができなくなる」と語り、「名誉が守られた事、それが重要だ」と付け加えた。
ポールさんは、2004年に農薬を使用していた際、農薬から出た水蒸気を吸い込んだことで、重度の神経症を患い、一時は、長期入院を余儀なくされていた。
フランスの経済誌『キャピタル』によると、ポールさんはこれまでの判決全てで勝訴しており、4回目の今回の最終判決でも勝利した。しかし、本人は「今はあまり健康状態が良くない」と控えめに語っており、パリにある破毀院まで行く気力もなかったという。勝訴が確定したものの、「賠償手続きが残っているので、まだ終わっていない」のが実情だ。
それでも「この裁判にはビフォーアフターがある。普通の市民が多国籍企業を糾弾することができることを示している」と指摘し、「これらの製品が危険であることを示している」と述べた。そして、モンサント側の主張が全て却下された「今回の判決が他の農薬被害者にとっての判例の確立になることを願う」と付け加えた。
ポールさんの弁護士であるラフォルグ氏は、今回の判決によって「農薬被害者が自らの健康問題の原因と考えられることに対し、法的措置を取ることを検討できる道が開かれた」と語っている。
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国連総会は13日、国連人権理事会の理事国選挙を実施し、新たに15カ国が承認された。ジュネーブを拠点とする国連人権理事会は、拘束力はないものの各国の政策に影響を与えることができる決議を採択してきている。
人権理事会の理事国47カ国は、3年ごとにその3分の1が入れ替わる仕組みで運営されている。今年末で任期が切れる15カ国を改選する選挙が実施され、アジア太平洋枠から中国、東欧枠からロシア、中南米枠からキューバが選出された。
しかし、中国やロシアなどの独裁政権の選出が人権NGOらの反発を招いている。『フランス アンフォ』によると、ジュネーブに拠点を置くNGO 、「UNウォッチ」の事務局長は、「独裁政権を国連の人権裁判官に選ぶことは、放火魔の一団を消防団に入れるようなものだ」と批判している。...
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人権理事会の理事国47カ国は、3年ごとにその3分の1が入れ替わる仕組みで運営されている。今年末で任期が切れる15カ国を改選する選挙が実施され、アジア太平洋枠から中国、東欧枠からロシア、中南米枠からキューバが選出された。
しかし、中国やロシアなどの独裁政権の選出が人権NGOらの反発を招いている。『フランス アンフォ』によると、ジュネーブに拠点を置くNGO 、「UNウォッチ」の事務局長は、「独裁政権を国連の人権裁判官に選ぶことは、放火魔の一団を消防団に入れるようなものだ」と批判している。
今回、中国に関しては、60カ国以上から400以上の市民団体が反対の声を上げていた。今月6日には、国連加盟国のうちの39カ国は、国連での共同声明で中国政府による虐待に深い懸念を表明した。しかし、新疆ウイグル族の苦境をめぐり、ドイツを筆頭とする39カ国が国連で中国を批判した際、中国は59カ国の指示のもと批判に反論した。
ロシアの選出に対しても、政治囚の存在やアレクセイ・ナヴァルニーの毒殺の試み、シリアの民間人の爆撃などを理由に反対の声が上がっていた。
『フランス アンフォ』は、人権理事会の正当性に関する議論は新しいものではないと指摘している。2000年代初頭には、権威主義体制の侵入を防ぐために、元国連事務総長のコフィ・アナンによって改革された。しかし、努力の甲斐もなく、今日また同じことが起きているというのだ。
カタール『アルジャジーラ』の取材に対し、コペンハーゲン大学国際法部教授のケビン・ジョン・ヘラー氏は、次のように述べている。「ひどい人権記録を持つ国が理事会に選出されるのは残念なことだ。しかし、それが国連の煩雑とした官僚体制の性質である」と述べている。そして、「こうした結果を招くような裏取引を避ける方法はなく」、「各国が投票の際に人権記録を考慮に入れているという証拠はない」と指摘している。
しかし、ヘラー氏によると、疑わしい人権記録を持つ国を選出することには、いくつかのプラス面があるという。「人権の守護者とされる立場上、彼ら自身の人権侵害を隠蔽することをはるかに困難にする」ためだ。
理事会を創設した決議60/251によると、選出された国は、人権の促進と保護において最高水準を維持しなければならないとしている。
イスラエルの『エルサレムポスト』によると、「UN ウォッチ」のヒレル・ノイアー事務局長は、国連人権理事会の選挙を中止して、国連加盟193カ国の全加盟国に開放することを求めていた。理事会メンバーを47カ国に制限することは、人権面での実績が乏しいにもかかわらず、選挙で選ばれた国にステータスシンボルを与えることになるためだ。
ノイアー氏は、2006年に国連人権理事会を設立した決議は、その国の人権記録に基づいて理事会メンバーに選出されるべきだとしているが、その決議が守られることはほとんどない、と付け加えている。そして、「最悪の人権侵害国の多くが選出されてきたことが頻繁に起こっている。理事会の歴史が証明している」と述べている。
理事会メンバー国の任期は3年で、最大2期までと定められる。しかし、人権理事会が年々その存在意義を失っていっているという声はこれからも上がることだろう。
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