トランプ大統領はこれまで、オバマ前大統領の経済通商・移民政策はもとより、アジア重点の外交政策までことごとく批判してきた。しかし、対北朝鮮施策や貿易摩擦問題も含めた対中国関係の見直しの必要性もあってか、アジア政策についても現実的対応をするべく、11月に開催される予定の、米・東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議、東アジアサミット(注1後記)、アジア太平洋経済協力会議(APEC、注2後記)等、一連の国際会議に出席することを決めた。
4月21日付米
『フォリン・ポリシー』オンラインニュース:「トランプ大統領が東南アジア政策を成功裏に運ぶために必要なこと」
アジア歴訪中のマイク・ペンス米副大統領は4月20日、ジャカルタ(インドネシア)のASEAN本部を訪れた際、ドナルド・トランプ大統領が、11月14日にフィリピンで開催される東アジアサミット及び米・ASEAN首脳会議、更には、ベトナムで開かれるAPECにも出席すると発表した。...
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4月21日付米
『フォリン・ポリシー』オンラインニュース:「トランプ大統領が東南アジア政策を成功裏に運ぶために必要なこと」
アジア歴訪中のマイク・ペンス米副大統領は4月20日、ジャカルタ(インドネシア)のASEAN本部を訪れた際、ドナルド・トランプ大統領が、11月14日にフィリピンで開催される東アジアサミット及び米・ASEAN首脳会議、更には、ベトナムで開かれるAPECにも出席すると発表した。
トランプ大統領は先週、これまで痛烈に述べてきた批判-中国は為替操作の達人、北大西洋条約機構(NATO)は時代遅れ、輸出入銀行は不要-を引っ込めて、より現実的な対応を図る方針に切り替えており、アジア歴訪決定もその一環とみられる。
4月20日付英
『メール・オンライン』(
『AFP通信』配信):「トランプ大統領、11月の二つのサミット参加で独自のアジア政策展開」
トランプ大統領が、11月に開催される一連のアジア国際会議に参加することを決めたことについて、ペンス副大統領は4月20日、米国が同地域において“強い基盤を構築するとの確固たる責務”を果たすものだと付言した。
これまで同大統領が、“米国第一主義”を掲げ、また、環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱していることから、今回のアジア歴訪決定は驚きを持ってみられている。
4月21日付インドネシア
『インドネシア・ネットニュース』:「ペンス副大統領、トランプ大統領が一連のアジアサミットに出席と発表」
バラク・オバマ前大統領は、“アジア重点政策”の下にしばしばアジアを訪問していたが、トランプ大統領がこの政策を批判してきたことから、今回の一連のアジアサミット出席の決定について、驚きを持ってみる向きもある。
同日付香港
『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』オンラインニュース(
『AP通信』配信):「東南アジア諸国、トランプ大統領が11月の三つのアジアサミットに出席するとの報道に安堵」
オバマ前大統領が、拡大する中国を牽制する意味もあって、アジア重点政策を取って、現職大統領として初めてのミャンマー・ラオス訪問含めて、合計9度も東南アジア諸国を訪問して米国のプレゼンスを高めようとしてきたが、この政策を批判するトランプ氏が大統領に就任したこともあって、東南アジア諸国の中には、米国の対アジア政策を不安視する向きもあった。
今回発表された、同大統領による一連のアジアサミット出席決定について、設立50周年の節目にASEAN議長国となったフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領も、自身に批判的だったオバマ前大統領から親近感を覚えるトランプ大統領に代わったこともあって、同大統領の決断を歓迎している。
なお、トランプ大統領の外遊はこれが最初ではなく、5月にベルギーで開催されるNATOサミット、及びイタリア(シチリア島)での主要7ヵ国(G-7)首脳会議にまず出席予定である。
(注1)東アジアサミット:東アジアにおける緊密な経済圏形成を目指して、2005年12月、ASEAN+日中韓の13ヵ国でクアラルンプール(マレーシア)において第1回首脳会を開催。2007年1月のセブ島(フィリピン)における第2回から印豪NZを加えて16ヵ国に、そして更に2011年11月のバリ島(インドネシア)における第6回から米ロが加わり、合計18ヵ国にて開催。今年が第12回の開催となる。
(注2)APEC:環太平洋地域における、多国間経済協力を進めるための非公式なフォーラムで1989年、日米加韓豪NZ+ASEAN(当時は6ヵ国)の12ヵ国で発足。その後、中国・台湾・香港・メキシコ・パプアニューギニア・チリ・ペルー・ロシア・ベトナムが加わり、合計21ヵ国・地域となって毎年1度、首脳会議及び閣僚会議(外交・経済担当相)を開催。シンガポールに常設事務局。
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