ジョンソン英首相続投へ
英国のボリス・ジョンソン首相は6日夜、「パーティーゲート」のスキャンダルに伴う与党保守党内の反乱によって引き起こされた信任投票で、賛成わずか211票と6割に満たない僅差の勝利で留任することになった。フランスメディアはジョンソン政権の弱体化を報じている。
仏
『レゼコー』は、辞任の危険は当面は去ったものの、211人の議員が新任に賛成したのに対し、148人が退陣を求める票を投じたと伝えている。180人以上の議員が不信任の票を投じていれば、ジョンソンは辞任に追い込まれていた。今後、1年間はジョンソン首相に対する信任投票を行うことができない。一見すると、これで2024年の次の総選挙までは安泰だと思われるが、英国政治には、首相が信任投票で勝利しても、後に辞任に追い込まれる前例があると指摘している。...
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『レゼコー』は、辞任の危険は当面は去ったものの、211人の議員が新任に賛成したのに対し、148人が退陣を求める票を投じたと伝えている。180人以上の議員が不信任の票を投じていれば、ジョンソンは辞任に追い込まれていた。今後、1年間はジョンソン首相に対する信任投票を行うことができない。一見すると、これで2024年の次の総選挙までは安泰だと思われるが、英国政治には、首相が信任投票で勝利しても、後に辞任に追い込まれる前例があると指摘している。テリーザ・メイ前首相は、2019年に信任投票で勝利し、続投出来たものの、その6ヵ月後に辞任に追い込まれている。
なお、2週間後には、イングランド南部のティバートンでは、保守党が敗北する可能性のある選挙が行われる予定であり、『レゼコー』は、「これが新たな落とし穴になる可能性がある」と伝えている。
辞任を求めている与党議員たちは、パーティーゲートをめぐる透明性の欠如と、その結果として生じた信頼の喪失を非難している。しかし、不満の理由はこれだけではない。北アイルランド議定書、ルワンダへの不法移民の移送、テレビ局チャンネル4の民営化など、ジョンソン政権の重要な政策に対しても一部議員たちの間で不満が溜まっている。最新世論調査では、ジョンソン首相の辞任に賛成する人は59%であった。
仏『BFMTV』は、ジョンソン首相はスキャンダルや国民と与党内の怒りにもかかわらず、ここ数ヵ月、特にロシアのウクライナ侵攻に対する西側の対応でリーダーシップを発揮したことで持ちこたえている、と伝えている。また、英国で12年間政権を担ってきた保守党の中に明確な後継者がいないことも、彼を後押ししていると指摘。特に、長く党内で人気の高かったリシ・スナック財務大臣が、生活費高騰の折、妻の脱税疑惑にさらされて以来、首相の存在感が増しているという。しかし、長い間、その風変わりで大胆な性格が人気を集めていたものの、今ではそうした側面が多くのイギリス人を悩ませていると伝えている。
仏紙『ルフィガロ』は、ジョンソン首相は政治家として不滅であるかのように見えるが、イメージの修復に苦労しており、ますます「レームダック」化しつつあるのではないかと指摘している。
なお『ユーロニュース』によると、英国メディアでは、タイムズ紙はジョンソン首相を「傷ついた勝利者」と表現し、フィナンシャルタイムズ紙は、僅差での勝利は「首相に大きなダメージを与え、党内の分裂と反感の程度が明らかにした」と報じた。ガーディアン紙は「首相は新任投票の屈辱の後、権力に固執する」と伝え、デイリーミラーは「パーティーは終わった、ボリス」という見出しで報じた。
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英米豪、極超音速兵器開発で連携へ
米英豪は、軍備拡張する中国に対抗する目的で、3国の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」のもと、極超音速兵器開発や情報共有で協力することを明らかにした。
4月5日付米
『フィナンシャルタイムズ』:「バイデン、米英豪が極超音速兵器で協力と発表」:
米英豪は、軍備拡張する中国に対抗する目的で、3国の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」のもと、極超音速兵器開発で協力する。
バイデン米大統領は、モリソン豪首相とジョンソン英首相との共同声明で、3国は「自由で開かれたインド太平洋地域」へのコミットメントの一環として、極音速兵器を含む数分野で協力を強化すると発表した。...
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4月5日付米
『フィナンシャルタイムズ』:「バイデン、米英豪が極超音速兵器で協力と発表」:
米英豪は、軍備拡張する中国に対抗する目的で、3国の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」のもと、極超音速兵器開発で協力する。
バイデン米大統領は、モリソン豪首相とジョンソン英首相との共同声明で、3国は「自由で開かれたインド太平洋地域」へのコミットメントの一環として、極音速兵器を含む数分野で協力を強化すると発表した。インド太平洋地域における中国の台頭へのけん制とみられる。
昨年3国は、豪への核搭載潜水艦供与で米英が安全保障の枠組み「AUKUS」に合意した。今回の合意を前に、米国防総省は、中国の技術革新を念頭に、極超音速兵器開発を強化している。中国は音速の5倍以上で飛行するミサイル実験を数百回行っており、これは米軍の実験をはるかにしのぐ回数である。昨年中国のミサイルは南極に達しており、米国の防衛能力の問題点を浮き彫りにした。
極超音速ミサイルの難点は、軌道が安定し迎撃が容易な弾頭ミサイルと違い、非常に高速なため軌道がぶれる点にある。自国のシステムがない英国は、米豪と技術協力し、いずれ独自の極超音速プログラムを開発するか、防衛に注力するか決定するとみられる。また、豪は27億ドルを投資しミサイル性能増強に充てると発表しており、米レイセオン・テクノロジーズやロッキー社と提携し製造拠点を確立するとみられている。
4月6日付豪『AAP』:「オーカス、極超音速兵器で連携へ」:
英米豪は、新たな防衛協力の必要性が高まっていることを受け、極超音速兵器や電子戦闘能力での協力強化を発表。
昨年9月のオーカス発足に伴い、豪はフランスとの潜水艦開発契約を破棄し、米英が支援することとなったが、3国は、情報共有や防衛革新分野でも協力を強化する。米豪は既に極超音速兵器プログラム「SCIFiRE」(サザンクロス統合飛行研究実験)で連携している。英国当局は、このプログラムに参加はしないが、選択肢を拡大するため、同分野の研究開発で協力する。米政権は、ロシアによるウクライナ侵攻により欧州の安全保障の懸念が高まったことを受け、音速の5倍で飛行する極超音速ミサイルの研究開発を強化している。
英米豪の共同について、中国のチャン・ジュン(張軍)国連大使は5日、「中国の諺では、自分が嫌なことを、他人にしてはいけないと言うが、ウクライナ紛争のような危機を招く対応である」等と警戒感を示している。
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