トランプタワー盗聴疑惑(2017/03/17)
トランプ米大統領は、オバマ前政権が昨年の大統領選中に監視対象としてトランプタワーが盗聴されていたと以前ツイッターで発言し調査を指示しているが、政府の超党派の情報委員会や議員らは確たる「根拠・証拠はない」との見解を示している。大統領のスパイザー報道官の会見では、FOXニュースのアナリストによる情報として、米情報機関でなく英国の電子情報機関(GCHQ)が盗聴の指示をしたと指摘され、英国情報機関はこの発言は“馬鹿げている、ナンセンスだ”との異例の声明を出している。盗聴の真偽が疑問視される中、トランプ大統領は「今後2週間にかけ(盗聴に関する)興味深い情報」が出されるだろうと発言。連邦捜査局(FBI)のコミー長官は次週月曜の公開公聴会で質問攻めに合うと見られ、証拠提出を求める圧力が一層高まると見られている。
3月16日付英国
『メールオンライン』は「オバマ氏がトランプタワーを盗聴した証拠がない、上院情報委員会幹部」との見出しで以下のように報道している。
上院情報委員会の議員2人、リチャード・バー情報委員長(ノースカロライナ州)とマーク・ワーナー副委員長(バージニア州)は共同声明で、「収集された情報を基にするとトランプタワーが盗聴されたとの情報は見られなかった」とし、トランプ大統領が主張した「オバマ盗聴」疑惑を確たる証拠がないと述べた。...
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3月16日付英国
『メールオンライン』は「オバマ氏がトランプタワーを盗聴した証拠がない、上院情報委員会幹部」との見出しで以下のように報道している。
上院情報委員会の議員2人、リチャード・バー情報委員長(ノースカロライナ州)とマーク・ワーナー副委員長(バージニア州)は共同声明で、「収集された情報を基にするとトランプタワーが盗聴されたとの情報は見られなかった」とし、トランプ大統領が主張した「オバマ盗聴」疑惑を確たる証拠がないと述べた。この声明は上院の情報委員会が3月4日のトランプ氏のツイッター発言を同様に否定する内容発表した次の日に出された。民主党のアダム・シフ(加州)と共和党のデヴィン・ヌネス(加州)も「大統領の主張を裏付ける証拠はこれまで出ていない」と同様の見解を示唆した。ヌネス氏は「国家情報局は上院情報委員会が先端技術文書へアクセスするのをあまり歓迎しないようだった」、また「ラングレーのCIA(本部)に存在する証拠を検証するための適切なコンピュータ技術を教えたかは不明。それを検証中だ」とも述べているという。
同日付
『AP通信』は「トランプの側近が盗聴問題で尻つぼみ」との見出しで以下のように報道している。
トランプ大統領のオバマ氏盗聴疑惑で補佐官や政権からその証拠の提供が出来ず、大統領はますます孤立している。水曜セッションズ司法長官は、証拠がないとし、共和党のヌネス情報委員会議長も証拠がないと発言。トランプ氏の発言を額面通りに受け取れないとした。水曜のFOXでのインタビューでトランプ大統領は今後2週間で面白いものが出てくるだろうと言っている。スパイザー報道官は、トランプ大統領はオバマ政権で承認されていた通常の偵察の事に言及したのだろうとし、火曜、大統領は司法省が証拠を示すとの「自信を持っている」と述べた。
だが、証拠が出ないとトランプの信頼感を著しく傷つける。ロシアと取引があるのではとの疑惑が生まれる。
下院司法委員会のリンジー・グラハム議長はじきにFBIは極秘の聞き取りを行うだろう。召喚権限を使いFBIから盗聴命令が出ていたのかに関する情報を得る可能性にも示唆していた。
長くトランプの補佐をしているロジャーストーンはロシア関連のハッカーとオンラインで交信したがその権限は外国の機関から情報取集するため政府に与えられたようだと述べている。当時彼は米国政府がハッカーがロシアと関連があると気づいていないと思っていたが、必要なら公聴会などの場で証言するつもりだといっている。
同日付米国
『フィナンシャルタイムズ』は「英情報機関がトランプによるスパイ批判をはねつけ」との見出しで以下のように報道している。」との見出しで次のように報道している。
通常は口の堅い電子情報機関(GCHQ)は、米トランプ大統領のスパイザー報道官が繰り返しオバマ元大統領がGCHQを使って汚い事をやったと述べた事に対し、異例のコメントを出した。スパイザー氏は「偵察技術が使われたという証拠はない」、「NSAもCIAもFBIも司法省も使っておらず、GCHQを使った」とFOXニュースの政治アナリスト、アンドリュー・ナポリターノの名をだし発言。
GCHQのスポークスマンは、「GCHQが大統領(当時候補)の盗聴の指示をしたというアンドリュー・ナポリターノの発言はナンセンスである」、「馬鹿げており、無視すべき」としている。この批判で英国の情報機関でのトランプ政権への不信感は増すだろう。
両国の情報機関どおしでは、よく裏で極秘の情報が共有されていた。ここ数か月、ロシア関連の情報収取において英国は大きな役割を果たしていたが、米国の新大統領による新政府がまだ不安定なことに懸念の声もあった。
米政府委員会は「証拠がない」としたが大統領の報道官はその結論は入手可能なすべての情報に基づいたものではないと述べている。
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ボリビアがビルゲイツの寄付を「施しは受けない」と拒否(2016/06/16)
南米チリに国境を接するボリビア。豊かな天然資源を有しつつも貧しい状態が続いており、国民の多くが貧困層と言われている。そのボリビアに対してアメリカの実業家ビル・ゲイツ氏がニワトリを寄付する意向を明らかにした。しかし、この計画はボリビア側が拒否したことで頓挫した。背景には何があるのか。各メディアは次のように報じている。
6月15日付
『ザ・ガーディアン』(英)は「ロイター通信」の記事を引用し、世界的な大物、ビル・ゲイツ氏がボリビアに対して10万羽のニワトリを寄付しようとしたが、ボリビアがこれを固辞したと報じる。
ボリビアのコカリコ国土開発大臣は「ビル・ゲイツ氏は我々が現代社会より500年遅れた状態で、生産手段の知識もなく、ジャングルで暮らしているとでも考えているのだろうか」とコメントしている。...
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6月15日付
『ザ・ガーディアン』(英)は「ロイター通信」の記事を引用し、世界的な大物、ビル・ゲイツ氏がボリビアに対して10万羽のニワトリを寄付しようとしたが、ボリビアがこれを固辞したと報じる。
ボリビアのコカリコ国土開発大臣は「ビル・ゲイツ氏は我々が現代社会より500年遅れた状態で、生産手段の知識もなく、ジャングルで暮らしているとでも考えているのだろうか」とコメントしている。ボリビアの高官も「ビル・ゲイツ氏はボリビアが世界に誇る家禽類の生産高を有していることをよく勉強すべき」と辛らつなコメントを寄せている。
6月16日付
『フィナンシャルタイムズ』(英)は、ボリビアの大統領であるモラレス氏が、15日、ビルゲイツのニワトリ10万羽の寄付の申し出を「不快だ」として断ったと報じている。
今回の寄付の計画は、ビル・ゲイツ氏と「ヘイファー・インターナショナル」という非政府組織との協力関係のもとに実現が進められていたものである。「ヘイファー・インターナショナル」は家畜の寄付を通して貧困を支援する国際団体である。当団体の主な活動地域はアフリカのサハラ地域以南が中心だが、今回の計画には貧困に苦しむボリビアも含まれていたという。ビル・ゲイツ氏は自身のブログではボリビアへの寄付については触れていないものの、今回の寄付を固辞した話はボリビア国内のニュースやインターネットを通して広まったという。ただ、先週同氏は貧困の国については触れており、その中で「貧困の中で暮らす人がニワトリを飼えば、暮らし向きが良くなることは明らかだ。もし自分がその立場だったら、ニワトリを飼うだろう」と語っている。
これに対して前出のコカリコ氏は「ボリビアの現状を知らない金持ちによる無礼な言動」とコメントしている。「ボリビア国民は十分に生産能力を有しており、ニワトリの施しは受けない。我々にもプライドがある」。
ボリビアの高官らをこれほどまでに怒らせた理由しについて同記事は、2005年にモラレス氏が大統領に就任してから、ボリビアの経済は飛躍的成長を遂げており、家禽を寄付されることがボリビアのプライドを傷つけたためではないかと分析する。実際ボリビアの経済は2005年と比べると3倍の規模で成長し、260万人が新たに中産階級に仲間入りしている。GDP(国内総生産)(国民総生産から国外投資の利益を差し引いたものであり、国内で生み出された付加価値の総額)は2006年には国民一人当たり1200ドル(約12.7万円)であったが、2015年には3119ドル(約32.9万円)にまで成長している。家禽類に関しても、ボリビア国内の家禽協会の発表によると2009年には年間1億4660万羽のニワトリを生産していたのが2014年には1億9360万羽にまで生産が伸びており、これはボリビア国民一人につき35.5キロに相当するという。
モラレス大統領は火曜日にベネズエラの危機についてコメントした米国ケリー国務長官についても、自身のツイッターで「ケリー氏は南米がアメリカの裏庭で、南米の人間が彼の家来だと考えている」と辛らつなコメントを発表し、「反アメリカ帝国主義」を強く打ち出している。
ボリビアは豊富な天然ガスと地下資源に恵まれており、ベネズエラとは異なり、物価も比較的安定している。IMF(国際通貨基金)もボリビアの経済は今年3.8%の成長を遂げ南米一となることを予測している。
同日付
『スプートニク』(ロシア)では、今回のビル・ゲイツ氏による寄付の提案は米国内の富裕層には歓迎されたが、みなボリビアの国内事情には疎かったと報じる。同記事は794億ドル(約8兆円)ともいわれるビル・ゲイツ氏の資産を持ち出し、最貧国45か国の資産の合計よりも多くを有する同氏が「なぜ、私が極貧の中で生きるならニワトリを飼うか」というタイトルで人道支援を訴えたものの、失敗に終わったとしている。
思いやりも相手の状況をよく見て行うことが大切ということか。
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