去年米国ウィスコンシン州ケノーシャで起きたBLM抗議デモ中の死傷事件に関する裁判で、アメリカの主流メディアでは、当時17歳だったカイル・リッテンハウスが先に3人の黒人男性を撃ち、違法に自動小銃を携帯して越境していたと報じられていた。しかし、先週、無罪判決で終わった裁判を通して、起訴されていたリッテンハウスについて流布されていた内容は、多くが嘘であったことが判明し、際立った偏向報道が疑問視されている。
米
『エポックタイムズ』は、議員や記者を含む著名な影響力のある人々が、誤った情報、あるいは間違った情報の発信源となっていることが専門家たちを悩ませている、と伝えている。
CBSニュースは11月21日、リッテンハウスが「戦うために武装してイリノイから車でやってきた」と報じた。11月11日のCNN「クオモ・プライム・タイム」では、ハーバード大学のコーネル・ウィリアム・ブルックス教授が「リッテンハウスは自動小銃AK-47を持っていた」とコメントした。英「インディペンデント」も、リッテンハウスが3人の黒人男性を撃ったと報じ、多くのメディアはリッテンハウスを白人至上主義者として描写した。
しかし、米『フォックスニュース』と『ナショナルレビュー』によると、裁判が進むにつれて、当時17歳だったリッテンハウスは、2020年8月25日に、職場があるウィスコンシン州ケノーシャで、職場先の人から警護を頼まれ、BLM抗議デモの間、見張りをしていた。その際、襲ってきた3人の白人男性に追い詰められ、自動小銃AR-15を使って反撃していたことが判明した。使用した銃は友人が購入したもので、イリノイ州在住の10代の若者がケノーシャの家から持ってきたものであり、リッテンハウスが持ち込んだものではないことも明らかになった。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙やニューヨーク・タイムズ紙の元編集者であるバリー・ヴァイス記者は、ウィスコンシン州が法の支配を維持していれば、2人の死者と1人の負傷者を出したこの「悲劇」は「回避できた」と主張している。「去年の夏、多くの場所で市や警察が、抗議デモの間、破壊行為や強盗から人々の財産を守る活動は行わないと宣言していた」ことを指摘した。そして、「リッテンハウスが銃を発射するまでは、暴動も暴力もなかったかのように全米のメディアが繰り返し報道したことは、実際に起きたことを理解する助けにはならなかった。私たちは皆、デモ活動で燃やされている建物を(報道画面を通して)見ていた」と語っている。
リッテンハウスは裁判で正当防衛を主張し、先週、陪審員もそれに同意した。裁判中のビデオ映像や目撃者の証言から、彼が、撃った男たち全員に襲われていたことが明らかになったため、無罪が確定した。
デポー大学のコミュニケーション学教授であるジェフリー・マッコール氏は、「リッテンハウス事件がケノーシャで起こるやいなや、既成のメディアは、自分たちが好む特定のストーリーに沿った物語をすぐに作り出した。今明らかになったように、それはリッテンハウスに関する誤った描写につながった。今では、これらのメディアは自ら作り出したストーリーに傾倒しきっているため、過去の誤りを訂正したり、正確な情報を提供したりすることができなくなっている。これは、一部のメディアがあらかじめ決められたイデオロギー的な物語に基づいて仕事をしていることを反映しているだけでなく、実際の裁判で提供された事実を報道することに対して、あまりにも怠惰であることを示している」と指摘している。
元ジャーナリストで、コロンビア・ジャーナリズム・レビューのメディア評論家であるライアン・チッタム氏は、「ニューヨーカー」誌をはじめ、報道機関の中には、リッテンハウス事件に関して優れたジャーナリズムを展開しているところもあるが、「イデオロギー的な物語に合わせることを目的とした、しばしば悪意に満ちた偏向報道」が大多数であったと述べている。「報道機関はこの事件で破壊的な力を発揮してきた。すべてのことの発端となったジェイコブ・ブレイク銃撃事件の報道から始まり、ケノーシャのBLMデモが5千万ドル(約57億円)相当の破壊行為を行っていたことを軽視したり、リッテンハウス自身と出来事の詳細を誹謗中傷したりしてきたことなどだ。」と語っている。
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初のアジア外遊中のカマラ・ハリス副大統領(56歳)は、最後の訪問地のベトナムで新型コロナウィルス(COVID-19)ワクチン提供を申し出るはずであった。しかし、ベトナム行き搭乗便が原因不明の遅延により、同副大統領のベトナム到着が数時間遅れた。そして、その隙を突くかのように、中国が先行してベトナム宛にCOVID-19ワクチンを提供している。なお、搭乗便遅延の原因として、「ハバナ症候群(注後記)」が未確認情報として挙がっている。
8月26日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「中国、ハリス副大統領の搭乗便延着の隙にベトナム宛ワクチン先行提供」
中国政府は8月25日、ベトナム訪問予定のカマラ・ハリス副大統領搭乗便の延着の隙を突いて、ベトナム宛にCOVID-19ワクチンを先行提供した。
そもそも同副大統領は、今回のベトナム訪問を機会に、米・ベトナム関係強化及びアジア地域での中国影響力に対抗していく一環で、ベトナム宛に100万回分の米ファイザー製ワクチンを無償提供する予定であった。
しかし、同副大統領が搭乗した8月24日のベトナム行き便が3時間ほど延着することとなり、グエン・スアン・フック国家主席(67歳)との会談が遅延することとなった。
そしてその隙を突くかのように、中国派遣外交官がファム・ミン・チン首相(62歳)と面談し、200万回分のワクチン提供の話を先行して持ち出している。
ベトナム国営メディアによると、その際同首相は、中国政府に謝意を告げるだけでなく、“ベトナムは、他国と戦うために別の国と同盟を結ぶ意向はない”とまで表明したという。
ハリス副大統領のベトナム訪問は、国際社会の非難にも拘らず中国が一方的に進出している南シナ海領有権問題で、ベトナムとの連携を図る目的とされているが、中国側が楔を打ちこむために直前になってかかる仕業を仕掛けたものとみられる。
なお、中国が提供するワクチンはベトナム軍向けとされているが、米国提供分は一般市民向けであって、今回の提供分を含めて合計600万回分となっている。
一方、今回のベトナム行き搭乗便の遅延であるが、関係者が「ハバナ症候群」に罹ったためではないかと噂されている。
米中央情報局(CIA、1947年設立)のウィリアム・バーンズ長官(65歳)によれば、200人以上の米政府高官が同症候群に罹患しているという。
一方、同日付フランス『AFP通信』:「なぞ多き“ハバナ症候群”が米国高官を危険にさらす」
ハリス副大統領がベトナム訪問の途上、搭乗機に問題が生じたために同国到着が数時間遅延した。
これは、在ベトナム米国大使館が、彼女を狙ったとみられる“音響兵器による事件”が発生していると報告したことから、搭乗機の到着を遅延させたものとみられる。
米国務省発表によると、米政府が公式に表明してきた“異常な健康被害をもたらす事象(AHI)”が今回発生した疑いがあるとして調査を進めているという。
当該事象とは「ハバナ症候群」と呼ばれ、音響兵器によって引き起こされるとみられる頭痛・耳鳴り等の症状で、2016年頃、まず在キューバ大使館で、次に在中国、在ドイツ、在オーストリア、在台湾の米国政府施設駐在の米高官やCIA職員が被害に遭っていて、その後ワシントンでも被害が報告されている。
今年7月、『ニューヨーカー』誌が、2021年初から在オーストリア米国大使館の十数名の外交官が被害に遭っていると報じた。
国務省は、ロシアのような米敵対国の仕業だと非難する一方、罹患した高官の精密検査等を行って、今後も発生するかも知れない攻撃に備えるとしている。
ハリス副大統領に起こった事態を受けて、CIA元高官で、モスクワ駐在中の2017年に同じ被害にあったマーク・ポリメロプーロス氏は8月25日、かかる音響兵器による攻撃が増加しているとコメントした。
同氏は、“米国の敵対国が、米外交官、諜報員、また軍高官のみならず、米国トップまで何時でも攻撃できる、という攻撃的メッセージだとみられる”と付言している。
なお、アブリル・ハインズ米国家情報長官(51歳)は8月9日、バイデン政権閣僚との会議の後、“閣僚全員が当該事態に困惑している”とした上で、“AHI(ハバナ症候群)の原因究明に最優先で取り組む一方、罹患した高官について最高レベルで治療に当たること、そして、今後の事態再発防止に向けて最善を尽くす”と言及していた。
(注)ハバナ症候群:2016年以降、在キューバア米国大使館、カナダ大使館、及び在中国米国領事館職員の間で発生した一連の頭痛等の症状の通称。音響兵器による意図的な攻撃とも推測されるが、真相は不明。2021年5月、欧州やアジア(中国以外)でも新たに被害が確認され、全ての被害者の数は130人以上に上る。また、外交官だけでなく、CIAや国防総省の駐在職員も被害を受けている。
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