10月5日付仏『フランス24』は「英国作家カズオ・イシグロがノーベル文学賞受賞」との見出しで以下のように報道している。
「1989年ブッガー賞を受賞した「日の名残り(The Remains of the Day)」で知られる同氏の受賞についてアカデミーは、「彼の描く感情の力は、我々の世界との幻想的なつながりの深淵を描き出している」としている。
8つの著書、アンソニー・ホプキンス主演の映画やドラマの原作がある。...
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10月5日付仏『フランス24』は「英国作家カズオ・イシグロがノーベル文学賞受賞」との見出しで以下のように報道している。
「1989年ブッガー賞を受賞した「日の名残り(The Remains of the Day)」で知られる同氏の受賞についてアカデミーは、「彼の描く感情の力は、我々の世界との幻想的なつながりの深淵を描き出している」としている。
8つの著書、アンソニー・ホプキンス主演の映画やドラマの原作がある。同氏の著書に多いテーマは記憶、時間、空想。長崎出身、5歳で家族と渡英、その後は成人してから日本を訪問した。
高い評価を得たディストピア(闇黒郷) の作品「私を離さないで(Never Let Me Go)」(2005年出版)は、サイエンスフィクションの「冷やかな深み」を生み出したと評価された。
ドストエスフスキーやプルーストに影響を受けたという同氏の作品にはしばしば自己との葛藤を抱える主人公が登場する。最新著書「忘れられた巨人(The Buried Giant)」では、記憶と忘却、歴史と現在、幻想と現実との関係性を躍動的に表現している。
今回イシグロ氏が受賞したことにより、昨年シンガーのボブ・ディラン氏が受賞したノーベル文学賞は、主流文学への授与に戻ったといえる。」
同日付米国『ニューヨーカー』は「ノーベル文学賞のカズオ・イシグロの超越した独自の世界観」との見出しで以下のように報道している。
「誰も彼の受賞を予測しなかっただろう。だがテーマが寓話や歴史フィクション、冒険ファンタジーという点で他の英国作家ウィリアム・ジェラルド・ゴールディング(「Lord of the Flies」でノーベル文学賞)との共通点は非常に多い。どちらも時代が求める要素も考慮しつつ独自の世界観を描いている。」