中国人民解放軍は、2017年8月にアフリカ北東部のジプチに初の海外軍事基地を設営した。半永久的な権力を掌握した習近平(シー・チンピン)国家主席は、海洋大国擁立を目標に掲げて、国産空母の建設含めて更に海上覇権に積極的である。そしてこの程中国が、南シナ海覇権を更に強化することや、米軍のアジア進出に対抗することを目的としてか、南太平洋のバヌアツ(注後記)に、海外2番目となる軍事基地を建設すべく同国と協議を進めているとの報道がなされた。
4月10日付米
『CNBCニュース』(
『ロイター通信』配信):「中国、南太平洋に恒久軍事基地を設営か」
豪州の『フェアファックス・メディア』は4月10日、中国が南太平洋のバヌアツに人民解放軍(PLA)の恒久軍事基地を設営することで協議を始めたと報じた。
豪州のジュリー・ビショップ外相(61歳)は同日、バヌアツの高官から何ら公式な話となっていないと説明を受けたことを明かした。
同外相は、バヌアツは豪州の戦略的パートナーだとしながらも、中国が海外でのインフラ投資・建設に積極的に出ていることを認め、中国が同国と非公式な協議をしているかについては確認を避けた。
同豪州メディアの報道では、中国とバヌアツ両国は、PLA海軍艦船の係留や補修、また、燃料補給やそれらの保管等、初期的サービス提供について協議を始めたとしており、これが最終的には軍事基地設営に繋がっていくものとみられるとしている。
いくつかの国は、中国が最近国際援助機関等を通じて南太平洋に供与を図り、それらの国々への影響力を高めようとしていると糾弾している。
なお、中国は昨年8月、アフリカ北東部のジプチに初の海外軍事基地を建設したが、中国政府は、保障基地(海賊対策やPLA部隊・艦船の一時的駐留のための基地)であり軍事基地ではないと主張している。
同日付英『デイリィ・メール・オンライン』(『AFP通信』配信):「中国、バヌアツに恒久軍事基地設営を視野」
豪州メディア『シドニー・モーニング・ヘラルド』紙は4月10日、中国がバヌアツのポートビラ(同国首都、第二次大戦中は米軍の軍事基地)に恒久軍事基地設営の計画を有している模様だと報じた。
同紙は、もしこの話が現実となると、豪州・ニュージーランドはもとより米国にとっても、中国の南太平洋における影響力増大という問題を抱えることになるとしている。
なお、英国のチャールズ皇太子(69歳)とともに先週バヌアツを訪問した豪州のビショップ外相は、バヌアツ政府は新聞報道のようなことはないとしているし、豪州とバヌアツの関係は強固であると語っている。
また、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相(37歳)は、新聞報道の信憑性についてコメントすることはないとしながらも、同国は太平洋海域の軍事拠点化に断固として反対すると述べた。
一方、豪州のシンクタンクのロウィ・インスティテュートの試算によると、中国は2006~2016年の間、バヌアツに対して17億8千万ドル(約1,900億円)に上る経済支援を行っているという。
同日付豪州『ニュース・コム』オンラインニュース:「中国、バヌアツに軍事基地建設か」
豪州マッコーリー公立大の安全保障問題研究の専門家アダム・ロッカイヤー准教授は、中国がもし、豪州から僅か2,000キロメーター内にあるバヌアツに軍事基地を建設することになったとしたら、豪州にとって“非常に重苦しい悪夢”となろうと語った。
しかし、ビショップ外相は、このような恐れはないとし、豪州・バヌアツ間の連携は強固であると強調した。
また同外相は、豪州在バヌアツ高等弁務官(英連邦加盟国間の大使相当の代表)のカルフォー・カロリス氏も、本国の外務省は中国が同国内に恒久軍事基地建設計画を有しているとの話を承知していないと語っていると紹介した。
なお、中国国営メディア『環球時報』はその社説で、マルコム・ターンブル首相(63歳)は“反中国”の旗を掲げる急先鋒の人物だとした上で、このままではこれまで築き上げられた中豪関係が毀損されてしまうと非難している。
そこで、ロッカイヤー准教授は、豪州に警告する意味もあって、中国は今後も、かかる話を機会ある毎に持ち出してくるものと思われるとも付言した。
(注)バヌアツ:南太平洋のシェパード諸島の火山島上に位置する共和制国家。1980年7月、英仏共同統治より独立した英連邦加盟国。人口は僅か24万人。西に豪州、北にソロモン諸島、東にフィジー、南にフランス海外領土のニューカレドニアがある。
閉じる
独大手自動車会社フォルクス・ワーゲン(VW)の排ガス不正問題に関わり、世界で1,100万台以上がリコールされる事態が発覚して間もないが、今度は、VWと世界一、二位を争うトヨタにおいても、不正ではなく自発的申し出によるものではあるが、世界で650万台に上るリコール問題が発生したと各国メディアが一斉に報じた。
10月21日付
『CNNニュース』(米国)は、「トヨタ自動車は10月21日、全世界で650万台に上る車のパワー・ウィンドウに問題が発見されたとして、リコールを届け出た。北米で270万台、欧州で120万台、また、日本でも60万台が対象になるという。パワー・ウィンドウ・スウィッチの潤滑用グリースの量が不足しているものがあり、摩耗粉と水分等の浸入でショートを起こし、端子が発熱、発火する事態が11件、報告されたという。ただ、トヨタは、これまで重大な事故や怪我の報告は受けていないとした。」と報じた。
同日付
『ブルームバーグ』オンラインニュース(米国)は、「日本では、2005年1月~2006年8月と、2008年8月~2010年6月の期間に製造され、また、日本以外では、2005年8月~2006年8月、及び2009年1月~2010年12月の期間に製造された、カムリ、カローラ、ハイランダーなどが対象となるという。」と伝えた。
また、同日付
『CNBCニュース』(米国、
『ロイター通信』記事引用)は、「トヨタは今回のパワー・ウィンドウ問題の他、日本で販売したクラウン約14万台に、フード(幌)に不具合が見付かったのでリコールするとしている。」と報じた。
一方、同日付
『フランス24』オンラインニュース(仏)は、「トヨタは、パワー・ウィンドウ問題発覚の直前、タカタ社のエア・バッグ・インフレーター不具合問題でおよそ1千万台をリコールしたばかりであった。」と伝えた。
更に、同日付
『ニュース・コム・オーストラリア』オンラインニュース(豪州)は、「パワー・ウィンドウ不具合のリコール対象車は、豪州では30万台に上る。ただ、トヨタは、豪州では今のところ事故の報告が上がっていないので、実際に修理が必要な車は30万台を下回ると思われるとした。なお、トヨタ車では2012年10月に、一部の車にパワー・ウィンドウ・スウィッチ不具合が発生していたが、今回の深刻な不具合問題とは関係していないという。」と報じた。
故事「過ちては改むるに憚ること勿れ」を実践したトヨタに、日本の“謹厳、実直さ”を体現する、世界に誇れる立派な会社だとして、応援メッセージを捧げたい。
閉じる