中国南部の沿岸部に位置する広東省で新型コロナウイルスの変異ウイルスが広がっている。市当局の報告によると、感染はインドで確認されたデルタ株と英国で確認されたアルファ株が主流となっており、感染性が高い変異ウイルスは急速に広がっている。
『ニューヨーク・タイムズ』によると、広東省の医師らは今回の変異ウイルスについて、2019年末に初めて新型コロナウイルスが武漢市で広がり始めたときに見られた症状とは異なり、より危険であることがわかってきたと語っている。現場の医師たちは3日と4日、国営テレビに出演し、症状がより重たく、悪化するスピードも昨年よりはるかに早いと証言した。
医師らは、症状のある患者の5人中4人が発熱し、体内で検出されたウイルス濃度は、昨年時よりも高いレベルまで上昇し、その後はゆっくりとしか減少しないと報告している。...
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『ニューヨーク・タイムズ』によると、広東省の医師らは今回の変異ウイルスについて、2019年末に初めて新型コロナウイルスが武漢市で広がり始めたときに見られた症状とは異なり、より危険であることがわかってきたと語っている。現場の医師たちは3日と4日、国営テレビに出演し、症状がより重たく、悪化するスピードも昨年よりはるかに早いと証言した。
医師らは、症状のある患者の5人中4人が発熱し、体内で検出されたウイルス濃度は、昨年時よりも高いレベルまで上昇し、その後はゆっくりとしか減少しないと報告している。
今回の流行の中心となっている、広州市中山大学の救命救急医学部長Guan Xiangdong教授は、症状が出てから3~4日以内に最大12%の患者が重症または重篤な状態になると述べている。昨年の流行時では、重症化の割合は時に最大10%になることがあったものの、平均すると2%または3%にとどまっていたと述べている。
豪ニュースサイト『ニュース.コム.au』も、この数週間で、中国は昨年のパンデミック時には直面しなかった不穏な状況に陥っていると報じている。南部の広州市で発生した危険な変異ウイルス「デルタ」は、封じ込めようとする懸命な努力にもかかわらず、感染が拡大しており、中国で過去に発生したどの事例よりも速いスピードで広がっているという。
最初の感染者は、5月21日にレストランを訪れた75歳の女性であったことが判明した。その後、約3週間で157人の感染者が出ており、1日あたり約10人の新たな感染者が検出されているという。
市は6日から8日にかけて、全人口1,870万人を対象に検査を行った。5月26日以降、オーストラリアの全人口よりも多い2,700万人以上が検査を受けた。また、18万人以上の人口を抱える郊外では、医療検査以外の外出が禁止された。
しかし、ウイルスは市内の飲食店で急速に広がっており、広州市当局は、これまで中国が体験したどの流行よりも急速に広まっていると警告している。広州市疾病管理センターのZhang Zhoubin副所長は、記者会見で「今回、広州が直面している流行は、前例のないものであり、これに対処するためには、より毅然とした断固とした対策が必要である」と述べた。
中国がウイルス対策として行っていることの中には、肛門検査など、世界でも類を見ないほどの厳しいものとなっている。数十カ国からの旅行者は、中国に渡航する前から、雇用主の監督下で2週間の検疫を受けなければならない。中国に到着すると、たとえワクチンを接種していたとしても、最低でも2週間、時には3週間以上、政府が管理する検疫所で過ごさなければならない。しかし、継続的な検査は誤検出の可能性ももたらし、結果的にさらなる検査が行われ、何日も何週間も隔離されることになってしまう。
先月、上海に渡航したドイツ人は、抗体の検査で陽性だったため、病院の隔離室に3日間拘留されたと語っている。隔離後、タオルもトイレットペーパーもテレビもない部屋で、鉄板に薄いマットを敷いたベッドの上で、1日2回の採血と6回の喉からの検査、4回の鼻からの検査、2回の肛門検査を毎日受けたと語っている。本人は、2回のワクチン接種を受けていたために陽性反応が出たのではないかと述べている。
中国では、約14億人の人口に対し、8億回強の接種が行われてきた。現在のペースであれば、約3カ月で全人口にワクチンを接種できる計算になる。
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