米共和党が最近まとめたオバマケア廃止法案に対し、同党メイン州選出のスーザン・コリンズ上院議員が正式に反対の意思を表明し、議会通過はまず不可能な状況となった。多くの米メディアが報じている。
トランプ米大統領は、オバマ前大統領が推進した2010年の医療保険法の改革、いわゆるオバマケアの廃止を、2016年の大統領選挙で最も優先度の高い公約の1つに掲げて当選した。従って、今回のコリンズ上院議員の反対表明は、大きな打撃となる。事前に今回の法案を策定したリンゼー・グラハム、ビル・キャシディ両上院議員が、賛成と引き換えにメイン州への医療保険関連の資金を大幅に増額する提案をしたが、コリンズ氏はこれを受け入れなかった。同案には既にジョン・マケイン、ランド・ポールの両上院議員が反対を表明しており、コリンズ氏の反対によって、議会通過はほぼ不可能な状況となった。
コリンズ氏の反対の最大のポイントは、共和党法案が、低所得者層や障害のある子供を対象とした公的医療制度であるメディケイドへの資金提供を削減する点にある。メディケイドはメイン州の人口の20%が利用している制度だ。「50年以上法律で担保されていたプログラムに対し、そのような根本的な構造改革を行うこと、そして一番の弱者である市民への影響を評価するために慎重な審議をすることなしに、それを推し進めることは、受け入れられるものではない。」とコリンズ氏は説明した。また喘息やガン、糖尿病といった既往症のある人々のための保護を弱めること、最終的に医療保険の被保険者が大きく減らされることも、反対の理由であるとしている。
週末ペンス副大統領がコリンズ氏に電話したのに続き、トランプ大統領も25日に電話をして説得を試みた。上院は与野党の勢力が伯仲しており、52対48で共和党が多数派を構成している。9月30日までに法案を通過させる予定であるが、3人が反対しているので、共和党のミッチ・マコネル上院院内総務が今週採決に踏み切るかについては明らかでない。
野党民主党は一貫して共和党の法案を廃案に追い込もうとしており、チャック・シューマー上院院内総務は、「メディケイドを骨抜きにしようとする『トランプケア』により、数百万人もの人が健康保険を失い、混乱が起きる。」と警告している。
米CBS放送が21日から24日の間に実施し、25日に発表した最新の世論調査によると、52%と半数以上の米国人が今回の共和党案に反対しており、賛成は20%にとどまるという。
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