利下げにより出生率が上昇、英中央銀行が指摘(2019/12/25)
英国の中央銀行であるイングランド銀行が発表した最新の報告書によると、同国の政策金利の引き下げは、景気刺激策としての効果をもたらすだけでなく、出生率の引き上げにも役立つ可能性があることが判明した。
英紙
『ガーディアン』『デイリー・テレグラフ』や
『ロイター通信』などの報道によると、英中銀が20日に公表した同報告書は、世界金融危機を受けた2008~09年冬の緊急利下げ実施後、2009年に英国で誕生した子どもの数が急激に増加したとしている。2008年夏に5%だった政策金利は、2009年の3月に0.5%にまで下がり、2009年には産まれる子どもの数が1万4,500人増加。それ以降の3年間で出生率は7.5%上昇した。...
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英紙
『ガーディアン』『デイリー・テレグラフ』や
『ロイター通信』などの報道によると、英中銀が20日に公表した同報告書は、世界金融危機を受けた2008~09年冬の緊急利下げ実施後、2009年に英国で誕生した子どもの数が急激に増加したとしている。2008年夏に5%だった政策金利は、2009年の3月に0.5%にまで下がり、2009年には産まれる子どもの数が1万4,500人増加。それ以降の3年間で出生率は7.5%上昇した。
報告書を執筆した研究者らは、中央銀行が1930年代のような不況を防止するために、政策金利を史上最低水準にまで引き下げた当時の金融政策が、一般家庭での子どもを産むか否かの判断にまで影響したかを検証してみたいと考えていた。
検証結果をまとめた報告書によると、政策金利が低下すれば、これに連動する変動金利の住宅ローンを支払う家庭の支出が減って家計に余裕が生まれ、子どもをもうける家庭が増加する。実際には金利が1%ポイント下がれば、住宅ローンを借りている家庭での支払い金額が42%、すなわち1,000ポンド(約14万円)ほど減少し、出生率は推計で5%上昇することとなり、最終的に英国全体では、平均2%上昇することになるという。
一方、米国では英国とは対照的に、今回研究者らが検証した期間中に、出生率は大きく低下していた。米国では固定金利の住宅ローンが普及していることや、不動産価格が下落したことなどが原因であると分析されている。
研究者らは報告書で、「両国とも失業率が上昇次第、出生率は低下し始めたが、英国では政策金利が下がるとその傾向が反転した。米国では下降傾向が不況の間継続した。」「両国の比較の結果、米国で多くの家庭がさらに低金利の住宅ローンを利用できたなら、米国は金融危機による出生率の急激な低下を経験しなかった可能性がある。」と説明している。
報告書は、積極的な利下げに踏み切らなければ、雇用の減少や住宅価格の下落などにより、経済状況が厳しい時期には出生率は下がると指摘する。その上で、「換言すれば、英国の金融政策の出生率への刺激的効果は、景気後退の逆風を凌ぐほど十分に大きかった。」と強調した。
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英ロンドンの一部道路、ガソリン車・ディーゼル車の乗り入れ禁止を試行(2019/12/19)
英首都ロンドンのある通りで、来年からガソリン車とディーゼル車の乗り入れを禁止する計画が試行される。期間は1年半だが、一部の道路が常時排ガスゼロとなるのは英国初のことであり、地元当局は汚染削減を目指す革新的な取り組みの一環であるとしている。
『デイリー・テレグラフ』や
『AFP通信』などの報道によれば、ガソリン車やディーゼル車の乗り入れが禁止されるのは、ロンドン中心部のブルータリズム建築様式による商業・住宅複合再開発区「バービカン・エステート」の下を走る「ビーチ通り(Beech Street)」で、英国では初めての常時排ガスゼロの通りとなる。
ロンドン市中心部のシティ地区を管轄する市自治体、シティ・オブ・ロンドン・コーポレーションは16日、来年春から始まる18カ月の試行期間中、同区域を通行できるのは、歩行者、自転車、電気自動車、水素自動車、ハイブリッド車などに限定されると発表した。...
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『デイリー・テレグラフ』や
『AFP通信』などの報道によれば、ガソリン車やディーゼル車の乗り入れが禁止されるのは、ロンドン中心部のブルータリズム建築様式による商業・住宅複合再開発区「バービカン・エステート」の下を走る「ビーチ通り(Beech Street)」で、英国では初めての常時排ガスゼロの通りとなる。
ロンドン市中心部のシティ地区を管轄する市自治体、シティ・オブ・ロンドン・コーポレーションは16日、来年春から始まる18カ月の試行期間中、同区域を通行できるのは、歩行者、自転車、電気自動車、水素自動車、ハイブリッド車などに限定されると発表した。
但し、緊急車両のほかゴミ収集車や配送車、通り周辺の駐車場を利用する車は、ガソリン車などであっても通行が許される。また、ハイブリッド車については、排ガスゼロの状態で少なくとも20マイル(約32キロ)走行可能であるもののみが通行を認められる。違反した車両については、130ポンド(約1万8,600円)の罰金が科されるという。
同市自治体環境委員会のジェレミー・サイモン委員長は、「大気汚染を劇的に減らすには徹底的な対策が求められるが、この計画によって、我々の街路から有害な空気を一掃することができるだろう。」と述べた。本試行が成功すれば、計画が継続されることが考えられ、他の通りへの実施拡大も検討される可能性がある。
当局者らは本試行により、ビーチ通りの交通量が90~95%減少すると見込んでおり、2つの学校がある隣接地域周辺での大気の質の向上が図られると期待する。市自治体は声明で、「本計画は、二酸化窒素(NO2)濃度を、世界保健機関(WHO)や欧州連合(EU)が定めた大気環境の基準以内に収めることを目指す。」と説明した。試行には、大気環境面での利点だけでなく、騒音公害を減らす効果も期待されている。
今回の試行は、今年ロンドンの市内中心部全域に導入された「超低排出ゾーン(ULEZ)」とは別の取り組みだ。ULEZは、年式が古く、排ガス量の多い車の利用者から、ゾーンへの立ち入りに際し通行料を徴収するものである。
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