マレーシア;中国が推進する”一帯一路経済圏”構想下の大鉄道建設プロジェクトを中止【米・英国メディア】(2018/07/05)
7月4日付米
『ロイター通信米国版』:「マレーシア、“一帯一路経済圏”構想下の鉄道建設計画を中止」
マレーシアの鉄道建設プロジェクトの事業主体の東海岸環状鉄道(ECRL)は7月4日、建設請負企業の中国通信建設有限公司(CCCC)に対して、同プロジェクトを中止する旨通告した。
同鉄道建設プロジェクトは、中国が推進する“一帯一路経済圏(OBOR)”構想下で進められていたもので、タイ南東端の南シナ海側~マレーシア南西岸のマラッカ海峡までの688キロメーター(430マイル)を繋ぐ、マレーシア最大のプロジェクトである。...
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7月4日付米
『ロイター通信米国版』:「マレーシア、“一帯一路経済圏”構想下の鉄道建設計画を中止」
マレーシアの鉄道建設プロジェクトの事業主体の東海岸環状鉄道(ECRL)は7月4日、建設請負企業の中国通信建設有限公司(CCCC)に対して、同プロジェクトを中止する旨通告した。
同鉄道建設プロジェクトは、中国が推進する“一帯一路経済圏(OBOR)”構想下で進められていたもので、タイ南東端の南シナ海側~マレーシア南西岸のマラッカ海峡までの688キロメーター(430マイル)を繋ぐ、マレーシア最大のプロジェクトである。
同プロジェクトは、ナジブ・ラザク前政権が中国側と進めてきた。しかし、5月の総選挙で首相に返り咲いたマハティール・モハマド氏は、汚職疑惑があること、また、当初見込みより大幅コスト増となった同プロジェクトの条件再交渉を宣言していた。
同国のリム・グァン・イング財務相は、同プロジェクトの総コストは200億ドル(約2兆2,000億円)と、前政権が見積もった額を50%近くも上回っているとし、このままでは同プロジェクトは全く経済性が成り立たないとコメントした。
同相は、同プロジェクト再開にはコスト大幅削減が必須で、その交渉のために近々訪中する予定だという。
なお、CCCCは声明で、プロジェクト中止の決定にはとても“当惑”しており、本事業のために既に雇用している地元の2,250人余りの従業員や、その他関連事業の雇用者についてどう対応すべきか“大いに懸念”していると述べている。
ただ、同社は、マレーシア政府の決定に従わざるを得ないが、出来るだけ早く建設再開が可能となることを期待しているとも付言した。
一方、マレーシア新政権は、シンガポールと共同で進めてきた、シンガポール~クアラルンプール間高速鉄道建設プロジェクトについても中断を決定している。
7月5日付英『デイリィ・メール・オンライン』(『ロイター通信』配信):「マレーシアのマハティール首相、200億ドルの中国投資プロジェクト凍結を発表後、訪中を検討」
マレーシア政府が、中国からの支援を受けて進めていた200億ドル超の鉄道建設プロジェクト凍結を発表した。
同政府はまた、同じく中国資本が投下される予定の二つのパイプライン敷設プロジェクトの中止を決定している。
マレー半島西岸に600キロメーター(373マイル)敷設される石油輸送パイプラインと、ボルネオ島北東端のサバ州に662キロメーター(411マイル)敷設される天然ガスパイプライン建設計画で、両方合わせて230億ドル(約2,530億円)に上る。
ただ、政府関係者は、マハティール新首相が近々訪中することを検討していると明かした。
一方、中国側は、習近平(シー・チンピン)指導部が積極的に推進しているOBOR構想において、マレーシアのECRL建設計画は目玉の一つであるため、失敗や頓挫は許されず、何らかの対応策を講じるものと期待されている。
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香港返還21周年記念日に民主化活動家らが中国圧力を批判して大規模デモ敢行【米・英国メディア】(2018/07/01)
香港は7月1日、英国から返還されて21周年を迎える。中国は返還当初、中英共同声明で謳われた一国二制度を採用・維持するとしたが、習近平(シー・チンピン)指導体制になってから民主化への締め付けが厳しくなってきている。特に、2014年9月の雨傘革命(注後記)以降、中国中央政府による香港民主派の監視行動や抵抗運動阻止が強化されている。そうした中、香港返還21周年になる7月1日、民主派による大規模デモが企てられている。
7月1日付米
『ロイター通信』:「中国中央指導部による締め付けが厳しくなる中、香港民主派が数万人規模のデモを呼び掛け」
英国から中国に返還されてから21周年に当る7月1日、香港の民主化活動家らが、中国中央政府からの厳しい締め付けに抵抗する意思を示すため、数万人規模のデモ行進を呼び掛けている。
デモを呼び掛けた民主化活動家サミー・イップ氏は、このデモは香港のキャリー・ラム(林鄭月娥、61歳)行政長官に向けられたものではなく、あくまでも、中国中央政府による香港自治権の侵害への抵抗を示すものだと語った。...
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7月1日付米
『ロイター通信』:「中国中央指導部による締め付けが厳しくなる中、香港民主派が数万人規模のデモを呼び掛け」
英国から中国に返還されてから21周年に当る7月1日、香港の民主化活動家らが、中国中央政府からの厳しい締め付けに抵抗する意思を示すため、数万人規模のデモ行進を呼び掛けている。
デモを呼び掛けた民主化活動家サミー・イップ氏は、このデモは香港のキャリー・ラム(林鄭月娥、61歳)行政長官に向けられたものではなく、あくまでも、中国中央政府による香港自治権の侵害への抵抗を示すものだと語った。
ラム長官は昨年7月1日、中国国務院(内閣に相当)によって正式に任命されて長官職に就いたが、同任命式には習近平国家主席が出席していた。
そして、同長官は7月1日朝、21周年記念式典で、自身の任期中、香港特別行政区基本法に則って「一国二制度」を維持していくと力強く演説した。
同基本法は、1997年の香港返還時に中英共同声明の下に制定されたもので、少なくとも50年間は一国二制度(自由貿易主義等を認める一応の自治権)が採用されると規定している。
ただ、例えば行政長官の選挙は制限付きで、730万人の香港市民のうち、中国中央政府から認められた約1,200人の選挙人のみの投票によって選出される。
香港では2014年、この制限付き選挙に反対して大民主化運動が発生したが、中国中央政府によって厳しく弾圧され、民主化運動は頓挫している。
同日付英『デイリィ・メール・オンライン』(『AFP通信』配信):「中国の締め付け厳格化の中、香港で数万人が反対運動」
中国中央政府は、2014年の民主化運動を契機に、香港自治への更なる締め付けを強化してきている。
そこで7月1日、英国から返還されて21周年を迎えるに当り、当時の原点である香港の自治権(一国二制度)を守るべきだと訴えて、数万人が香港の目抜き通りをデモ行進した。
市民人権擁護団体のサミー・イップ氏は、中国中央政府は今年から更にかかる反対運動への締め付けを強化し、デモ行進を弾圧しようとしていると語った。
香港警察は市民に対して、もしデモ行進に参加すれば、違法な集会の禁止規程に基づいて即時に逮捕・拘留すると警告しているが、イップ氏は、これこそ“市民への脅迫”以外の何ものでもないと主張している。
なお、デモ主導者側発表では5万人が参加したとしているが、当局は9,800人だと主張している。
(注)雨傘革命:2014年9月から12月にかけて起こった1万5千人以上の市民・学生による反政府デモ、抵抗運動。2017年の香港特別行政長官の選挙について、従来の間接・制限選挙を止めて、1人1票の普通選挙を採用するよう市民・学生が要求。これに対して、中国中央指導部が、候補者の人選は同指導部が行う条件での選挙制を提案したため、これに反発して反政府運動に発展したもの。政府庁舎前での座り込み等の抵抗運動に当り、武装警察からの催涙ガス類の攻撃に傘などを使って身を守ったことから、雨傘革命と呼称された。
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