英国のリンカーンシャイア地方に住むロイド・アッカ―ズは、子供の時からの夢を実現して消防士になった。しかし、消防士になってから直ぐに幻想を捨てたという。彼の言によると、「妻子のある34才の男性であるが1週間42時間勤務しているが年間43890ユーロ(=約700万円)の収入しかない。そのため、妻が消防士の訓練を受けて家族の収入の不足分を補おうとしている。」という。 それでもアッカ―ズ家の家計は赤字続きだという。そのため、スーパーマーケットでの週ごとの買い物では、バーゲン品探しにチャレンジし、夜になると、ロイド・アッカ―ズ氏は家中の電気器具をチェックして周り、節電に専念しているという。さらに、前の冬の暖房は、居間と2才の息子の寝室のみとしてガス代の節約をはかったと付け加えた。アッカ―ズ家の収入は、最低収入(年間78490ユーロ=約1255万円)以下で、妻帯者と子供のいる世帯として国からの援助を受けるに値するという。
英国のラフバラ大学の貧困問題の専門家のマット・パドレイ教授によると「ジョセフ・ローントリー財団は2008年から毎年、衣食住など生活に必要な額だけでなく、英国の国民として誇りのある生活を送り、一般的な社会活動にも参加できるための最低収入を計算してきた。」という。財団の計算する最低必要収入の出費内訳としては、住居の賃貸料、幼年児の養育費、職場への交通費、光熱費、下水道費、食費、思いがけない医療出費(年間3.万円を想定)さらに寄付や交際費、例えば、月1回の知人とのレストランでの食事会、1週間のバカンス旅行費、クリスマスプレゼントのための貯金、子供の水泳教室費、美容院や理髪店の費用などが含まれている。
なお、普通の英国人として誇りを持てる生活を送るための最低収入額は置かれた立場により大きな隔たりがあり、独身の退職者は1.72万ポンド(=約327万円)で子供を持つ夫婦は、6.62万ポンド(=約1258万円)と算定されている。
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3月30日付
『ザ・スペクテイター』(1828年創刊の週刊誌)は、日本在住英国人ジャーナリストが、王子製紙を始めとする日本メーカーによる少子高齢化社会即応のビジネス戦略について称賛する投稿記事を掲載している。
同誌に投稿したのは、フィリップ・パトリック氏で、東京大学の講師も務めるフリージャーナリストである。
同氏は、王子製紙の少子高齢化社会即応のビジネス転換振りに触れた上で、他の日本メーカーによる類似戦略転換を紹介し、英国にはない日本独自の風土・文化の特徴に根付くものと称賛している。...
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3月30日付
『ザ・スペクテイター』(1828年創刊の週刊誌)は、日本在住英国人ジャーナリストが、王子製紙を始めとする日本メーカーによる少子高齢化社会即応のビジネス戦略について称賛する投稿記事を掲載している。
同誌に投稿したのは、フィリップ・パトリック氏で、東京大学の講師も務めるフリージャーナリストである。
同氏は、王子製紙の少子高齢化社会即応のビジネス転換振りに触れた上で、他の日本メーカーによる類似戦略転換を紹介し、英国にはない日本独自の風土・文化の特徴に根付くものと称賛している。
同氏が紹介したのは以下どおり;
● 少子高齢化の実態
・出生数大幅減少に対し、高齢者の総人口に占める割合が増加。具体的には、15歳以下が12%弱に対して、65歳以上が約30%。100歳以上も9万人余り。
・『日経アジア』英文ニュース報道によれば、高齢者による個人消費額は若者世代を上回り、消費全体の40%近くを占めていて、2002年時からほぼ倍増。
・かかる背景より、日本のビジネスでは、ヘルスケア・衛生及びライフスタイルが優先され、TVコマーシャルで、ビタミン剤・サプリメント・エナジードリンク・歯のホワイトニング・足温器具・女性用ヘアピース等の広告が増加。
● 王子製紙
・直近10年で、高齢者用オムツ等の売り上げが乳幼児用を上回っている事態に即応して、乳幼児用紙オムツ生産を止め、高齢者用に特化すると決定。
● 富士通
・ボタンが大きく機能がシンプルなスマートフォン「らくらく」・「あんしん」を2千万台販売。
・AI装備の車椅子や、徘徊する認知症患者に装着して位置情報が確認できる電子追跡装置アプリも開発。
● TOTO
・温水便座、便座自動昇降、セルフクリーニング等を標準装備化。
● 失敗例
・介護用ロボット開発。ジェームズ・ライト氏が、「ロボットは日本を救わない;高齢者介護オートメーションの民族誌」(2023年発刊)で触れているとおり、過去20年間で2億3,800万ポンド(約455億円)も投じたのに、現状は高齢者に金銭的負担増を強いる結果。
・そこで日本政府は止む無く、介護従事用の移民を受け入れるべく移民規制を緩和。
● 日本の特性
・数々の偶発的災害に見舞われてきている日本にとって、厳しい現実を受け入れた上で、新しい現実に対応するために「改善」し、開発していくことが重要。
・従って、日本のメーカーは、マーケティング戦略や生産戦略の大きな転換にもチャレンジしていくことに長けていると評価されるが、英国企業では中々難しいと判断。
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