イスラエル、オミクロン株には効果がないとしてグリーンパスの利用を大幅に縮小(2022/02/08)
イスラエル政府は、専門家委員会の勧告により、大規模な集まりを除いて、ワクチン接種証明書「グリーンパス」の提示を不要にした。
イスラエルのメディア
『ARUTZ SHEVA』と仏誌
『レゼコー』によると、イスラエルでは7日から、政府が「感染につながる危険性が高い」と判断した場所でのみグリーンパス提示義務が適用されるという。結婚式、パーティー、クラブなど、大勢の人が集まる場所に限られる。
これまでパスの提示が必要とされていた、ホテル、レストラン、ジム、映画館など、ほとんどの娯楽施設で提示義務が廃止され、ワクチン未接種者も自由に入場することが出来るようになった。...
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『ARUTZ SHEVA』と仏誌
『レゼコー』によると、イスラエルでは7日から、政府が「感染につながる危険性が高い」と判断した場所でのみグリーンパス提示義務が適用されるという。結婚式、パーティー、クラブなど、大勢の人が集まる場所に限られる。
これまでパスの提示が必要とされていた、ホテル、レストラン、ジム、映画館など、ほとんどの娯楽施設で提示義務が廃止され、ワクチン未接種者も自由に入場することが出来るようになった。また飲食店などでは、屋外の席に限り1.5メートル以上テーブルを離すことも義務づけられなくなった。ただし、座席を固定せずに食事をするようなイベントではグリーンパスの提示義務が残る。また、高齢者施設を訪問する場合は、引き続き抗原検査が陰性であることを証明する必要がある。
こうした変更は、全ての場所で提示義務を徹底させることが困難であることと、グリーンパスの提示がオミクロン株の蔓延を防ぐのに有効ではないことが見えてきたためだという。
海外渡航に関しても、7日より、ワクチン未接種者や感染からの回復が確認されていない人でも、出国前のPCR検査の義務付けが不要となった。
オンラインニュースサイト『タイムズ・オブ・イスラエル』によると、イスラエル保健省の最高行政責任者であるナアマン・アッシュ氏は、イスラエル陸軍ラジオの番組で、「オミクロン株は、ワクチン接種者でも感染するため、グリーンパスはほとんどの場所で有効性を失っている。リスクの高い場所のみに使用を限定することにした。これはウイルスと共存していくことの一環である。」と語っている。
ドバイの衛星放送局『アルアラビヤ』によると、政府に助言する専門家パネルのメンバーである疫学者ナダヴ・ダヴィドヴィッチ氏も、ワクチン接種を受けた人々が依然として再感染していることから、グリーンパスの利用縮小は理にかなっていると述べている。同氏は、あらゆる場所で「グリーンパスの提示を継続することは、誤った保証を生み出す可能性がある。グリーンパスは、劇場のような閉鎖空間での感染を減らすものではない。主に病院や高齢者介護施設、食事や歌、踊りをするイベントなど、感染リスクの高い場所でのみ、使用する必要がある。」と述べている。ただし、2021年6月にイスラエルが行ったように、グリーンパスを完全に廃止し、感染者が再び急増したときにだけ復活させるのは「間違い」であるとも述べている。
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イスラエル、試験接種でオミクロン予防に4回目のワクチンは「不十分」と判明(2022/01/18)
イスラエルの医療機関シーバ・メディカル・センターは12月27日、4回目のファイザー社製ワクチンの安全性と有効性を検証する試験を開始し、少なくとも4カ月前に3回目のブースターを受けた健康なスタッフ150人に接種を行った。その結果、全員がオミクロン株から身を守るのに十分な抗体を持たないと判断された。
イスラエルメディア
『エルサレムポスト』によると、1月初め、試験接種の責任者は、4回目投与後、1週間で抗体レベルが5倍になったと発表した。しかしこれは、3回目の接種後と同様のレベルで、それ以上高くならなかった。責任者は、良い結果だが、期待していたものより低いと述べ、「ブースターに期待するレベルのものではない」と語っていた。7日後、抗体のレベルはさらに上昇したものの、オミクロン株の感染力に対して十分ではないようだと強調した。...
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イスラエルメディア
『エルサレムポスト』によると、1月初め、試験接種の責任者は、4回目投与後、1週間で抗体レベルが5倍になったと発表した。しかしこれは、3回目の接種後と同様のレベルで、それ以上高くならなかった。責任者は、良い結果だが、期待していたものより低いと述べ、「ブースターに期待するレベルのものではない」と語っていた。7日後、抗体のレベルはさらに上昇したものの、オミクロン株の感染力に対して十分ではないようだと強調した。「たとえ良いワクチンであっても、オミクロン株から身を守るために必要な抗体のレベルは、このワクチンには高すぎるということが分かってきた」とコメントした。なお、現段階では、4回目のワクチン接種が重症化をどの程度防ぐのかを判断するには早すぎると述べている。
イスラエルのニュースサイト『タイムズ・オブ・イスラエル』は、シーバ・メディカル・センターの責任者が「ワクチンはアルファ株とデルタ株に対しては優れているが、オミクロン株に対しては十分ではないということだ 」と述べたと伝えている。そして、重症化リスクの高い人に4回目の予防接種をするのは良い考えだとしながらも、60歳以上に予防接種を行っている現在の接種キャンペーンを、より高齢の人向けに行うように修正する必要があるのではないかと示唆したと報じている。
現地メディアは、イスラエル保健省がシーバ・メディカル・センターによる初期の試験結果の公表を好まず、病院側が圧力を受けて新たに声明を発表したと報じている。ナフタリ・ベネット首相は、データが不足しているにもかかわらず、イスラエルの4回目投与プログラムの拡大を推し進めており、16日の夜の時点で、50万人以上のイスラエル人が4回目の接種を受けている。保健省は先月、60歳以上のイスラエル人、免疫不全者、医療従事者に4回目のワクチン接種を開始した。
なお、シーバ・メディカル・センターは、健康な別の病院勤務者150人のグループに、モデルナのワクチンの4回目の試験接種を行ったが、モデルナでも、同様の結果が得られたという。
イスラエル紙『ハアレツ』によると、オミクロン株は感染してから最初の3日間が最も感染力が強く、80%から85%が最初の5日間のうちに感染していることが分かってきた。これを受けて、イスラエル政府は感染者の隔離時間を7日から5日に短縮することを決定した。
ベネット首相は、感染者や隔離されている人の数が多いことが「経済に大きな負担を与えている」とし、この変更は国民の健康を守ると同時に経済活動を可能にするものであると説明している。
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