ロシア退役将校協会、プーチン大統領にウクライナ侵攻への反対を表明(2022/02/16)
プーチンがウクライナとの国境で軍事的圧力を強めているなか、ロシアの将校団のなかには彼の行動に反対する者が出てきている。退役将校の批判は、ロシア内部で意見が一致していないことを示唆しているのかもしれない。
アメリカの政治専門紙
『ザ・ヒル』によると、全ロシア将校協会の会長であるレオニード・イワショフ退役大佐が、ウクライナとの対立を理由にプーチン大統領の辞任を求める書簡を公表した。78歳のイワショフ大佐はこの書簡に続き、ロシアのリベラル系メディア「エコー・モスクヴィ」のインタビューに応じ、自身が率いる退役・予備役将校協会の名において発言していることを強調した。
イヴァショフ退役大佐は、プーチンの批判者やロシア反体制派ではない。...
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『ザ・ヒル』によると、全ロシア将校協会の会長であるレオニード・イワショフ退役大佐が、ウクライナとの対立を理由にプーチン大統領の辞任を求める書簡を公表した。78歳のイワショフ大佐はこの書簡に続き、ロシアのリベラル系メディア「エコー・モスクヴィ」のインタビューに応じ、自身が率いる退役・予備役将校協会の名において発言していることを強調した。
イヴァショフ退役大佐は、プーチンの批判者やロシア反体制派ではない。そしてロシア軍では、大佐は2番目に高い階級である。イワショフ氏は、1991年のソ連崩壊前に国防相補佐官や国防相総務を務め、その後も軍の要職を歴任し、2001年に引退している。NATOや米軍との交渉も数多くこなした。以来、親ソ強硬派民族主義者の立場から、ロシアの軍事問題や地政学について幅広く執筆している。2011年には大統領候補として立候補したこともある。プーチン大統領をたびたび批判し、長年にわたってプーチンの辞任を何度も求めてきた。元駐ロシア大使のマイケル・マクフォール氏は、「この批判は一大事だ。かつてイヴァショフ将軍は、ロシア国防省で最も尊敬されるタカ派の指導者の一人だった。ロシアの将軍は通常、公共政策の議論に関与しない、特にイワショフのような人は。」とツイートしている。
イワショフはNATOと米国の脅威はコントロール下にあり、西側諸国からの外的脅威は差し迫っていないと主張している。したがって、ウクライナとベラルーシの国境にロシア軍を大量に増強しているのは、西側からの脅威に対処するためではない。むしろ、プーチン政権の失政によってロシア国民が苦しんでいる健康や人口問題、生活水準の崩壊、蔓延する腐敗から目をそらすためであると主張している。
イヴァショフは、プーチンモデルは、ウクライナ、クリミア、その他どの国に対しても、その優位性を何ら示していないと指摘している。むしろ、プーチンの下でロシアは国際的な「のけ者」になったと述べている。クリミアの併合は主要な国々に認められておらず、「戦争を挑発する政策」のために、ロシアはならず者国家として広く見られていると批判している。
イワショフは、もしプーチンの内部権力強化のための政策が、ロシアを「破滅的な戦争」に追い込んだ場合、その代償を払うのはプーチンのクレムリン陣営ではなく、むしろ戦闘で殺されたり、障害者となったりする専門将校や数万人のロシアの若い徴兵である、と述べている。
米ニュースサイト『スレイト』によると、ロシアの軍事新聞「赤い星」の記者を長く務め、現在はデイリー・ジャーナルの編集者であるアレクサンダー・ゴルツ氏は、最初に公開書簡を読んだとき、偽物に違いないと思ったと述べている。独立系ラジオ局「エコー・オブ・モスクワ」でイワショフが36分間のインタビューに応じたとき、初めてそれが本物であることに気づいたという。ゴルツ氏はまた、1月31日に投稿されたイワショフさんの書簡が削除されていないこと、また、反論も出て来ていないこと、退役将校協会も声を上げていないことに驚いているという。
スウェーデンの経済学者で、長年ロシアを観察してきたアスランド氏は、「全ロシア将校会議は、小規模な団体であるものの、重要なのは、イワショフのこうした行動が許されていることだ」と述べている。プーチン大統領が公開書簡を削除していないのは、「軍内部からプーチンの方針に反対する声が上がっている」とも示唆している。「おそらく、国防省、内務省、対外情報庁などの高官からなる安全保障会議内部からであろう。もし、誰か有力者がイヴァショフを守っていなければ、プーチンは今頃、彼の書簡を打ち消していただろう」と指摘している。
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難民問題:ポーランド、12月にベラルーシとの国境に壁建設を発表(2021/11/16)
ポーランド内務省は15日、現在多くの移民が集まっているベラルーシとの国境沿いに12月から壁の建設を開始し、2022年前半に完成させると発表した自国の領土に不法移民が入ってくるのを防ぐために、400km以上あるベラルーシとの国境沿いの一部に壁を建設していく。
仏紙
『ルフィガロ』によると、マリウシュ・カミンスキ内務大臣は、「我々が行わなければならない事業は、国家と国民の安全のための絶対的な戦略的で優先的な投資である」と述べた。内務省は、12月15日までに関連契約を締結し、同月下旬から作業を開始し、労働者は24時間体制の3交代で働くことを明らかにした。
この工事には約3億5300万ユーロ(約458億円)が費やされ、ポーランドとベラルーシの国境の全長の約半分に当たる180kmに及ぶ工事が予定されている。...
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仏紙
『ルフィガロ』によると、マリウシュ・カミンスキ内務大臣は、「我々が行わなければならない事業は、国家と国民の安全のための絶対的な戦略的で優先的な投資である」と述べた。内務省は、12月15日までに関連契約を締結し、同月下旬から作業を開始し、労働者は24時間体制の3交代で働くことを明らかにした。
この工事には約3億5300万ユーロ(約458億円)が費やされ、ポーランドとベラルーシの国境の全長の約半分に当たる180kmに及ぶ工事が予定されている。先月、国会で建設の許可が下った。
ポーランドでは夏以降、主に中東からの何千人もの移民がこの国境を越え、あるいは越えようとしている。その結果、ポーランドは数千人の兵士を国境地帯に送り込み、非常事態を宣言するとともに、急遽、鋭利な鉄条網を設置した。
アメリカのニュースサイト『スレイト』によると、ヨーロッパではこれまでも、スペインがモロッコとの国境沿いに、あるいはハンガリーが移民の「バルカンルート」を断ち切るためにセルビアとクロアチアの国境などに壁を設置してきた。
今回、ポーランドはベラルーシとの国境に壁を作ろうとしているが、両国は歴史的に深いつながりを持っているという。例えば、ベラルーシのグロドノやブレストなどの都市は、ポーランド共和国の一部として存在していた時期があった。現在、ベラルーシ人でカトリックを信仰している人は、ポーランドまたはリトアニア出身の人が多い。
しかしポーランドは、フランスと共同で、ロシアと親しいベラルーシのルカシェンコ政権に対する制裁政策を強力に推進してきたため、ベラルーシは、自国の体制の存続を脅かす隣国に対して報復措置を講じようとしている。
『スレイト』によると、ルカシェンコ大統領は、隣国を不安定にするために、不法移民ネットワークを組織し、イラン、イラク、シリア、アフガニスタンからトルコやアルメニアを経由してきた人たちを利用して、ポーランドやバルト海の近隣諸国を脅かしているという。1日に500人近くの移民がポーランド国境を通って欧州連合(EU)への入国を試み、そのうちの何人かは国境周辺の森で命を落としている。
ポーランド側はこうした状況を、人道的な災害の結果ではなく、ベラルーシ当局が仕掛けた「ハイブリッド戦争」の結果だと考えている。ポーランドには現在、ロシア側からの社会の不安定化の動き、中東からの移民、ポーランドとベラルーシ、ウクライナなど東側の国々との経済格差など、いくつかの課題がつきまとっている。
このような背景から、ポーランド当局は、EUからの資金援助なしに、3億5300万ユーロをかけて180キロの壁を建設することを決議した。
アメリカのニュースサイト『ブライトバート』によると、ポーランドのマテウス・モラヴィエツキ首相は14日、ベラルーシとの間の移民問題に対し、NATO第4条の発動をめぐってリトアニアおよびラトビアの首脳と協議していることを明らかにした。
北大西洋条約機構(NATO)の第4条では、加盟国が 「いずれかの締約国の領土保全、政治的独立、安全保障が脅かされている 」と感じた場合、協議を求めることができるとされている。
ポーランドの副外相も14日、第4条の発動について「もちろん、我々は第4条を使う可能性を常に検討しているが、第4条の後には第5条が続く。すなわち同盟国軍への武力支援の要請があることを忘れてはならない、これはエスカレートする可能性もある。もし、第4条を使う必要があるならば、他の29の同盟国の全面的な支持を得ている。必要であれば、第4条を使うことに全く問題ない、ただし相手側を静め、エスカレートさせるようなことがない適切なタイミングになる」と述べた。
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