日本主導のTPPか、それとも中国主導のRCEPか、どちらが早く成立?<米・英・シンガポール・中国メディア>(2017/05/23)
5月21日付Globali「米国抜きのTPPの行方は?(2)」の中で、“アジア太平洋経済協力会議(APEC)閣僚会合の機会に、米国を除く環太平洋経済連携協定(TPP)メンバー11ヵ国による閣僚会議を開いたが、今年11月開催のAPEC首脳会議までに、TPPを早期に発効させる選択肢につき各国で検討した上で再度協議するとの共同声明を出しただけで終わっている”と報じた。そして今度は、元々TPPに属していない中国が、米国抜きのTPPに将来はないとの判断の下、中国中心の地域包括的経済連携(RCEP、東南アジア諸国連合(ASEAN)+日中韓印豪NZの16ヵ国)を前進させるべく、メンバー国閣僚会議を開催したが、特に関税の自由化率に強く反対するインドなどの抵抗もあって、目立った進展はみられなかった。なお、会合の成果の点で、日本・中国メディアと米英他メディアの報道内容に開きがみられる。
5月22日付米
『ロイター通信米国版』:「中国主導の貿易協定で対立が表面化」
APEC閣僚会合の機会を捉えて、中国が主導するRCEPメンバー国が5月22日、ハノイ(ベトナム)で閣僚会合を開催したが、メンバー国間の対立が表面化しただけで、大きな進展はみられなかった。
RCEPは2012年から協定成立に向けて動き出したが、RCEPメンバーのうちTPP加盟国がTPP交渉を優先したことより、具体的進捗がみられなかった。...
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5月22日付米
『ロイター通信米国版』:「中国主導の貿易協定で対立が表面化」
APEC閣僚会合の機会を捉えて、中国が主導するRCEPメンバー国が5月22日、ハノイ(ベトナム)で閣僚会合を開催したが、メンバー国間の対立が表面化しただけで、大きな進展はみられなかった。
RCEPは2012年から協定成立に向けて動き出したが、RCEPメンバーのうちTPP加盟国がTPP交渉を優先したことより、具体的進捗がみられなかった。しかし、今年初めの米国のTPP離脱宣言を受けて、中国がRCEPに注力し始めたものである。RCEPは、日中韓印豪NZとASEANを加えた計16ヵ国がメンバーで、総人口35億人余りを誇る貿易圏となる。
TPPに比べてRCEPは、協定対象となる知的財産権事業や電子商取引等の制約が緩く、しかも労働者の権利や環境規制などの条件も付されていないにも拘らず、例えばインドは、自国の競争力が失われるとして、関税の自由化率について真っ向から反対している。
会合後にニュージーランドのトッド・マクレー貿易相は、進展がない訳ではないが、年末までに合意まで漕ぎ着けるのは至難の業だと語った。
同日付英
『メール・オンライン』(
『AP通信』配信):「アジア太平洋地域の閣僚、貿易協定合意に向けて会合」
RCEP閣僚会合に出席したインドネシアのラモン・ロペス通商産業相は、世界に保護主義の波が押し寄せている今こそ、RCEP協定合意に向けて前進することが重要だと述べた。また、ベトナムのチャン・トゥアン・アイン商工相も、保護主義が広がりつつある中、世界最大規模となるRCEPが成立すれば、世界に開かれた自由貿易の大切さを発信できることになると語った。
5月23日付シンガポール
『ザ・ストレーツ・タイムズ』紙:「RCEP閣僚会合で不協和音」
中国主導のRCEPは、2013年から都合17回交渉会議が開かれたが、思わぬ障害などもあって2015年末成立との目標を達成できていなかった。
今回新たにハノイで閣僚会合が持たれたが、今度は関税の自由化率の点で大きな隔たりがあることが露呈した。同会合関係者によると、インドを含めた数ヵ国が、関税率低減あるいは撤廃によって、中国との競争力を失って大幅収入源となることを懸念しているという。
5月22日付中国
『新華社通信』:「ベトナムでRCEP第3回期間閣僚会合開催」
ベトナムがホスト国となって、RCEP第3回期間閣僚会合が開かれ、域内の取引対象商品・生産物・投資などのルール作りについて協議が持たれた。
中国商務部の鐘山(チョン・シャン)部長(商務相に相当)は、中国はこの程開いた“一帯一路”国際フォーラムで示したとおり、RCEPにおいても、域内の平和的協力、開かれた取引、相互に学び収益を分かち合う関係構築に向けて取り組んでいく方針であると表明した。
同会合の議長となったベトナムのチャン・トゥアン・アイン商工相は、RCEPの目指すところは、アジア太平洋自由貿易協定の設立であることを確認し、今後その目標に向かってメンバー国が様々なレベルで協議を続けていくこととなったと述べた。
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米国抜きのTPPの行方は?(2)<米・英・NZ・シンガポール・アジアメディア>(2017/05/21)
5月5日付
Globali「米国抜きのTPPの行方は?」の中で、“米国を除く環太平洋経済連携協定(TPP)の参加11ヵ国による首席交渉官会合が、5月初めにトロント(カナダ)で開催された。日本と豪州が中心になって、米国抜きでもまずTPPを発効させ、米国が将来復帰できる道を残しておく戦略で会合をリードしようとしたが、メンバー国間に温度差があり、結局具体的進展はみられなかった”と報じた。そしてこの程、アジア太平洋経済協力会議(APEC)閣僚会合開催の機会に、TPPメンバー国による閣僚会議を開いたが、今年11月開催のAPEC首脳会議までに、TPPを早期に発効させる選択肢につき各国で検討した上で再度協議するとの共同声明を出しただけで終わっている。
5月21日付米
『CNBCニュース』:「TPPメンバー国、米国抜きでの協定締結に向けて努力することを確認」
ハノイ(ベトナム)で開催されたAPEC閣僚会議の機会を捉えて、TPPメンバー11ヵ国の担当閣僚が別途会合を開き、TPPを“迅速に”発効させる方策について検討していくことで合意した旨、5月21日に共同声明として発表した。今年11月中旬にベトナムで開催されるAPEC首脳会議までに、当該検討結果を持ち寄ることとなった。...
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5月21日付米
『CNBCニュース』:「TPPメンバー国、米国抜きでの協定締結に向けて努力することを確認」
ハノイ(ベトナム)で開催されたAPEC閣僚会議の機会を捉えて、TPPメンバー11ヵ国の担当閣僚が別途会合を開き、TPPを“迅速に”発効させる方策について検討していくことで合意した旨、5月21日に共同声明として発表した。今年11月中旬にベトナムで開催されるAPEC首脳会議までに、当該検討結果を持ち寄ることとなった。
ニュージーランドのトッド・マクレー貿易担当相は、米国の離脱でTPPが無効になったとは考えておらず、引き続きTPP発効に向けて努力していく意向だと語った。また、豪州のスティーブン・シオボ貿易・観光・投資担当相も、米市場に期待してのTPP発足であったが、TPP協定そのものの意義は依然高いものであるから、まだ先に進む余地があるとした上で、将来米国が復帰することに期待したいと表明した。
しかし、TPPメンバー11ヵ国の共同声明を受けて、米国のロバート・ライトハイザー通商代表は、米国のTPP離脱の決定には何ら変更がなく、トランプ政権は関係国と二国間交渉を行う方針であるとコメントしている。
同日付英
『ロイター通信英国版』:「TPPメンバー国、米国拒絶にも拘らずTPP発効に向けて前進することで合意」
TPPメンバー11ヵ国は、引き続きTPP発効に向けて協議を継続していくことで合意したものの、メンバー国間では、米国抜きのTPPについて評価がかなり分かれている。例えば、ベトナムやマレーシアは、米国の大市場へのアクセスを求めてTPPに署名したことから、米国が離脱した以上、TPP内条件の再協議を要求している。
なお、TPP11ヵ国は7月に日本で首席交渉官会合を持ち、11月のメンバー国首脳会議での提案に繋げられるよう協議を続ける予定である。
同日付ニュージーランド
『ニュージーランド・ヘラルド』紙:「TPPメンバー国、ハノイでの会合で次の首脳会議での決定に向けて検討課題と日程案につき合意」
ハノイでのTPPメンバー11ヵ国閣僚会議を終えて、マクレー貿易相は5月21日、メンバー国間にバラツキはあるものの、TPP発効に向けてまとまっていこうとしていると語った。また、同貿易相は、米国抜きの場合のTPPの有益性について評価するよう事務方に指示したという。
なお、ニュージーランドとしては、同国の農家・輸出業者のためにTPPのような自由貿易協定に加わっていくことが重要であり、もしそうでないと、既に優遇取引協定を有している豪州他に競争力で負けることになるとしている。
同日付シンガポール
『ザ・ストレーツ・タイムズ』紙:「シンガポール、TPP発効に向けて努力することを全面支持」
TPPメンバー11ヵ国の共同声明とは別に、シンガポールのリン・フン・キァン通商産業相は、TPPは加盟国に有益となるだけでなく、発効後のTPPに非メンバー国を誘致することもできるので、何としてでもTPPを前進させるために検討を続ける旨表明した。
なお、同相は省庁高官に対して、TPPを速やかに発効させるために必要な選択肢を導き出すべく、今後数ヵ月かけて検討するよう指示を出した。
同日付アジア
『アジアン・コレスポンデント』オンラインニュース:「TPPメンバー国、米国抜きでのTPP発効に向けて努力していくことで合意」
当初12ヵ国が署名したTPP協定であるが、米国の離脱宣言もあって、これまでに批准したのは日本とニュージーランドのみである。両国は、基本合意までに費やした過去7年間の交渉を無駄にしないためにも、TPP発効に向けて前進すべきと主張している。
一方、ベトナムとマレーシアは、米国の大市場へのアクセスに期待してTPPに署名したため、米国抜きの場合には、TPP内条件の見直しが必要だと表明している。
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