中国、平時のみならず有事の際も投入可能な大型無人船舶開発のための世界最大のテストサイトを南シナ海入口に建設【シンガポール・香港・中国メディア】(2018/02/14)
2月7日付Globali「ASEAN国防相会議で南シナ海における行動規範制定間近と期待するも、中国は着々と人工島に最新鋭4Gネットワーク導入」で触れたとおり、中国は東南アジア諸国との対話を継続する姿勢を見せる一方で、南シナ海域の中国主権と主張する島嶼・人工島の領土としての開発を着々と進めている。そして今度は、平時には貨物輸送に、有事では監視や戦闘に投入可能な大型無人船舶開発のための世界最大のテストサイトを、南シナ海入口の珠海(チューハイ)に建設し始めた。
2月13日付シンガポール
『ザ・ストレーツ・タイムズ』紙(
『AFP通信』配信):「中国、無人船舶開発のためのテストサイトの建設に着手」
中国国営メディア『新華社通信』は2月13日、中国が南シナ海入口の珠海に、平時・有事に利用可能な大型無人船舶のテストサイトの建設に着手したと報じた。完成すれば、770平方キロメーターの広さの世界最大規模のサイトになるという。
無人船舶が開発されれば、乗員スペースが不要となる分多くの貨物が積載でき、かつ、人件費がかからず大幅にコストが削減され、また、有事の際も様々な用途で投入可能という。...
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2月13日付シンガポール
『ザ・ストレーツ・タイムズ』紙(
『AFP通信』配信):「中国、無人船舶開発のためのテストサイトの建設に着手」
中国国営メディア『新華社通信』は2月13日、中国が南シナ海入口の珠海に、平時・有事に利用可能な大型無人船舶のテストサイトの建設に着手したと報じた。完成すれば、770平方キロメーターの広さの世界最大規模のサイトになるという。
無人船舶が開発されれば、乗員スペースが不要となる分多くの貨物が積載でき、かつ、人件費がかからず大幅にコストが削減され、また、有事の際も様々な用途で投入可能という。
なお、無人船舶の開発は欧州や米国で盛んに行われており、ノルウェーは今年、世界で初めて電動の自律航行貨物船を進水させる予定である。
同日付香港『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』オンラインニュース:「中国、南シナ海入口に世界最大の無人船舶テストサイト建設開始」
広東省(クワントン)の『広州(クワンチョウ)デイリィ』ニュースサイトによると、中国が建設に着手した、完成後は世界最大規模となる無人船舶開発テストサイトは、広東省珠海市が管轄する万山(マンシャン)諸島に施設を設けるという。
珠江(チューチアン)デルタ(注後記)域内に建設される万山海洋テストサイトには、最新鋭通信設備、ナビゲーション・レーダー、自動係留設備などが設営される。
同テストサイト建設報道の数日前、『人民日報』は、中国が初めて、珠江デルタ域内の東莞市(トンコワン)沖を6.8メーター長の無人船に監視航行させたと報じている。
軍事専門家によると、同テストサイト建設は、平時及び有事に投入可能な大型無人船舶を開発していく長期戦略の一環だという。
同日付中国『環球時報』:「世界最大規模の無人貨物船テストサイト建設が南シナ海で始まる」
2月12日付『科技日報』によると、アジア初、そして完成すれば世界最大規模となる無人船舶テストサイトは、771.6平方キロメーターの広さで、無人船舶開発・実験航行のための様々な設備が設営されるという。
中国当局の意図は、同サイトにおいて無人船舶の技術開発に取り組み、やがてこの分野で世界をリードすることであるとする。
なお、中国における無人操作技術開発は進んでおり、2017年12月、世界最速の国産無人自動車“天星(チアンシン)-1”を世に出している。
また、無人船舶についても、世界に先駆けて2019年に、自律航行貨物船“筋斗雲(チントーユン)”を進水させる計画である。
(注)珠江デルタ:中国珠江河口の広州、香港、深圳市(シェンチェン)、東莞市、マカオを結ぶ三角地帯を中心とする地域の呼称。英語名パール・リバー・デルタ。
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親米国家のシンガポールも中国マネーには逆らえず(?)【米・シンガポール・香港メディア】(2017/10/21)
9月21日付
Globali「インドが中国・パキスタン同盟に楔、一方中国はシンガポール抱き込みへ」の中で触れたとおり、2014年以来二度目の訪中となったシンガポールのリー・シェンロン首相を、まず李克強(リー・コーチアン)首相が出迎え、また、翌日には習近平(シー・チンピン)国家主席他幹部も同首相との会談を設定して、歓迎の意を表している。そして、中国共産党大会で、習国家主席の強力な指導体制が更に続くことになったことからか、リー首相は、遥か太平洋の彼方の大国との連携方針を微妙に変更し、同じアジアの大国に秋波を送る態度を見せ始めている。
10月20日付米
『CNBCニュース』:「アジアの首脳、米中間緊張が高まり、“どちらに付くのか”と詰問されたら困ると苦悶」
多くの国々は、現在の米中拮抗の中、それぞれと微妙にバランスを取っている状況であろう。そして、小さな島国はそれが更に必要となってこよう。
シンガポールは小さな島国ながら、世界の金融・通商の中心地となっていて、米中の二経済大国それぞれとの関係は非常に重要である。...
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10月20日付米
『CNBCニュース』:「アジアの首脳、米中間緊張が高まり、“どちらに付くのか”と詰問されたら困ると苦悶」
多くの国々は、現在の米中拮抗の中、それぞれと微妙にバランスを取っている状況であろう。そして、小さな島国はそれが更に必要となってこよう。
シンガポールは小さな島国ながら、世界の金融・通商の中心地となっていて、米中の二経済大国それぞれとの関係は非常に重要である。
同国のリー首相は10月19日、当ニュースのインタビューに答えて、苦しい胸の内を吐露した。すなわち、もし米中間の緊張が高まり、どちらかからシンガポールの立ち位置は如何かと詰問された場合、どちらか一方を選択することはできないと答えざるを得ないと語った。
しかし、同首相は、元々10月23日にドナルド・トランプ大統領を訪問する予定であったが、今年9月下旬に突然に中国を訪問している。これは多分に、この一、二年における中国の急激な軍事力増強と、習指導部の経済力に物を言わせた囲い込み政策に怖気づいたものとみられる。
すなわち、昨年7月に中国主張を全面的に退ける常設仲裁裁判所の裁定が出た際、同首相は、国際法の遵守を求めるとのコメントを出して中国の反感を買ってしまった。更に、昨年暮れ、一つの中国原則を無視するかのように、シンガポールが台湾での軍事演習に同国の軍用車を送り込んだことから、その軍用車がシンガポールへの帰途の際、中国政府の意向によって、一時的にせよ香港で差し押さえられてしまったからである。
なお、同首相は、当ニュースに対して、目下中国との関係は“良好”であるとした上で、米中両国は“将来を見据えた”関係にあるとみていると付言した。
同日付シンガポール
『ザ・ストレーツ・タイムズ』紙:「リー首相:米・シンガポール関係は戦略的な見方の一致と深い協力関係に依ると表明」
リー首相は、米
『CNBCニュース』のインタビューに答えて、米・シンガポール間の関係は、世界及び地域への戦略的な見方の一致であり、かつ、長い間培われた深い協力関係に基づいて、大変良好に推移していると語った。
しかし、同首相は更に、アジア地域は米国にとって重要だと強調した上で、米国にはもっとアジア諸国との関係を発展させ、以て同地域の平和と安定に貢献して欲しいと付言した。
なお、同首相はまた、シンガポールが来年ASEANの議長国となるので、ASEANと中国との対話をうまく運んでいく使命があるとも語り、そして、中国が推し進める“一帯一路経済政策”の一環で、シンガポールがその金融・通商の基地となることを強く望んでいるとも述べた。
一方、同日付香港
『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』オンラインニュース:「中国の不動産開発会社、シンガポールの大宅地を再び4億6,200万ドルで買収」
中国深圳市(シェンチェン、中国南端の広東省)に本拠を構える洛根(ルォカン)不動産は10月20日、シンガポール北東部の后港(ホウカン)地区の大宅地を6億2,900万シンガポールドル(4億6,200万ドル、約517億4,000万円)で取得したと発表した。
同社のデレク・リー広報部長によると、競争入札に勝ったもので、同社にとって、直近5ヵ月でシンガポールにおける二度目の大規模投資となるという。
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