英国;連日5万人超の新規感染状況より英国教職員組合が学校閉鎖の継続を要求【米・英国メディア】(2021/01/03)
英国は、西側諸国の中で最初に新型コロナウィルス(COVID-19)用ワクチン接種を開始している。しかし、COVID-19変異種も含めた感染者が年末以降連日5万人超となってしまっていることから、同国教職員組合が、年末年始の学校閉鎖期間経過後も閉鎖を継続するよう政府に訴えた。しかし、ボリス・ジョンソン首相(56歳)は、学校は安全なので、1月4日から生徒を登校させるべきだと主張している。
1月2日付米
『AP通信』:「一日の最多感染者記録更新の英国で学校閉鎖継続の要求高まる」
英国の全国教職員組合(NEU、注後記)は1月2日、全国のCOVID-19感染者が5日連続で5万人超となったことから、現行の学校閉鎖を少なくともあと2週間継続するよう政府に訴えた。
英国では1月2日、COVID-19変異種含めた新規感染者が最多記録更新となる5万7,725人となり、12月29日以来5日連続で5万人を超えている(編注;総感染者は259万9,789人)。...
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1月2日付米
『AP通信』:「一日の最多感染者記録更新の英国で学校閉鎖継続の要求高まる」
英国の全国教職員組合(NEU、注後記)は1月2日、全国のCOVID-19感染者が5日連続で5万人超となったことから、現行の学校閉鎖を少なくともあと2週間継続するよう政府に訴えた。
英国では1月2日、COVID-19変異種含めた新規感染者が最多記録更新となる5万7,725人となり、12月29日以来5日連続で5万人を超えている(編注;総感染者は259万9,789人)。
この数値は数週間前の2倍となる感染者数となるだけでなく、死者数も7万4,570人と、欧州最多のイタリア(7万4,985人)を抜く勢いで増えている。
NEUは1月2日に開いた緊急会議の結果、感染状況及び死者数増の恐れから、教職員のみならず生徒の安全を確保するため、学校閉鎖期間の延長が必須とする決断に至っている。
そこでNEUは保守党のジョンソン政権に対して、少なくともあと2週間、学校閉鎖を継続し、オンライン授業態勢とするよう要求した。
NEUのケビン・コートニィ共同代表(61歳)は、“教職員や生徒の安全が確保できる職場環境を提供する必要がある”とした上で、“「安全が確保できない」場合には、教職員は罷業する権利を有する”とも強調した。
政府の諮問機関である緊急事態対応科学諮問委員会(感染症等発生の都度組織)も12月22日、感染率が下降するまで学校を閉鎖しておくべきとの警告を発している。
同委員会の専門家委員は、COVID-19変異種の感染力は70%近くも強力化しているとみられると発言した。
ガビン・ウィリアムソン教育相(44歳)も、当初はロンドン市街の小学校を1月4日から再開させる意向であったが、同変異種の感染がロンドン及びその近郊で猛烈となっていることから、当該計画を撤回せざるを得ないようになっている。
ただ、他地域の小学校は依然1月4日再開となっていて、中・高校については、受験生は1月11日から、その他の生徒は1月18日からとなっている。
なお、英国では、他西側諸国に先行して12月8日に米ファイザー・独バイオNテック共同開発のワクチン接種を開始し、既に100万人超が接種している。
また、先週も、オックスフォード大学・英アストラゼネカ共同開発のワクチンを承認し、1月4日から接種を開始する計画で、今後1週間当たり200万人へのワクチン接種が可能となる態勢とする意向である。
一方、1月3日付英国『ジ・インデイペンデント』紙:「ジョンソン首相、保護者は1月4日から児童を“絶対”登校させるべきと主張」
ボリス・ジョンソン首相は1月3日、学校は“絶対”安全なので、保護者は1月4日から児童を登校させるべきだと主張した。
同首相は、『BBC』のニュース番組「アンドリュー・マー・ショー」に出演した際、アンドリュー・マー氏(61歳、スコットランド出身のジャーナリスト)から、NEU他教員組合から学校閉鎖継続要求が出されていることに関して質問され、“学校の安全が確保されていない”という考えには全く同意できないと反論した。
同首相は更に、“政府は感染防止対策に万全を尽くしており、小学生や青少年や教職員にとっても、学校は安全な場所となっている”と強調した。
なお、同首相の発言に先立つ1月1日晩、ウィリアムソン教育相は、感染者急増を理由に、ロンドン市街の小学校を1月4日から再開させるという当初の計画を変更せざるを得ない状況に追い込まれていた。
(注)NEU:英国最大の教職員組合で組合員数は約51万人。英国教員組合(1870年設立)と英国教員・講師協会(1884年設立)が2017年に合併して設立。本部ロンドン。
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ロシア野党代表の被毒事件;西側メディアは黒幕がプーチン大統領であるためロシアは真相究明に協力せずと批判【米・英国メディア】(2020/08/28)
既報どおり、毒を盛られた疑いで昏睡状態に陥っているロシア野党勢力代表は、緊急搬送先のドイツの病院で一命は取り留める見込みである。この事件の真相究明にはロシア当局の協力が必須であるが、西側メディアは、いろいろな理由を付けてロシア側は真摯に対応しないだろうと批評している。何故なら、黒幕にプーチン大統領がいる疑いが濃厚だからだという。
8月26日付米
『ニューヨーク・ポスト』紙:「ウラジーミル・プーチン氏は毒混入事件の犯人捜しに協力しまい、何故なら事件の黒幕だから」
ロシアの野党勢力代表のアレクセイ・ナワルニー氏(44歳)は先週、西シベリア訪問からの帰途途上で昏睡状態に陥った。
同氏の広報担当が、毒を盛られた恐れがあり、設備の整ったドイツの病院への移送を強く訴えた。
ロシア当局は、すぐにはその移送に応ぜず、また、事件化しての捜査についても、毒を盛られた証拠がないとして鼻先であしらったが、同氏支援者や西側諸国からの突き上げもあって、同氏のドイツ移送を認めた。...
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8月26日付米
『ニューヨーク・ポスト』紙:「ウラジーミル・プーチン氏は毒混入事件の犯人捜しに協力しまい、何故なら事件の黒幕だから」
ロシアの野党勢力代表のアレクセイ・ナワルニー氏(44歳)は先週、西シベリア訪問からの帰途途上で昏睡状態に陥った。
同氏の広報担当が、毒を盛られた恐れがあり、設備の整ったドイツの病院への移送を強く訴えた。
ロシア当局は、すぐにはその移送に応ぜず、また、事件化しての捜査についても、毒を盛られた証拠がないとして鼻先であしらったが、同氏支援者や西側諸国からの突き上げもあって、同氏のドイツ移送を認めた。
しかし、ドイツの病院の担当医師が、毒を盛られた可能性があることと、コリンエステラーゼ阻害薬(注後記)に分類される薬物による中毒症状がみられると発表したところ、ロシア政府は即座に疑問を呈した。
大統領府のドミートリィ・ペスコフ報道官は、“ドイツの医師が、何故そのように性急に、毒物が使われたと軽々な判断を下すことが理解できない”と非難した。
これに対して、アンゲラ・メルケル首相の報道官は、“過去に類似事件が度々発生しており、今回の事件も慎重に調べる必要がある”と反論した。
このコメントには、米・英国とも支持を表明し、公明正大な捜査を要求すると訴えた。
ただ、果たして真相究明できるか不明である。何故なら、捜査にはロシア当局の協力が必須だが、長年ナワルニー氏に非難され続けたプーチン大統領が、この要求に素直に従うとは思われないからである。
8月27日付英国『ジ・インデイペンデント』紙:「ロシア当局に対して、ナワルニー氏の容体急変事件の捜査を要求する圧力が増大」
ナワルニー氏の緊急搬送を受け入れたベルリンのシャリテー医科大学病院(1710年設立、欧州最大級の大学病院)の医師が8月24日、同氏は毒物を盛られており、目下、毒物の特定に努めていると発表した。
これを受けて、ボリス・ジョンソン首相は8月26日、他の西側諸国に同調して、“同氏が毒を盛られたことは世界の皆が驚愕している”とし、“加害者は罪に問われるべきで、他国代表の要求と同様に、公明正大な裁きが下るよう強く望む”と表明した。
そして、それと同じ頃の8月26日、ロシア大統領府のペスコフ報道官は、“性急に被毒事件と決めつけることに抵抗がある”としながらも、“同氏の容体急変の事態を理由に、ロシアと西側諸国との関係が悪化することは望まない”とのコメントを出した。
当該事件の真相究明については、ベルリン医師の発表を受けて、まずメルケル首相が徹底的な調査を要求するとの声明を発表し、これにフランス及びノルウェー高官も同調した。
更に、欧州連合(EU)のジョセップ・ボレル外務・安全保障政策上級代表(外相に相当)も、“EUを代表して、ナワルニー氏が危険に晒される事件発生に強く抗議する”と発表した。
また、米国のマイク・ポンペオ国務長官も8月25日、“徹底的かつ透明性の高い調査と、関与した者たちに責任を取らせる”ことを求めると表明している。
(注)コリンエステラーゼ阻害薬:脳内の神経伝達物質(アセチルコリン)の量を増やしアルツハイマー型などの認知症における記憶障害(もの忘れ)、実行機能障害(問題解決能力の低下)、見当識障害(時間や場所の見当がつかない)などの症状の進行を遅らせる薬。これと同分類の化学物質には、殺虫剤から軍用の神経ガスまで多岐にわたる。
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