WHO事務局長;新型コロナウィルス用ワクチン配布の不公平でモラル崩壊と警鐘【米・英国メディア】(2021/01/19)
12月10日付GLOBALi「
国連事務総長;“ワクチン・ナショナリズム”を非難」で報じたとおり、アントニオ・グテーレス国連事務総長(71歳、ポルトガル元首相)が、新型コロナウィルス(COVID-19)用ワクチンについて、裕福な一部欧米諸国による「ワクチン・ナショナリズム」(自国民優先の接種政策)を強硬に非難した。そしてこの程、世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェソス事務局長(55歳、エチオピア元保健相、外相)も、COVAXファシリティ(注後記)の意図に反して、一部の富める国のみでワクチン接種が行われ貧困国に全く回らず、結局COVID-19防疫に余計な犠牲と時間がかかってしまうと警鐘を鳴らした。一方、COVID-19対応を検証する独立調査パネルは、中国及びWHOの初期対応の遅れを厳しく指摘している。
1月18日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』:「WHO事務局長:COVID-19用ワクチン配布で世界が“モラル崩壊”の瀬戸際と警鐘」
WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェソス事務局長は1月18日、COVID-19用ワクチンの不公平配布がまかり通り、世界は“モラル崩壊”の瀬戸際となっていると警鐘を鳴らした。
同日にWHO本部のあるジュネーブ(スイス)で開催された、WHO執行理事会の席上発言したもので、同事務局長は、“これまでに49ヵ国の裕福な国で、3,900万回分以上のCOVID-19用ワクチン接種が行われているが、貧困国に配布されたのは25回分、2,500万回でも2万5千回でもなく、たった25回分のみだ”と訴えた。...
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1月18日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』:「WHO事務局長:COVID-19用ワクチン配布で世界が“モラル崩壊”の瀬戸際と警鐘」
WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェソス事務局長は1月18日、COVID-19用ワクチンの不公平配布がまかり通り、世界は“モラル崩壊”の瀬戸際となっていると警鐘を鳴らした。
同日にWHO本部のあるジュネーブ(スイス)で開催された、WHO執行理事会の席上発言したもので、同事務局長は、“これまでに49ヵ国の裕福な国で、3,900万回分以上のCOVID-19用ワクチン接種が行われているが、貧困国に配布されたのは25回分、2,500万回でも2万5千回でもなく、たった25回分のみだ”と訴えた。
更に同事務局長は、当該ワクチンが貧困国にも分配されなければ、“結局COVID-19防疫に時間がかかり、犠牲者がもっと多くなる”として、“「自分が最初」という今の配布方式は失敗だ”と強調した。
一方、同日にリリースされた、WHOや各国の対応を評価する独立調査パネルによる報告書(速報)によると、WHO及び中国の初期対応に遅れがあったと指摘されている。
同パネルは、NZ元首相のヘレン・クラーク氏(70歳、国連開発計画の初の女性総裁)とリベリア前大統領のエレン・ジョンソン・サーリーフ氏(82歳、アフリカ初の女性大統領、2011年ノーベル平和賞受賞)が共同委員長を務めている。
同報告書では、WHOがCOVID-19感染症世界流行の緊急事態宣言を1月30日まで発信しなかったのは遅すぎたと批評している。
また、中国に対しても、1月中に公衆衛生対策をより強力に適用できたはずなのに実際はそうしなかったと評価している。
なお、同パネルの最終報告書は5月に公表される。
1月19日付英国『ジ・インデイペンデント』紙:「WHO事務局長、COVID-19用ワクチンは公平に分配する必要があると警告」
WHO事務局長は、過去の感染症防疫の歴史から、貧困国向けに対応ワクチンが分配されず、非常に多くの犠牲者が出て、また防疫までに非常に長い時間を要したと言及した。
その上で同事務局長は、同じ轍を踏まないよう、富裕国やワクチン開発会社に対して、公平かつ適正価格でのワクチン分配を強く求めると強調した。
同事務局長によると、WHOが主導しているCOVAXファシリティでは、20億回分のワクチンを手当てして、貧困国に分配する体制を整えようとしているが、“一部の富裕国では、二国間取引での供給を優先したり、また、ワクチン開発会社も価格の高い需要先に優先して供給しようとしている”という。
(注)COVAXファシリティ:WHO主導で2020年9月に立ち上げられた、COVID-19用ワクチンを世界各国で共同購入して分配する国際的枠組み。
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東京オリンピック;首相顧問を務める飲料メーカー大手サントリー社長が開催できるか不確かとコメント【欧米メディア】(2021/01/14)
菅義偉首相(72歳)が1月12日、米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏(65歳)との電話会談の際、“東京オリンピック・パラリンピック大会は必ずやりきる”と語ったと報じられた。しかし、前政権の流れを汲む現政権の加藤勝信官房長官(65歳)は、“かかる表現は使われていない”と火消しにかかっている。そうした中、首相電話会談に同席して当該やりとりを記者団に話したとされる首相顧問のサントリーホールディングス社長が、欧米メディアのインタビューに答えて、“東京大会が開催されるかどうかは不確か”だとして、政権の修正談話に追随するようなコメントを出している。
1月13日付
『ロイター通信』:「サントリー社長、東京大会開催可能かは不確かで、結論は3月末に明らかになるとコメント」
飲料メーカー大手サントリーホールディングス(前身の鳥井商店は1899年創業)の新浪剛史社長(61歳)は1月13日、『ロイター通信』のインタビューに答えて、新型コロナウィルス(COVID-19)感染問題深刻化の中、東京大会が開催できるかどうかは現時点では不確かだとコメントした。...
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1月13日付
『ロイター通信』:「サントリー社長、東京大会開催可能かは不確かで、結論は3月末に明らかになるとコメント」
飲料メーカー大手サントリーホールディングス(前身の鳥井商店は1899年創業)の新浪剛史社長(61歳)は1月13日、『ロイター通信』のインタビューに答えて、新型コロナウィルス(COVID-19)感染問題深刻化の中、東京大会が開催できるかどうかは現時点では不確かだとコメントした。
同氏は菅義偉首相の経済顧問も務めているが(編注;内閣府経済財政諮問会議委員)、“COVID-19に打ち勝って東京大会が開催できる運びとなれば、世界を勇気付ける大きな意味のあるメッセージとなる”としながらも、“現段階では、予定どおり開催できるかどうかは不確か”だと表明した。
政府関係者は、予定どおり開催する方向でしっかり準備を進めていると強調しているが、直近で行われた世論調査では、大多数が今夏の開催は難しいと回答している。
なお、新浪社長は、COVID-19の第3波が2月末から3月初めまで続くとみられるため、東京大会開催の可否決定は3月末までにはなされるだろうと付言している。
同日付『ジ・インデイペンデント』紙:「日本、COVID-19蔓延深刻化の中、東京大会開催に向け準備と強調」
加藤勝信官房長官は1月13日、今夏に延期された東京大会について、開催に向けての準備に取り組んでいると表明した。
直近の世論調査で、多くの人が開催困難としているのに対して、同長官は記者会見席上、“選手も関係者も開催に向け努力しており、政府としても準備をしっかり進めていく”と語った。
同長官の会見の前日、サントリーホールディングスの新浪社長の手配で、菅首相とビル・ゲイツ氏との電話会談が実施されていた。
『共同通信』によると、新浪社長からの話として、その際同首相から、東京大会は“大変重要な”イベントであり、“必ずやりきる”との発言がなされたという。
しかし、同長官は、“会談内容を確認したところ、そのような表現は使われていない”と否定している。
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