ボルトン米大統領補佐官;ウクライナ独立記念日の軍事パレードを観閲してロシアを牽制【米・英国・ロシアメディア】
トランプ大統領が、プーチン大統領と個人的友好関係を築きつつあるが、米議会の突き上げもあって、米政権としては、対ロシア追加制裁実施含めて、強硬路線をとっている。その先兵がボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)で、ロシア政策と真っ向から対立するウクライナ支援をアピールすべく、8月24日の同国独立記念日開催の軍事パレードを観閲してロシアを牽制している。なお、この直前に出席した、国連ジュネーブ本部での米ロ安全保障担当高官会議では、戦略兵器制限、イラン核合意、シリア内戦等々が討議されたが、米国側が大統領選ロシア介入問題について言及することにこだわったことから、ロシア側反発もあって共同声明を発表するに至らなかった。
8月23日付米
『CBSニュース』:「ジョン・ボルトン大統領補佐官、ロシア側に米選挙介入につき警告した後、ウクライナ軍事パレード観閲して同じくロシア側牽制」
ジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は8月24日、ウクライナの独立27周年を祝う同国軍事パレードを観閲するためウクライナを訪問する。
米高官は毎年、ウクライナ支援を鮮明にするため、同国の記念式典に出席している。...
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8月23日付米
『CBSニュース』:「ジョン・ボルトン大統領補佐官、ロシア側に米選挙介入につき警告した後、ウクライナ軍事パレード観閲して同じくロシア側牽制」
ジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は8月24日、ウクライナの独立27周年を祝う同国軍事パレードを観閲するためウクライナを訪問する。
米高官は毎年、ウクライナ支援を鮮明にするため、同国の記念式典に出席している。昨年はジム・マティス国防長官が出席して、ロシアによるウクライナ侵攻を厳しく批判している。
同補佐官はこの直前、国連ジュネーブ本部で8月23日に開かれた、米ロ安全保障担当高官会議に出席した。
同会議では、ロシア側代表のニコライ・パトルシェフ安全保障会議委員長と、核軍縮、テロ対策、サイバー攻撃、シリア問題等について協議した。
ただ、同補佐官が、ロシアによる米大統領選不当介入問題について強く主張したが、ロシア側抵抗に遭い、結果、共同声明を発表することに合意できなかった。
なお、同補佐官はロシア側に対して、2018年11月の中間選挙への不当介入は絶対許さないと警告した上で、万一の場合は然るべく対応する準備を整えていると通告している。
8月24日付英『ジ・インディペンデント』紙:「米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)、ロシア側に今年の中間選挙への不当介入は許さないと警告」
ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は8月23日、ロシア側代表のパトルシェフ安全保障会議委員長との会談後の記者会見で、今年11月の中間選挙への不当介入は絶対許さないと通告したことを明かした。
同補佐官は『AP通信』のインタビューに答えて、2016年大統領選で起こったような事態が繰り返されることのないよう準備はしているとした上で、もし中間選挙で不当介入が引き起こされなければ、対ロシア追加制裁を検討する必要はないと付言した。
今年7月、ロバート・マラー特別検察官チームの2016年大統領選不当介入事件捜査によって、ロシア情報機関当局高官12人が起訴されている。
これを踏まえてトランプ政権は、対ロシア追加制裁を発動しているが、プーチン大統領は、“非生産的で無意味なこと”と批判している。
一方、同日付ロシア『タス通信』:「ロシア国際問題委員長、米ロ外相・国防相会議再開は将来にとって意味のあることとコメント」
ロシア連邦院国際問題委員会のコンスタンチン・コサチョフ委員長は8月23日、米ロ外相・国防相会議が再開されることになるのは将来にとって意味のあることとコメントした。
これに先立って同日、ボルトン米大統領補佐官と会談したパトルシェフ安全保障会議委員長が、中断していた米ロ外相・国防相会議を今後再開することで米国側と合意した旨発表していた。
コサチョフ委員長は、過去2年間両国間関係が気まずくなっているが、これを改善する上で、両国外相・国防相会議が重要な意味を持つとも付言した。
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ドイツとロシア;米国政策など無視して両国独自戦略協議(2)【米・英国・ロシアメディア】
8月14日付Globali
「ドイツとロシア;米国政策など無視して両国独自戦略協議」で触れたとおり、一国主義を唱えるトランプ大統領の対外政策など無視して、プーチン大統領・メルケル首相は、両国独自の戦略協議を行うこととしていた。そして首脳会談の結果について、ロシアメディアは、難しい国際問題について両首脳が共通認識を持ったと、首脳会談の意義を報じれば、欧米メディアは、何ら合意できていないと厳しい論評で報じた。
8月19日付米
『CNBCニュース』(
『ロイター通信』配信):「ベルリン郊外でのメルケル首相・プーチン大統領の首脳会談、厳しい遣り取りも一切合意に至らず」
アンゲラ・メルケル首相とウラジーミル・プーチン大統領は8月18日、ベルリン郊外のドイツ政府迎賓館で首脳会談を持った。
両首脳は、ウクライナ問題、シリア和平交渉、イラン核合意、更には天然ガスパイプライン敷設プロジェクト、ノルド・ストリーム2について討議したが、表立った合意には至らなかった。...
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8月19日付米
『CNBCニュース』(
『ロイター通信』配信):「ベルリン郊外でのメルケル首相・プーチン大統領の首脳会談、厳しい遣り取りも一切合意に至らず」
アンゲラ・メルケル首相とウラジーミル・プーチン大統領は8月18日、ベルリン郊外のドイツ政府迎賓館で首脳会談を持った。
両首脳は、ウクライナ問題、シリア和平交渉、イラン核合意、更には天然ガスパイプライン敷設プロジェクト、ノルド・ストリーム2について討議したが、表立った合意には至らなかった。
ただ、ロシア大統領府のドミートリィ・ペスコフ報道官は、今回合意に至った事項はないが、そもそも今回の首脳会談は、今年5月にソチ(ロシア南西、黒海東岸の都市)での会談以来の“状況の確認”が目的であったので問題はないとした。
特に、ノルド・ストリーム2については、無関係の第三国から無用な攻撃が仕掛けられているが、だからこそしっかり対応策を取って、確実にプロジェクトを完工させる必要があると付言した。
同プロジェクトに関し、メルケル首相は、(ノルド・ストリーム2が経由しない)ウクライナは今後とも天然ガス供給ルートとして役割を担うと強調した上で、この点に関して、欧州・ウクライナ・ロシア間での協議を提案したいと表明した。
一方、プーチン大統領は、ウクライナ経由の天然ガス供給は長い間継続しているものだが、それには“市場競争力が必要”とした上で、ノルド・ストリーム2は“非常に経済性がある”と強調した。
同日付英『ジ・インディペンデント』紙:「メルケル首相とプーチン大統領がシリア、ウクライナ、ノルド・ストリーム2プロジェクトについて討議するも合意事項は皆無」
独ロ首脳会談出席に当り、プーチン大統領は、主要な議題はシリア問題だとし、難民含めた同国への人道的支援が必須であると表明した。
この点に関し、メルケル首相は、シリア内戦沈静化後の体制(同国憲法改正含めて)について、前回のソチ会談時と同様、今回も同大統領と討議したと述べた上で、ロシアも含めた国連安全保障理事会常任理事国の責任が問われていると付言した。
一方、同日付ロシア『RT(ロシア・トゥデイ)ニュース』:「イラン核合意、シリア問題及びノルド・ストリーム2と、難しい国際問題について協議し、プーチン大統領とメルケル首相が共通認識」
8月18日にベルリン郊外で開催された独ロ首脳会談において、プーチン大統領とメルケル首相は、米国が脱退したイラン核合意、人道支援が必須のシリア問題、そしてノルド・ストリーム2プロジェクトと、非常に難しい諸問題について3時間にわたり討議し、それぞれ共通認識を持つに至った。
その第一がノルド・ストリーム2プロジェクトで、メルケル首相は、同プロジェクト完工後もウクライナ経由の天然ガス供給ルートは“欧州にとって重要”だと表明した。
これに対してプーチン大統領も、ノルド・ストリーム2プロジェクトがあるからと言って、ウクライナ経由の天然ガス供給がなくなることは意味しないとした上で、但し、同プロジェクトが経済性の理由で進められているのと同様、ウクライナ経由の天然ガス供給ルートにも競争力が求められると付言した。
また、ドナルド・トランプ大統領が脱退を表明したイラン核合意についても、独ロの他、フランスとも協議して同合意継続に向け努力するとした。
更に、シリア問題についても、まず人道支援が重要で、難民救済について関係国が協力していく必要があるとの点で一致した。
ペスコフ報道官は、シリア問題協議のため、ドイツ・ロシアにフランス・トルコを加えての4ヵ国首脳会談開催について、両首脳が協議したことを明かした。
なお、4ヵ国首脳会談開催については、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が7月下旬、9月7日開催を提案していた。
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