米・中国メディア;岸田外相、東南アジア歴訪
5月2日付
Globali「安倍首相、ロシア訪問」で触れたとおり、安倍首相が5月2日からロシア含めた欧州5ヵ国歴訪の旅に出ている。一方、岸田外相も同時期に中国を皮切りに、東南アジア諸国を歴訪し、日本の存在感のアピールに努めている。
5月2日付米
『ロイター通信米国版』の報道記事「日本、メコン川流域諸国に3年間で70億ドルの支援策発表」:
「・岸田文雄外相は、1週間に亘り東南アジア諸国(タイ、ミャンマー、ラオス、ベトナム)を歴訪中。
・同外相は5月2日、タイのバンコックでのスピーチで、メコン川流域諸国に対して、今後3年間で7,500億円(70億ドル)の支援を行うと発表。
・更に同外相は、南シナ海における領有権問題は国際海洋条約に基づき解決されるべきとし、東南アジア諸国連合(ASEAN)草稿の南シナ海行動規範につき支持を表明。...
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5月2日付米
『ロイター通信米国版』の報道記事「日本、メコン川流域諸国に3年間で70億ドルの支援策発表」:
「・岸田文雄外相は、1週間に亘り東南アジア諸国(タイ、ミャンマー、ラオス、ベトナム)を歴訪中。
・同外相は5月2日、タイのバンコックでのスピーチで、メコン川流域諸国に対して、今後3年間で7,500億円(70億ドル)の支援を行うと発表。
・更に同外相は、南シナ海における領有権問題は国際海洋条約に基づき解決されるべきとし、東南アジア諸国連合(ASEAN)草稿の南シナ海行動規範につき支持を表明。
・同外相は5月2日、タイ軍事政権のプラユット首相と会談し、民政復帰プロセスや経済連携等につき討議。
・タイは2014年5月の軍事クーデター発生後、軍部が暫定政権を担っているが、欧米から非難を浴びて、中国寄りに傾斜。
・なお同外相は、東南アジア諸国歴訪直前の週末に中国を訪問し、東シナ海における領有権問題等に端を発する両国間の緊張関係について、双方が今後関係改善に向けて努力することで一致。」
*編注;英国
『メール・オンライン』、シンガポール
『トゥデイ・オンライン』、タイ
『バンコック・ポスト』、インドネシア
『ジャカルタ・グローブ』、中国
『チャイナ・デイリィ』、台湾
『チャイナ・ポスト』等の各国メディアも、上記
『ロイター通信』記事を引用して一斉に報道。
同日付米
『タイム』紙(
『AP通信』記事引用)の報道記事「日本、メコン川流域開発に70億ドル支援を発表」:
「・岸田外相は、メコン川流域開発資金の拠出について、インフラ開発だけでなく人材育成などの支援をも含めると強調(編注;中国が進める、鉄道・港湾等建設のみを主眼とする“一帯一路”政策との違いを強調するもの)。
・なお、タイは軍事クーデター発生以降、欧米諸国の批判を受けて、国際的に苦しい立場にあるが、(主要7ヵ国(G7)代表として初めてタイ首脳と会談した)同外相は、民政復帰がスムーズに進められることを望むとコメント。」
一方、5月3日付中国
『人民日報』の報道記事「日本、二面性外交で効果減退」:
「・岸田外相は、王毅(ワン・イー)外相の招待で訪中し、4月30日に両外相会談を持ち、両国
間の関係改善に双方が努力することで一致。
・しかし同外相は、訪中直前の記者会見で、最近の東・南シナ海における中国海洋活動や軍事力強化など、アジア太平洋諸国はもとより国際社会も懸念していると批判。
・同外相は、4月初めのG7外相会議による、東・南シナ海における領有権問題を憂慮するとの、具体的国名が言及されない共同声明に反して、中国の名前を挙げて一方的に非難する発言をしており、G7コンセンサスばかりか、中国外相との会談での発言とも明らかに矛盾する二面性外交。
・一方で、安倍政権は中国からの日本旅行者増を大歓迎し、今後も両国間の経済的連携を強調するも、他方で中国に対する右翼タカ派勢力に押された外交を展開しており、これで両国関係を改善すると標榜しても、全く矛盾した対応との評価。」
二面性外交やでっち上げ政策を展開しているのはそちらの方だと声を大にして言いたい。ただ、
「嘘も百回言えば真実になる」との言い伝えもあることから、尖閣諸島にしろ、南京事件にしろ、
しっかり歴史的資料等を以てきちんと否定・反論していくことが肝要であろう。
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シンガポール・カンボジア・マレーシア・インドネシアメディア;東南アジアから見た米大統領予備選
先週、中東及び中南米メディアの報道について触れたので、今回は東南アジアメディアがどう報道しているかみてみたい。
3月18日付シンガポール
『ザ・ストレイツ・タイムズ』紙の報道記事「トランプ大統領の誕生は、イスラム過激派と同じくらい世界にとって脅威」:
「・英国の調査グループ、エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU、注後記)が発表した世界リスク分析・評価によると、トランプ大統領の誕生は、世界経済にとって、イスラム過激派組織イスラミックステート(IS)と同程度の脅威。
・トランプ候補が主張する、反イスラム、反移民政策、更には異常な程までに自由貿易に敵対する姿勢から、世界のリスク度(1~25段階で評価)で12と評価。...
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3月18日付シンガポール
『ザ・ストレイツ・タイムズ』紙の報道記事「トランプ大統領の誕生は、イスラム過激派と同じくらい世界にとって脅威」:
「・英国の調査グループ、エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU、注後記)が発表した世界リスク分析・評価によると、トランプ大統領の誕生は、世界経済にとって、イスラム過激派組織イスラミックステート(IS)と同程度の脅威。
・トランプ候補が主張する、反イスラム、反移民政策、更には異常な程までに自由貿易に敵対する姿勢から、世界のリスク度(1~25段階で評価)で12と評価。
・因みに、最高リスクは、20;中国経済のハードランディング、続いて16;ロシアのウクライナ・シリア干渉、及び、通貨混乱による新興国債務超過、そして15;域内外からのプレッシャーによる欧州連合(EU)分裂、更に、8;英国のEU離脱、及び、南シナ海における中国の軍事衝突。」
同日付カンボジア
『カンボジアン・タイムズ』紙の報道記事「EIU、トランプ大統領の誕生を深刻な世界リスクのひとつと評価」:
「・EIUがトランプ候補によって世界経済リスクが高くなるとしたのは、反自由貿易発言の他、中国の為替政策を何度も批判し、更には、中東の問題やイスラム過激派のテロ行為に対して極端な右傾発言(テロリストは家族もろとも皆殺し、シリアに総攻撃をかけてIS掃討)等々から、やがて貿易戦争をもたらす恐れがあると評価したこと。
・ただ、EIUは、トランプ候補が共和党代表指名を獲得しても、民主党の代表と目されるクリントン候補には勝てないだろうと予測。」
同日付マレーシア
『ザ・スター』オンラインニュースの報道記事「ロシア政府、トランプ候補が選挙ビデオでロシアを侮辱したと抗議」:
「・ロシア政府は3月17日、トランプ候補の選挙ビデオに、ロシアが正に戦っているISの黒装束の戦闘員とともにプーチン大統領を登場させ、民主党のクリントン候補に敵対させるような映像を流したことは、ロシアを侮辱するものとして猛烈に抗議。
・ロシア国営テレビも、これまではトランプ候補をロシア側の考えに近いという評価で報道してきたが、今回の悪質なビデオ映像を以て、冷戦時代と同様の反ロシアキャンペーンを張っているとして非難。」
同日付インドネシア
『ジャカルタ・グローブ』紙の報道記事「ロイター通信世論調査で、米国女性の半数がトランプ候補を拒絶」:
「・ロイター通信が3月1~15日の間、任意抽出の5,400人にアンケートしたところ、去年の10月には40%だったのに、今回はさらに増えて半数の女性が拒絶反応。
・米連邦国勢調査局によると、1996年以降の大統領選挙で、男性より女性の投票率が高いとの結果ゆえ、トランプ候補にとっては手痛い反応。
・トランプ候補が、女性TVコメンテーターや女性ジャーナリストを非難する発言を繰り返していることで、特に民主党支持の女性から忌み嫌われている模様。
・更に、反トランプ陣営からは、かつてトランプ候補が女性のことを“太った豚”とか“犬”と呼んでいたなどと糾弾する映像。」
(注)EIU:英国の定期刊行物
『エコノミスト』の調査部門で1946年設立。民主主義指数という一覧を2006年から隔年で、また世界平和度指数やクオリティ・オブ・ライフ インデックスなどといった指数一覧を発表。
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