米・英・ロシア・韓国・北朝鮮・中国メディア;北朝鮮、やはり強硬姿勢(2)(2016/03/11)
3月7日付
Globali「北朝鮮、やはり強硬姿勢」の中で触れたとおり、新たな国連制裁決議に対抗して北朝鮮は、核弾頭をいつでも発射できるよう準備し、先制攻撃体制をとると宣言した。そして、北朝鮮が短距離弾道ミサイルを新たに発射したり、核弾頭の軽量化をアピールすれば、米軍は最新ステルス爆撃機を配備して北朝鮮を牽制しようとしている。また、国連制裁決議の具体的成果が徐々に表れている。
3月9日付米
『ワシントン・ポスト』紙の報道記事「北朝鮮、直近の抗議として弾道ミサイル発射」:
「・国連の追加制裁決議への抗議措置として北朝鮮は3月10日朝、
日本海に向けて弾道ミサイルを2発発射。
・発射場所は平壌(ピョンヤン)南部の黄海北道(ファンへ・プクド)で、飛行距離は約300マイル(約500キロメーター)。
・日本政府は同日午前、国連安全保障理事会の決議違反に当るとして、北京の大使館を通じて北朝鮮側に抗議。...
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3月9日付米
『ワシントン・ポスト』紙の報道記事「北朝鮮、直近の抗議として弾道ミサイル発射」:
「・国連の追加制裁決議への抗議措置として北朝鮮は3月10日朝、
日本海に向けて弾道ミサイルを2発発射。
・発射場所は平壌(ピョンヤン)南部の黄海北道(ファンへ・プクド)で、飛行距離は約300マイル(約500キロメーター)。
・日本政府は同日午前、国連安全保障理事会の決議違反に当るとして、北京の大使館を通じて北朝鮮側に抗議。」
3月10日付米
『CNBCニュース』(
『ロイター通信』記事引用)の報道「韓国、北朝鮮が短
距離ミサイルを発射したと発表」:
「・北朝鮮は、短距離ミサイルの在庫は豊富にあり、現在は、長距離及び大陸間弾道ミサイルを開発中。
・金正恩(キム・ジョンウン)第一書記は3月9日、核弾頭の軽量化を実現したと発表。
・米韓両国は今週、最大規模の合同軍事演習を開始したが、北朝鮮側は、核戦争につながる動きで、全面的に対抗すると表明。」
同日付英
『ザ・テレグラフ』紙の報道記事「北朝鮮、短距離ミサイル発射に加え、(北朝鮮
内の)韓国資産を没収」:
「・北朝鮮は、米韓による最大規模の合同軍事演習に抗議して、短距離ミサイルを発射。
・また、韓国との全ての合意事項を破棄し、北朝鮮内にある韓国資産全てを没収と宣言。
・韓国国防部(省に相当)は、北朝鮮が核弾頭の軽量化を実現したとの発表は懐疑的と表明。」
同日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュースの報道記事「北
朝鮮、韓国との経済協定を破棄」:
「・北朝鮮が、韓国との全ての経済協定を破棄するとしたことは、北朝鮮内の韓国の全資産、資金が没収されることを意味。」
同日付中国
『シナ(新浪)英字ニュース』(
『新華社通信』記事引用)の報道記事「北朝鮮、
東海に向けて2発の短距離ミサイル発射」:
「・韓国軍は、北朝鮮が
東海(編注;韓国が主張する、日本海の変更名称)に向けて北朝鮮が短距離ミサイルを発射したと発表。」
同日付中国
『人民日報』の報道記事「金第一書記、北朝鮮が核弾頭の軽量化を実現と公表」:
「・金第一書記は3月9日、核装備開発の結果、核弾頭の軽量化に成功したと発表。
・北朝鮮の過激な動きは、米韓両軍の大規模軍事演習開始を受けて活発化。
・中国の王毅(ワン・イー)外交部長は、3月9日に米国ジョン・ケリー国務長官と電話会談した後、如何なる国も挑発を止め、これ以上緊張を高めないよう努めるべきと表明。
・外交部の洪磊(ホン・レイ)報道官は、中国はあくまで朝鮮半島の非核化方針であり、この実現のため関係国の協議によって解決するよう主張。」
一方、同日付韓国
『KBSニュース』の報道記事「香港、北朝鮮関与の制裁対象本船の入港
拒否」:
「・北朝鮮情勢に詳しい中国関係者の3月10日の情報によると、国連安保理決議第2270号が制裁対象とした、北朝鮮関与の本船“ゴールド・スター3号”が3月9日昼に香港に入港しようとしたところ、香港政府がこれを拒否。
・同制裁によると、北朝鮮のオーシャン・マリタイム・マネジメント社が運航に関与している31隻の船舶が資産凍結の対象。
・本船“ゴールド・スター3号”はカンボジア船籍となっているが、当該31隻のうちの1隻。」
また、同日付北朝鮮
『北朝鮮時報』の報道記事「米国、B-2爆撃機をアジア太平洋に配備」:
「・米国戦略軍司令官は3月9日、B-2ステルス爆撃機をアジア太平洋地域に配備したと発表。
・B-2爆撃機は、核攻撃を加えることを目的に開発された戦略爆撃機。」
なお、中朝貿易関係者の話によると、3月2日採択の国連安保理の制裁決議の対象となった
北朝鮮の船舶が、中国の複数の港湾当局から入港を拒否されているという。中国は、北朝
鮮の最大の貿易相手国であるが、漸く重い腰を上げて、制裁決議を厳密に履行しようとし
ていると考えられる。
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米・英・ロシア・中国メディア;イラン、強硬派の反乱(ミサイル発射実験)(2016/03/09)
イランでは、先月の議会選挙で、欧米との協調路線を進める、ロウハニ政権を支持する改革・穏健派が躍進したが、これに反欧米の保守強硬派は危機感を持っている。そうした中、イラン革命防衛隊が弾道ミサイル発射実験を敢行した。これは、反欧米の革命防衛隊とつながる保守強硬派が、その存在感をアピールする狙いで行ったとみられると各国メディアが伝えている。
3月8日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』記事引用)の報道「イラン、軍事訓練の最中に弾道ミサイル発射」:
「・イランの革命防衛隊は3月8日、軍事訓練の一環で、複数の短距離・中距離弾道ミサイルを発射したと発表。
・同空軍のアリ・ハジザーデ司令官は、射程距離は300~2,000キロメーターとコメント。
・国連制裁決議では、核弾頭ミサイル開発の禁止が謳われているが、イラン側は核弾頭ミサイルではないと強調。...
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3月8日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』記事引用)の報道「イラン、軍事訓練の最中に弾道ミサイル発射」:
「・イランの革命防衛隊は3月8日、軍事訓練の一環で、複数の短距離・中距離弾道ミサイルを発射したと発表。
・同空軍のアリ・ハジザーデ司令官は、射程距離は300~2,000キロメーターとコメント。
・国連制裁決議では、核弾頭ミサイル開発の禁止が謳われているが、イラン側は核弾頭ミサイルではないと強調。
・イスラエル等からの脅威に備えるため、ミサイル含めた軍事力増強は必要とも主張。」
同日付同ニュースの報道「イラン、ミサイル発射実験後、核合意を破棄するとの脅し」:
「・イランは3月8日、国連決議に違反してミサイル発射実験を実施。
・これは、国連の核査察組織(国際原子力機関(IAEA))がイラン核合意条項に反して、イランの違反可能性について公けにしたことに反発したもの。
・イランのアッバス・アラクチ外務副大臣は、もし米国やその他の国がイランの国益を損なうような行動を取るならば、先のイラン核合意を破棄せざるを得ないと表明。」
同日付米
『ロイター通信米国版』の報道記事「ホワイトハウス、イランのミサイル発射実
験は核合意違反ではないと言明」:
「・ホワイトハウスのジョシュ・アーネスト報道官は3月8日、イランの弾道ミサイルの発射実験は、核合意に違反するものではないとコメント。
・ただ、国連安全保障理事会に議題として上げるべきか、念の為内容を分析中とも追加。」
同日付英
『ザ・ガーディアン』誌(
『ロイター通信』記事引用)の報道記事「イラン、米国
の警告前に弾道ミサイル発射実験」:
「・イランが昨年10月、中距離弾道ミサイルを発射実験したことに伴い、米国は今年初め、イランのミサイル開発に関わる個人、企業のビジネス取引を禁止する措置を決定。
・今回のミサイル発射実験について、米国務省のマーク・トナー報道官は、事態を精査中で、もし違反行為があると認められた場合、国連安保理に議題提起するとコメント。
・米国とフランスの高官は、国連安保理決議第2231号(昨年7月採択)によって、イランは、核兵器開発に結び付くような、いかなる弾道ミサイル開発も禁止されていると表明。
・ただ、オバマ政権は、(核開発に結び付かない)新型ミサイルの発射実験そのものは核合意違反とはならないとコメント。
・なお、同決議採択の際、ロシアと中国は安保理において、イランにミサイル開発や武器取引の禁止を今後も継続することには同意しないと発言。」
3月9日付中国
『シナ(新浪)英字ニュース』の報道記事「イラン、米国の制裁を無視して
ミサイル発射実験」:
「・イランが発射した複数の弾道ミサイルは、それぞれ300、500、800、2,000キロメーターの射程距離。
・米国は1月初め、国連が対イラン経済制裁を解除した翌日、新たにミサイル開発に関わる制裁を決定。
・イランのミサイル発射実験は、ハッサン・ロウハニ大統領を支持する改革・穏健派が議会選挙で勝利を収めて2週間も経たないうちに実施。
・ミサイル発射実験を実行した革命防衛隊が指示を仰ぐのは、ロウハニ大統領ではなく、イラン最高指導者のアリ・ホメイニ師(保守派の元大統領)。」
一方、同日付ロシア国営
『イタルタス通信』の報道記事「イラン准将、ロシアからの武器
購入は核開発とは無関係と言明」
「・イランの革命防衛隊のマソウド・ジャザエリ准将は3月8日、ロシアから武器を購入することは、昨年7月成立の核合意に一切違反しないと言明。
・今年2月、米国務省のトナー報道官は、ロシアがイラン向けにSu-30SM(スホイ30)ジェット戦闘機を販売することを決めたことは、国連決議第2231号(イラン向け武器販売の際の事前承認取得)に違反するとコメント。
・ロシア外務省のマリア・ザハロバ報道官は、同決議は2020年までの期間有効であるが、それ以降の武器輸出につき今から協議してはならないとする制限はないと主張。」
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