オーストラリア、労働力不足緩和のために海外からのバックパッカーにラブコール(2022/01/21)
オミクロン株の全国的な大流行による深刻な労働力不足に悩むオーストラリアは、労働力を補足するために、外国からのバックパッカーに、250ポンド(約3万9千円)以上の現金奨励金を提供するので「ぜひ来てほしい」と呼びかけている。
英紙
『タイムズ』は、新型コロナウイルスで国境を閉鎖してから約2年が経った今、オーストラリア政府は、ギャップ・イヤー(高校卒業後、大学入学資格を保持したまま1年間遊学することができる制度)の学生やその他の臨時労働者がオーストラリアに来て、自国の経済回復に役立ってくれるよう必死に呼び込んでいる、と伝えている。
スコット・モリソン首相はテレビでも放映された19日の記者会見で、今後入国する学生にはビザ申請料を払い戻すと発表した。...
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英紙
『タイムズ』は、新型コロナウイルスで国境を閉鎖してから約2年が経った今、オーストラリア政府は、ギャップ・イヤー(高校卒業後、大学入学資格を保持したまま1年間遊学することができる制度)の学生やその他の臨時労働者がオーストラリアに来て、自国の経済回復に役立ってくれるよう必死に呼び込んでいる、と伝えている。
スコット・モリソン首相はテレビでも放映された19日の記者会見で、今後入国する学生にはビザ申請料を払い戻すと発表した。この措置は、今後12週間以内にワーキングホリデービザで入国する若者と、今後8週間以内に入国する留学生に適用される予定となっている。
ビザの取得には、学生が630豪ドル(約5万2千円)、臨時労働者が495豪ドル(約4万1千円)かかる。今回の措置で、すでにビザを取得していながらオーストラリアに渡航していない15万人の学生と2万3500人のワーキングホリデーの若者の多くが来てくれることを期待されている。オーストラリアでは外国人観光客の入国は依然として禁止されているが、12月以降、留学生、技能労働者、ワーキングホリデーなどのグループは、ワクチン接種済みを条件に、入国が許可されている。
豪紙『シドニーモーニング・ヘラルド』は、パンデミック前に比べて、ワーキングホリデーなどを希望している若者の数が少なくなっていると伝えている。内務省が発表した新しいデータによると、1月8日時点のオーストラリアでのワーキングホリデーの参加者は1万9109人、1年前は4万9542人、2年前は14万1142人であった。オーストラリアでは、12月15日にバックパッカーに国境が開かれて以来、2032人のワーキングホリデービザ保持者が到着している。また、オーストラリア国外で有効なビザを持つ人は2万3494人おり、政府はこの払い戻し制度が彼らの計画を早めることを期待している。同省によると、ビザに対する需要は旺盛であるという。
若者向けの宿泊施設「シドニーバックパッカーズ」を運営しているサマービル・ホスピタリティのオペレーションマネージャーであるアナ・メンティングは、「コロナ前はクリスマス、新年などの期間中は、満室で、玄関に寝袋で寝ていいかと聞かれるほど、バックパッカーの数が、ベッド数よりも多かった。」と語っている。しかし、現在は2月よりも、3月と4月の予約が多く、「回復には6カ月から10カ月かかると思う」と述べている。
メンティングさんによると、レストランやカフェからは毎日のように、仕事を探しているバックパッカーがいないかどうかという問い合わせが来るという。「バックパッカーグループのフェイスブックページを見ると、多くの人が(仕事が見つかるかどうか)ストレスを感じている。でも、(現在は)到着したらその日のうちに仕事が決まっている」という。オーストラリアは今「夏で、シドニーは求人であふれている。あまり忙しくなく、みんなが(労働者の)取り合いをしているので、来るには一番いい時期だと思う。」と述べている。
オーストラリアでは、バックパッカーや留学生の流出が、接客業から農業まで人手不足に拍車をかけている。農家では、収穫する人が足りないため、大量の果物や野菜を腐らせることを余儀なくされている。カフェやバー、レストランでは、十分な人員が確保できないため、営業時間を短縮せざるを得なくなっているという。
英経済紙『ファイナンシャルタイムズ』によると、オーストラリアの労働力不足が深刻になっているため、モリソン首相は今週、物流業界の労働力不足を緩和するために、10代の若者にフォークリフトの運転を許可することを提案した。この計画はほとんど即座に棚上げされた。農業と消費財の分野で仲介業を行ってきたデビッド・ウィリアムズ氏は、ホテルや拘置所に閉じ込められている亡命希望者に農場で働いてもらい、果物や野菜を収穫してもらうという提案を行ったという。
モリソン首相は記者会見で、「私たちは、バックパッカーのみなさんがオーストラリアに来て、ここで休日を楽しんで欲しいです。同時に、オーストラリアの労働力として、農業や接客業、その他労働力に依存する多くの経済部門を助けてほしいのです」と訴えた。ただし、バックパッカーは88日間農場で過ごさないとビザの資格がない。政府は20日、12月の失業率が4.2%に低下し、2008年以来の低水準となったことを発表した。
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豪大学、学生に海外からの干渉を発見するための研修を提供(2021/09/06)
オーストラリア政府は、オーストラリア国内の大学における中国政府の干渉が絶えないことに対し、留学生を保護する大学側の責任を大幅に強化することを目的とした新規ガイドラインを作成している。新しいガイドラインによれば、学生はキャンパス内で外国からの干渉の脅威を発見し、当局に報告する研修を受けることになるという。
オーストラリアでは、大学における「サイバーセキュリティ」「研究と知的財産」「海外との連携」「文化とコミュニケーション」の4つの分野での他国からの保護を強化するために、連邦教育省によって2019年に「多国干渉対策本部(UFIT)」が設立された。大学の副学長や政府関係者などで構成されている。
豪『シドニーモーニング・ヘラルド』紙によると、今年初め、ヒューマン・ライツ・ウォッチの報告書で、中国人留学生が親中派のクラスメートに監視されたり、嫌がらせを受けたりしていることが明らかになったことを受けて、連邦教育省がこれまでよりも厳しい内容の干渉対策のためのガイドラインの作成に取り組んでいる。...
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オーストラリアでは、大学における「サイバーセキュリティ」「研究と知的財産」「海外との連携」「文化とコミュニケーション」の4つの分野での他国からの保護を強化するために、連邦教育省によって2019年に「多国干渉対策本部(UFIT)」が設立された。大学の副学長や政府関係者などで構成されている。
豪『シドニーモーニング・ヘラルド』紙によると、今年初め、ヒューマン・ライツ・ウォッチの報告書で、中国人留学生が親中派のクラスメートに監視されたり、嫌がらせを受けたりしていることが明らかになったことを受けて、連邦教育省がこれまでよりも厳しい内容の干渉対策のためのガイドラインの作成に取り組んでいる。
ヒューマン・ライツ・ウォッチの報告書によると、中国共産党への批判的な発言が当局に報告されることを恐れて、学生が授業中に自己検閲を行っているという。また、ヒューマン・ライツ・ウォッチがインタビューした学者たちも、台湾などのデリケートな話題は、親中派の学生からの反発を避けるために教えるのが難しくなったと、自己検閲を行っていることを報告している。
報告書の著者であるソフィー・マクニールは、新規ガイドラインの草案は、オーストラリア連邦政府が報告書の指摘を考慮に入れたことを示すものだと述べている。「これまでのガイドラインでは、このような視点が欠けていたため、このような問題が認識され、対処されるようになったことは非常に喜ばしいことです。最終的なガイドラインには、学問の自由を守り、留学生やスタッフが直面するハラスメント、監視、自己検閲の問題に対処するための実践的な対策を盛り込むことが重要です。」と述べている。
一部の大学では、ヒューマン・ライツ・ウォッチが取り上げた問題に対応するため、すでにいくつかの対策を講じているという。例えば、シドニー工科大学では、今学期、留学生向けのオリエンテーションプログラムを更新し、許容できる行動や、他の学生による脅迫や監視を報告する方法についてのガイダンスを盛り込んだ。
同大学の副学長であるワッツ氏は、「教室で話し合われていることは、大使館に報告すべきことではないということを、私たちは学生に明確に伝えています。私たちは、学生たちにお互いをスパイするように勧めているのではありません。むしろ、個人情報をネット上でさらされたり、いじめられたり、講義中に自分の意見を言えないと感じたら、利用できるサポート体制があること、どういう対応をとるべきなのかを伝えているのです」と説明している。
新ガイドラインでは、大学における中国政府の影響力に対抗するための大学の責任を大幅に強化し、学生はキャンパス内での外国からの干渉の脅威を発見し、当局に報告する研修を受けることになる。また、海外の研究機関との共同研究に携わる学者や学生には、重要な研究成果が盗まれるという安全保障機関の懸念を受けて、「海外からの干渉の懸念を認識し、緩和し、対処する」ための特別研修が提供される。
米『エポックタイムズ』によると、大学当局と政府関係者は、ガイドラインの詳細、効果的な実施方法、ルールを守らなかった場合の大学への影響などについて、現在も議論を続けているという。
大学側は、外国からの干渉の脅威に対抗するためのいくつかの取り組みに反発していると言われている。特に、すべての学者に海外の政党に所属していることを申告させるという案は大きな反発を受け、撤回された。
オーストラリア安全情報機関(ASIO)は、3月の連邦議会での喚問で、オーストラリアの大学は敵対的な外国の情報機関に対して脆弱であると指摘した。ASIOのマイク・バージェス事務局長は、干渉の「脅威は、情報または、その国の利益に反することを行わないように環境を形成するなど、他国側が何を求めているかに応じて、さまざまな方法で教育機関と学生にやってくる」と述べ、「特にある国」が非常に活発に活動していると報告した。事務局長はまた、「全体的に見て、スパイ活動や外国からの干渉は、冷戦時代以来、見たことのない頻度になっている。これは重大な安全保障上のリスクであり、この国と研究・大学部門を効果的に管理する必要がある」と指摘した。
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