日本、米国要請で遂にウクライナ向け砲弾用火薬供給?【欧米メディア】(2023/06/04)
日本は、「防衛装備移転三原則(注後記)」で武器輸出を厳しく制限し、砲弾など殺傷能力のある装備品の輸出を禁じている。しかしこの程、日本が、米国内でのTNT火薬(黒色火薬)製造に難儀していることから、ウクライナ軍事支援のための砲弾用TNT火薬供給を打診されていることが分かった。
6月2日付米
『ザ・ヒル』(政治専門紙)、ウクライナ
『ザ・ニューボイス・オブ・ウクライナ』(英字紙)等は、欧米
『ロイター通信』記事を引用して、日本が遂に、ウクライナ軍事支援を行う米国要請に基づいて、砲弾製造用TNT火薬を供給する見込みだと報じている。
米国は、対ロシア制裁と並行して、ウクライナに対して様々な軍事支援を行っている。
そしてこの程、自国のTNT火薬製造工場の爆発で供給不安に陥ったことから、同火薬を日本のTNT火薬製造会社からも手当てしようとしていることが分かった。...
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6月2日付米
『ザ・ヒル』(政治専門紙)、ウクライナ
『ザ・ニューボイス・オブ・ウクライナ』(英字紙)等は、欧米
『ロイター通信』記事を引用して、日本が遂に、ウクライナ軍事支援を行う米国要請に基づいて、砲弾製造用TNT火薬を供給する見込みだと報じている。
米国は、対ロシア制裁と並行して、ウクライナに対して様々な軍事支援を行っている。
そしてこの程、自国のTNT火薬製造工場の爆発で供給不安に陥ったことから、同火薬を日本のTNT火薬製造会社からも手当てしようとしていることが分かった。
『ロイター通信』が匿名を条件に関係者から聴取したところによると、ウクライナ側が特に必要としている155ミリ砲弾製造のため、具体的企業名は秘匿されたが、日本のある火薬メーカーを供給元として組み入れる交渉が進んでいるという。
日本はこれまで、「防衛装備移転三原則」で武器輸出を厳しく制限し、砲弾など殺傷能力のある装備品は輸出を禁止してきた。
ただ、ウクライナに関しては、岸田文雄首相(65歳、2021年就任)が、“ウクライナ問題は明日の東アジアでの事態”に結びつきかねないと懸念を強め、昨年来、上記の運用を一部変更して、ヘルメットや防弾チョッキを供与している。
更に、『AP通信』報道によると、岸田首相は5月21日、来日中のウォロディミル・ゼレンスキー大統領(45歳、2019年就任)との会談を経て、100台の軍用トラックを提供することを決めたという。
なお、ロイド・オースティン国防長官(68歳、2021年就任)は6月1日、日米国防相会談後の記者会見で、“日本の武器輸出政策の変更を決めるのは日本政府だ”とした上で、“更にウクライナ支援で協調できるなら何時でも歓迎する”とコメントしている。
一方、『ロイター通信』が日本火薬工業会(1948年前身設立)の会員企業のうち、火薬類を扱う22社に照会したところ、TNT火薬を製造していると回答したのは中国化薬(1947年設立、本社広島県呉市)のみであった。
ただ、同社は、“TNT火薬の輸出について、米国政府や米軍から直接打診を受けたことはない”とコメントしている。
(注)防衛装備移転三原則:2014年4月に閣議決定された、日本国政府が採る武器輸出規制および運用面の原則。国家安全保障戦略に基づいて、武器輸出三原則に代わる新たな政府方針として制定。当三原則に基づき、国家安全保障会議(NSC)がこれまでに防衛装備の海外移転を承認したのは、地対空ミサイル部品の対米輸出、戦闘機用空対空ミサイルをめぐる英国との共同研究、及び2022年にウクライナより要請され防弾チョッキ等に止まる。
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バイデン大統領、中国の南太平洋地域での影響力拡大阻止のため同地域島嶼国との首脳会議主催【欧米メディア】(2023/05/11)
ジョー・バイデン大統領(80歳、2021年就任)は5月下旬、岸田文雄首相(65歳、2021年就任)が主催する主要7ヵ国(G-7)サミットに出席する予定である。そしてこの程、その帰路に南太平洋地域を訪れ、同大統領主催で同地域島嶼国首脳との国際会議を主催し、同地域で影響力拡大を目論む中国を厳しく牽制する意向である。
5月9日付
『ザ・ヒル』、5月11日付
『ロイター通信』は、ジョー・バイデン大統領が5月下旬、南太平洋島嶼国首脳との国際会議を主催し、同地域での影響力拡大を目論む中国を牽制する意向だと報じている。
ホワイトハウスのカリーヌ・ジャンピエール報道官(45歳、2022年就任)は5月9日、5月下旬に南太平洋のパプアニューギニア(PN、1975年豪州より独立)を訪問し、現地において太平洋諸国フォーラム(PIF、1971年設立、注1後記)18ヵ国の首脳との国際会議を主催すると発表した。...
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5月9日付
『ザ・ヒル』、5月11日付
『ロイター通信』は、ジョー・バイデン大統領が5月下旬、南太平洋島嶼国首脳との国際会議を主催し、同地域での影響力拡大を目論む中国を牽制する意向だと報じている。
ホワイトハウスのカリーヌ・ジャンピエール報道官(45歳、2022年就任)は5月9日、5月下旬に南太平洋のパプアニューギニア(PN、1975年豪州より独立)を訪問し、現地において太平洋諸国フォーラム(PIF、1971年設立、注1後記)18ヵ国の首脳との国際会議を主催すると発表した。
現職大統領として初めての南太平洋訪問となるが、同報道官は、“南太平洋地域は米国にとって長い関与の歴史がある”とした上で、“この首脳会議を通じて、同地域のみならず米国にとっても深刻な気候変動問題、海洋資源保護、経済復興に関わる協力体制構築につき協議される”と言及している。
同地域では、中国の影響力拡大戦略が目覚ましく、習近平国家主席(シー・チンピン、69歳、2012年就任)は2018年にPNで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC、1989年設立)に自ら出席し、以降の同地域への関与拡大を主導している。
なお、バイデン大統領主催の島嶼国との国際会議は5月22日に開催される予定だが、同大統領はその直前に、広島で5月19~21日に開催されるG-7サミットに出席するとされている。
また、当該国際会議後にはシドニーに飛び、豪州の初主催で5月24日に開催される四ヵ国戦略対話(クワッド会議、注2後記)に出席する日程となっている。
(注1)PIF:米・英国・フランス等の旧宗主国主導の南太平洋委員会(1947年設立された地域協力機構。現在の名称は太平洋共同体)に対抗して、島嶼国の主体性を堅持し、結束を図ることを目的として1971年創設。設立当初は南太平洋フォーラムで、2000年にPIFと改称。加盟国はPN、フィジー、ソロモン諸島、ツバル、サモア等16ヵ国に援助供与国の豪州、NZを加えた18ヵ国。
(注2)クワッド会議:日・米・豪・印の4ヵ国でつくる連携や協力の枠組み。メンバー国は、民主主義などの価値観を共有していて、それぞれ連携を強めることで、インド太平洋地域で存在感を高める中国の行動を抑えたい狙いを持つ。米国は中国に対抗する上で価値観を共有する同盟国や友好国との連携を重視していて、クワッド会議を首脳レベルに引き上げて、2021年3月にオンラインの首脳会議を開催。同年9月には対面での首脳会議を初めて開き、今後は毎年開催することで合意。2022年5月には日本で開催されている。
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