日本が主導するアジア開発銀行(ADB)の50周年となる年次総会が横浜で開催された。中国主導のアジア・インフラ投資銀行(AIIB)との連携等、アジア太平洋圏では今後のADBの活動方針に興味が寄せられているが、欧米メディアは関心がないようで、目下のところ目立った報道はない。
5月5日付パキスタン
『ザ・ニュース・インターナショナル』:「日本主導のADB、インフラ建設計画増強のためAIIBと協調」
日本主導のADBの中尾武彦総裁は5月4日、中国が推進する“一帯一路”政策に則ってアジア地域の大インフラ・プロジェクト具現化を目指すため、ADBはAIIBと協調していく方針であると表明した。
5月4~7日に横浜で開催される、第50回ADB年次総会の初日に語ったもので、同総裁は、AIIBは競争相手などではなく、アジア地域のインフラ開発に必要不可欠な膨大な資金を融資できるよう、協働していくことが重要であると付言した。...
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5月5日付パキスタン
『ザ・ニュース・インターナショナル』:「日本主導のADB、インフラ建設計画増強のためAIIBと協調」
日本主導のADBの中尾武彦総裁は5月4日、中国が推進する“一帯一路”政策に則ってアジア地域の大インフラ・プロジェクト具現化を目指すため、ADBはAIIBと協調していく方針であると表明した。
5月4~7日に横浜で開催される、第50回ADB年次総会の初日に語ったもので、同総裁は、AIIBは競争相手などではなく、アジア地域のインフラ開発に必要不可欠な膨大な資金を融資できるよう、協働していくことが重要であると付言した。
なお、1966年に創設されたADBは日米が主導してきていて、中国も1986年に加盟、そして2016年には合計融資額が317億ドル(約3兆5,500億円)にも上り、前年比+18%も伸びている。一方、中国主導のAIIBには日米は加盟していない。
同日付中国
『チャイナ・デイリィ』:「アジア開発銀行2行の目指すところは同じ」
中国主導のAIIBと日米主導のADBの棲み分けについて憂慮されているが、ADBの中尾総裁は、ここ2年間でAIIBの金立群(ジン・リーチュン)総裁と9度も議論を重ねたことに言及した上で、両行は相互協力していけるし、それが必要だと語った。
金融アナリストも、インフラ開発支援におけるADBの長い歴史、一方、設立間もないAIIBには欧州・南米・アフリカ諸国というアジア外の加盟国がいるというそれぞれの長所を以て、相互に補完し合えるものと評価している。
中尾総裁はまた、中国は1986年にADBに参加して以来、重要な加盟国となっているともコメントした。なお、中国は1986~2015年の間に、ADBから合計340億ドル(約3兆8,100億円)の融資を受けている。
一方、同日付韓国
『聯合(ヨナプ)ニュース』:「日中韓3ヵ国、保護主義に対抗していくと宣言」
日中韓3ヵ国の財務省及び中央銀行代表は5月5日、米国のドナルド・トランプ大統領等が唱える保護主義政策について、相互に協力してこれに対抗していくことで合意した。5月4日から横浜で開催されているADB年次総会の機会を捉えて、3ヵ国代表が会合を持ったもので、自由貿易が経済成長・開発にとって最も重要な事項の一つであるとする考えで一致した、と共同声明で触れている。
今年3月に開かれた主要20ヵ国財務相・中央銀行総裁会議においては、出席した米国代表の手前、保護主義に対抗するとの直接的表現の使用を避けていた。
なお、日韓からは財務相及び中央銀行総裁が出席したが、中国からは財政部副部長(副大臣に相当)及び中央銀行幹部のみの出席であった。肖捷(シャオ・ジエ)財政部長(大臣に相当)が欠席した理由は明らかにされていないが、目下中国と他2国とは不和となっている-すなわち、韓国は中国の意に反して米国製最新ミサイル迎撃システム配備を決定しているし、また、日本とは歴史の解釈及び安全保障問題を抱えている。
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