マルタ首相が1月に辞任すると表明、汚職事件調査の記者殺害事件をめぐり(2019/12/02)
地中海の島国マルタのジョゼフ・ムスカット首相は1日、国営テレビで演説し、自身が率いる与党・労働党が来年1月12日に新党首を選出後、辞任する意向を表明した。同国では、タックスヘイブン(租税回避地)の実態を暴いた「パナマ文書」によって発覚した汚職事件を調査していた記者の殺害事件をめぐり、首相の退陣を求める声が高まっていた。
英
『BBC』や
『ザ・テレグラフ』などが報じた。ムスカット首相は1月12日に党首の職を離れ、その数日後に首相を辞任する。しかし、マルタ人女性記者のダフネ・カルアナガリチア氏が殺害された事件の調査をめぐり、即刻の辞任を求める抗議活動が起きている。
「パナマ文書」はパナマの法律事務所によって作成された租税回避行為に関連する一連の機密文書であり、世界80カ国の報道機関107社の記者約400名がこの分析に加わった。...
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『ザ・テレグラフ』などが報じた。ムスカット首相は1月12日に党首の職を離れ、その数日後に首相を辞任する。しかし、マルタ人女性記者のダフネ・カルアナガリチア氏が殺害された事件の調査をめぐり、即刻の辞任を求める抗議活動が起きている。
「パナマ文書」はパナマの法律事務所によって作成された租税回避行為に関連する一連の機密文書であり、世界80カ国の報道機関107社の記者約400名がこの分析に加わった。同文書によりマルタの政界や企業幹部の不正を調査し、政府を追及していたカルアナガリチア氏は2017年10月、自宅付近で自分の車に仕掛けられた爆弾によって殺害された。
辞任を表明したムスカット氏は45歳。2013年からパナマの首相を6年間務めた。2度の選挙で地滑り的勝利を果たし、欧州連合(EU)最小の加盟国で社会改革の推進に当たった。カルアナガリチア氏は、ムスカット首相の妻や側近らの汚職疑惑を追及していた。
マルタの警察は11月26日、事件の首謀者とされるキース・シェンブリ前首席補佐官を逮捕し、28日に釈放した。またコンラッド・ミッツィ前観光相とクリスチャン・カルドナ経済・投資・中小企業相が、警察から事情聴取を受けた。3人は首相側近とされており、相次いで閣僚を辞任したり、自ら職務を停止したりした。
30日には側近らと繋がりがあったとみられる実業家のヨルネン・フェネック被告が事件の共犯者として起訴され、政権を揺るがす事態に発展した。フェネック被告は、パナマ文書に記載されたアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで登録された会社を所有していた。この会社が、シェンブリ氏とミッツィ氏が設立した会社に資金を流していたと言われている。
ムスカット首相は、辞任の決断について説明し、「私が負うべき全ての責任は、被害者の遺族が耐え忍ぶ苦痛とは比べようもない。」と述べた。遺族は、シェンブリ氏を釈放したことや、過去2年間マルタの政治の浄化を怠ったことなど、首相の事件への対応を強く批判。また、市民の抗議デモも発生し、ムスカット氏に対する辞任の圧力が高まっていた。
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蘭アムステルダム、有名な水上花市場などでチューリップの球根についての詐欺が横行(2019/10/17)
オランダの首都アムステルダムなどが15日に発表した調査結果によると、同市の有名な水上花市場で販売されたチューリップの球根のうち、実際に花が咲いたのはわずか1%であることが分かった。消費者に対する詐欺行為が常態化していることが判明している。
地元メディアのほか、
『AFP通信』や英
『ザ・テレグラフ』などが報じた本調査は、アムステルダム市とチューリップ農家などの委託により行われた大規模なものである。調査では、しばしばパッケージの写真に似た色の花が1つしか咲かないことや、球根の量が表示より少ないことなどの事実も明らかになった。
オランダの球根生産者協会(KAVB)は、市場でのチューリップの球根販売について、「消費者に対する詐欺が常習的に行われていることが調査によって示された。...
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地元メディアのほか、
『AFP通信』や英
『ザ・テレグラフ』などが報じた本調査は、アムステルダム市とチューリップ農家などの委託により行われた大規模なものである。調査では、しばしばパッケージの写真に似た色の花が1つしか咲かないことや、球根の量が表示より少ないことなどの事実も明らかになった。
オランダの球根生産者協会(KAVB)は、市場でのチューリップの球根販売について、「消費者に対する詐欺が常習的に行われていることが調査によって示された。」と結論づけた。KAVBのルネ・ルクレア会長は、「多数の観光客や日帰り旅行者が騙されている。」との声明を発表しており、アムステルダム市とKAVBは、本件を監視機構に報告した。
アムステルダムの水上花市場は同市の最も有名な観光地の1つであり、その歴史は1862年頃にまで遡る。当時花を売る人々がアムステル川を舟で上り、シンゲル運河に集まり市場を形成した。現在では、小さな温室を載せた多くの固定された艀の上で、チューリップの球根だけでなく様々な種類の花が販売されており、運河沿いの通りにも花屋がある。
今回実施された調査によれば、シンゲル運河の市場で販売され、その後植えられた1,363個の球根のうち、実際に花を咲かせたのはわずか1%程度の14個だけだった。92%は芽も出なかったという。調査では、同水上市場以外に、アムステルダム南方のリッセの球根花市場や農園などでも、同様の問題が起きていることが判明したとしている。
本調査は今年の4月下旬に行われている。アムステルダム市の広報担当者は、チューリップの球根を季節外れの春に販売し、買い手に誤った説明をしていることが問題と話しており、まともな花屋はそのようなことはしないと強調した。チューリップの球根は、北半球では8~12月に販売され、春に花を咲かせるため、冬が来る前に植えるのが一般的だ。
オスマントルコ帝国から400年前に輸入されて以来、チューリップはオランダの象徴となり、球根栽培産業も同国経済の柱に成長した。ルクレア氏は、チューリップの球根の詐欺行為は過去20年ほど続いている問題として、早急に根絶する対策を講じるよう訴えた。
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