中国当局、ウイグル問題めぐりH&Mやナイキに対してボイコット運動を呼びかけ(2021/03/26)
中国・新疆ウイグル自治区における強制労働の人権問題に対して懸念を示していたスウェーデンの衣料品大手H&Mや米スポーツ用品大手ナイキなど欧米のアパレル企業が、中国で急速に広がっているボイコット運動の対象となっている。
英紙
『ザ・テレグラフ』によると、ボイコット運動の発端は、中国共産党の青年団が24日に、昨年H&Mが新疆の人権問題に対し懸念を表明していたことをSNS上で非難したことだった。「中国で金もうけをしたい一方で、新疆ウイグル自治区の綿花をボイコットするための噂を広めるのか?」という投稿に、50万回近くの「いいね!」、4万回の「シェア」、1万6千件の「コメント」が寄せられた。
国営メディアはまた、H&Mは「数十億人の中国人の声を聞くよりも、少数の人々によって広められている嘘を信じている」という、新疆ウイグル自治区での人権侵害を否定する際に中国政府がいつも述べている同様のセリフで同ブランドを批判した。...
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英紙
『ザ・テレグラフ』によると、ボイコット運動の発端は、中国共産党の青年団が24日に、昨年H&Mが新疆の人権問題に対し懸念を表明していたことをSNS上で非難したことだった。「中国で金もうけをしたい一方で、新疆ウイグル自治区の綿花をボイコットするための噂を広めるのか?」という投稿に、50万回近くの「いいね!」、4万回の「シェア」、1万6千件の「コメント」が寄せられた。
国営メディアはまた、H&Mは「数十億人の中国人の声を聞くよりも、少数の人々によって広められている嘘を信じている」という、新疆ウイグル自治区での人権侵害を否定する際に中国政府がいつも述べている同様のセリフで同ブランドを批判した。
25日の朝には、中国のネット販売プラットフォームやオンラインマップ上で、H&Mの商品や店舗所在地の検索がブロックされた。
『ザ・テレグラフ』は、こうしたボイコット運動は、ウイグル自治区での人権侵害をめぐる欧米の制裁に対抗するための中国当局の戦略の一環であると報じている。EU、英国、米国、カナダは22日に、新疆ウイグル自治区でのウイグル人やその他のイスラム少数民族に対する人権侵害に責任があるとみなされる中国の政府関係者に対する制裁を発表したばかりであった。
英ニュース専門局『スカイニュース』は、消費者による自然発生的なボイコットという演出のわりには、ボイコットをうながす中国当局者の動きがあまりに目立つと伝えている。現在、あらゆる中国メディアがボイコット運動を支持する内容の報道を繰り広げている。
人民日報は、新疆ウイグル自治区の綿花の国内需要が高すぎて、同自治区では対応しきれないという記事を掲載した。新華社通信は、同地域の綿花収穫の様子を撮影したビデオを公開し、その95%が完全に自動化されていると指摘した。ある記者は、「新疆では綿花産業はとっくに機械化されているのに、誰が強制労働を必要とするのか?」と語り、CCTVでは、「H&Mはもはや全くファッショナブルではない。」と伝えている。さらには、外交省と商務省の両省が記者会見を開き、新疆での強制労働は「ナンセンス」だと述べた。
『スカイニュース』は、中国の公式メディアは、通常このような速さで反応することはないと指摘している。同メディアは、中国の一部のインターネットユーザーの間で、実際に怒りの声が上がっているのは間違いないが、関係組織が一丸となって動く今回の対応ぶりは、かなり前から予告されていた欧米諸国による中国への制裁措置に対し、中国があらかじめ独自の対応策を練っていた可能性が高いと伝えている。
米ニュースサイト『ブライトバート』によると、中国共産党の英字機関紙「グローバルタイムズ」は25日、H&Mが新疆の綿花産業から距離を置いたことに対して批判が殺到したことを受け、ナイキが「次のターゲット」であると伝えた。「グローバルタイムズ」によると、新疆ウイグル自治区の綿花を製品に使用していないと公表したナイキに対し、「#nike」というハッシュタグが中国版ツイッターの微博(Weibo)で最大のトレンドとなり、7億2千万のビューと53万のコメントが寄せられた。
編集長である胡錫進は25日に掲載した社説で、ナイキが強制労働を公に拒絶したことで中国政府からの反発を受け、「ついに報いを受けた」ことを称賛し、「すべての多国籍企業は地政学からは距離を置くべきだ」と述べている。
『スカイニュース』は、アメリカのトランプ政権は、貿易関税を通じて中国とのデカップリングを追求したが、失敗に終わった。しかし、少なくともファッション業界では、人権を理由にデカップリングが起こっている、と報じている。
中国はH&Mにとって4番目に大きな市場であり、ナイキにとっては全売上の19%を占めている。
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フェイスブックとオーストラリアの対決、評価分かれる(2021/02/26)
オーストラリアは25日、ニュースコンテンツをプラットフォームに表示する場合にニュース使用料を支払うことを義務付ける「ニュースメディア取引法」を可決した。しかし、数カ月に及ぶオーストラリア政府とプラットフォーム大手の争いの結果、内容の修正された法案が可決されることになり、その効果に評価は分かれている。
カナダ最大の日刊紙
『トロントスター』は、フェイスブックがニュース使用料を要求する法案に反発して、1300万人のオーストラリア人ユーザーが、ニュース閲覧ができなくなる措置を予告なく取ったことは傲慢であったと報じている。
フェイスブックはその後、オーストラリア政府が条件を緩和する方向で修正を加えたことで措置を解除し、新法に合意した。『トロントスター』は、フェイスブックはかなり譲歩し、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者がG20の国をいじめて服従させようとした初の試みは失敗に終わったと報じている。...
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カナダ最大の日刊紙
『トロントスター』は、フェイスブックがニュース使用料を要求する法案に反発して、1300万人のオーストラリア人ユーザーが、ニュース閲覧ができなくなる措置を予告なく取ったことは傲慢であったと報じている。
フェイスブックはその後、オーストラリア政府が条件を緩和する方向で修正を加えたことで措置を解除し、新法に合意した。『トロントスター』は、フェイスブックはかなり譲歩し、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者がG20の国をいじめて服従させようとした初の試みは失敗に終わったと報じている。
同紙は、新法の成立は、単にニュース使用料の義務化の法案が通ったというものではなく、今回繰り広げられたテック企業対政府の確執は、世界の指導者たちの注目を集め、プラットフォーム大手を抑制するための独自の対策を計画している指導者たちを勇気づけたと伝えている。そして、オーストラリアで繰り広げられた論争は、ソーシャルメディアの改革に新たな弾みをつけたという。同紙は、オーストラリアは20年以上前の創設以来、無法地帯であり続けたソーシャルメディア業界に、最初の意味ある規制を課すことで画期的な成果を達成したと伝えている。
一方英ニュースサイト『ザ・テレグラフ』は、フェイスブックとグーグルはオーストラリア政府に対し恐喝行為を行ったとする記事を掲載している。
デイリーメールをはじめ複数のメディアを所有する「デイリーメールアンドジェネラルトラスト(DMGT)」の会長であるロザミア卿は、英「フィナンシャルタイムズ」に掲載された投書で、ニュース使用料騒動について「政治家は非常に心配すべきだ」と述べている。
ロザミア卿は、「ニュースを報道するにはお金がかかる。しかし、何年もの間、グーグルとフェイスブックは使用料を払わずにニュースコンテンツを略奪してきた。同時に彼らが支配している広告市場から、これまで以上に大きな利益を得ている。」と2社を批判している。
そして、新法導入に対し「プラットフォームは恐喝で応答した。グーグルはオーストラリアでの検索エンジン提供を停止すると脅し、フェイスブックはニュース閲覧や共有を遮断した。オーストラリアは身代金を要求され、そして降伏した」と述べている。条件の緩和された修正案が可決されたことで、グーグルやフェイスブックは、ニュースパブリッシャーに対し「この金額で満足できないなら、お帰りください。」という姿勢での取引が行えることになった。「これでは公正な独立した仲裁は存在しないだろう。」と指摘している。
ロザミア卿は、「フェイスブック自らが、自社が選んだニュースパブリッシャーをサポートするために、ニュースが表示されるかどうかを決定する権限はフェイスブック側が保持するということをオーストラリア政府は明確にしたと発表した。言い換えれば、フェイスブックがこの戦いに勝ったのである。フェイスブックが、ソーシャルメディアでどのニュースが読まれるか、それに対していくら支払うかを決定することになる。」と述べている。そして、「今、政治家たちは、誰がルールを作っているのか、と自問自答しなければならない。プラットフォームが、自分たちが好む出版社との秘密の取引で、一般の人々が読むことができるニュースを決定するのだろうか?それとも政府や規制当局は、すべての人に公正で透明性のある取り扱いを保証するために、真の決意を持って行動するのだろうか?」と問いかけている。
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