11月30日付「北朝鮮、潜水艦型弾道ミサイル発射失敗?」の中で、“金正恩(キム・ジョンウン)体制になってから処刑された(政府、軍)幹部が100人に上るとみられる。金氏による絶対権力の無理強いや、無慈悲な処刑が続いていることから、金氏と上層部との信頼関係が弱まっていると言われている”と報じた。北朝鮮国内で報道管制が敷かれているとは言え、見せしめのために一般市民を公開処刑に立ち合わせたり、また、電力難問題が依然改善されず、不便を強いられている市民にしてみれば、韓国等の生活様式を人伝に聞いたりする度に、自分の国を捨てたいと思う人が後を絶たないのは頷ける。こうしたことが背景にあるのか、最近日本の日本海側に、多くの北朝鮮人と思しき死体を載せた木造船が何隻も漂流、漂着していると米メディアが伝えている。
12月1日付
『ニューズウィーク』誌は、「日本の海上保安庁によると、10月以来、死体を載せた10隻以上の木造船が日本海沿岸に漂着しているという。船型や朽ちた北朝鮮国旗が発見されていることから、これらの船は北朝鮮の漁船とみられる。死体は合計20体以上に上り、その内2遺体は首が切断されていた。北朝鮮研究専門家によると、漁船は朝鮮人民軍の配下にあり、金氏の号令で漁民は多くの漁獲量を上げるよう強いられていた模様で、多分に脱北した人達が乗っていたものと思われるという。」とし、「このように木造船が漂流、漂着することは初めてではなく、今年だけで少なくとも34隻、2014年は65隻、2013年には80隻も船が漂流、漂着している。」と報じた。
12月2日付
『ザ・ウィーク』誌は、「専門家によると、最近、中国との国境検問が非常に厳しくなったため、危険を顧みず木造船での脱北を敢行したものと思うという。ただ、多くの脱北者を乗せて航行するにはエンジンが小さすぎて海流を乗り越えることができず、漂流してしまったものとみられる。」と伝えた。
なお、漂着した木造船の中には、ハングルで「保衛部」と記されたものがあるが、これは「北朝鮮国家安全保衛部」のことである。同部は金氏直属の超法的機関であり、秘密警察及び情報機関の役割を遂行している。しかし、漂流船がボロボロであること、また、発見された遺体の姿から、スパイ行為等の使命を帯びていたとは思われない。ただ、同部の任務の遂行に使われていた船が老朽化したため、漁民に払い下げられて、それが脱北に使われたものと推測される。
金日成(キム・イルソン)体制下で行われた日本人拉致事件が公になった1990年代初め以前から、船で日本海を渡って脱北する人が何年かに一度おり、独裁国家北朝鮮の悪名がとどろき始めていた。しかし、上記報道どおり、漂流、漂着しているおびただしい数の船舶から判断して(それが全て脱北に使われたとは思われないが)、金正恩体制のきしみがいよいよ限界に達し始めていると言えなくもない。
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「マリファナ合法化」がアメリカのオハイオ州で論争の的となっていたが、この度投票が行われ、否決されることが明らかになった。アメリカではマリファナを医療用、嗜好用のいずれか、または両方で合法化している州もあり、オハイオ州もその流れに続くのかが注目されていた。各メディアは以下のように報じている。
11月3日付
『ザ・ウィーク』によれば、マリファナの使用を合法化する法案は、オハイオ州憲法を修正する法案の形をとって提案されており、医療用と嗜好用の両方のマリファナ使用の合法化を提案するものだったという。この法案によれば、オハイオ州の住民で、21歳以上の者は嗜好品としてマリファナを吸引したり、食品として摂取できるという。この法案が可決されれば、アメリカ国内では、医療用と嗜好用のマリファナの使用を初めて同時に認めるものとなるはずであったが、オハイオ州内88の地域全てで否決され、法案に対する賛否の割合は、全体の構成から見ると65%が反対、35%が賛成だったという。
では、なぜ法案は否決されたのか。
「マリファナ独占に反対するオハイオ州」の理事長であるステイナー氏は「法案3(今回のマリファナを合法化する法案の番号のこと)はオハイオ州での嗜好用マリファナの市場における実権を握ろうとする法案以外のなにものでもない。オハイオ州民は甘言につられたり、税収が上がるなどという虚偽の主張には騙されない」と語ったという。
法案3では、少なくとも4年間は10の投資団体が同州での商業用マリファナ栽培の実権を握ることが予定されていたという。
同記事は「コロンバス・ディスパッチ」(オハイオ州の地元紙)の記事を引用し、24人前後の投資家らが、約2500万ドル(約30億円)を法案のキャンペーン活動に投じていたという。この投資家の中には著名人も含まれており、アメリカ合衆国第27代大統領ウィリアム・ハワード・タフトの子孫やNBAの元プレーヤーであるオスカー・ロバートソン、さらには元アイドルでテレビでも活躍中のニック・ラシェイも含まれているという。
11月4日付
『BBC』は、アメリカ国内では20以上の州で医療用のマリファナ使用が認められていることを報じたうえで、法案のキャンペーン活動には120万ドル(約1億5000万円)が費やされたものの、2対1の大差で否決されたと伝えている。また、同記事は法案がオハイオ州内10の地域での商業用マリファナの栽培を認めるものであるが、実質的にはマリファナ栽培の権利の独占につながるとの批評を載せている。それを裏付けるかのように、法案に積極的に推進していた投資家らには前述の人物の他に服飾デザイナーなども名前を連ねているという。
同記事は、法案が可決されれば、オハイオ州内の店舗ではマリファナに漬け込んだ菓子類やその他関連商品が販売されることも可能だったとしている。
この法案をめぐっては、小児病院や業界団体、農場経営者らから強い反発が起きていたという。
11月3日付
『Aol.com』は「AP通信」の記事を引用し、今回の法案賛成のキャンペーン活動には巨額の費用が投じられていたことを伝えている。また、キャンペーン活動の際に用いられた表現方法をめぐって法廷闘争にまで発展したり、法案可決の嘆願書の真正に疑義が生じ、調査が行われたりしたという。
法案はマリファナの規制や課税方法まで広くカバーするものであったが、やはり問題は州内の10の施設での栽培を認めるやり方が問題視されていたとする。このやり方では富の偏在が生ずるとして、反対派からはもちろん、医療用と嗜好用を分離して考えるべきとの主張者らからも反対されていたという。
11月4日付
『wlwt.com』(オハイオ州)は、今回の投票結果を伝えた上で未だに法案には賛否両論あることを報じている。同記事は今回投票者らが拒絶反応を示したのは「少数者による利益の独占」であったと分析している。同記事は先月、コネチカット州にあるキニピアック大学が行った事前調査を引用している。同調査によればオハイオ州民のうち嗜好用のマリファナに対して、53%が賛成、44%が反対、医療用に関しては実に90%が賛成だったというのである。
カリフォルニア大学教授のニーブン氏も「アメリカ人はセオドア・ルースベルト大統領の時代から独占という言葉に対して恐怖心を抱いている」とコメントしている。
オハイオ州以外にも少なくとも10州が来年にかけて、同様の法案の可決に向けて動いていおり、今回のキャンペーン活動の失敗は後に続く者たちの教訓になるかもしれないとしている。
危険ドラッグの規制が声高に叫ばれる日本とは次元の異なる話かもしれないが、何事も「やり方次第」といったところか。
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