韓国の人口の4分の1を占めるソウルと釜山の2大都市で7日、市長選が行われた。来年3月の大統領選の前哨戦と位置付けられた今回の選挙は、保守系最大野党「国民の力」の候補者がソウルと釜山の2つの市長選で圧勝した。
仏紙
『ル・フィガロ』によると、「韓国の保守派の野党が、韓国の2大都市であるソウルと釜山で行われた選挙で地滑り的な勝利を収めた。この結果は、大統領選挙を1年後に控えた文在寅大統領の民主党にとっては大きな敗北となった。民主党の手中にあった2つの都市では、昨年から市長が不在だった。前ソウル市長と前釜山市長は在任中にセクハラの告発を受け、前ソウル市長は自殺し、前釜山市長は辞任した。
ソウルと釜山を合わせると、韓国の人口の約4分の1を占めており、今回の選挙結果は、来年3月に実施される大統領選挙の前哨戦として位置づけられていた。首都ソウルでは、保守系最大野党「国民の力」のオ・セフン(呉世勲)氏が与党民主党の候補者を57.5%対39.2%の得票率で破り、首都圏の25地区すべてで勝利を収めた。釜山では、保守党の勝利はさらに圧倒的で、34.4%に対して62.7%の得票率で完勝した。
中東カタールのメディア『アルジャジーラ』によると、投票率は、ソウルで58.2%、釜山で52.7%となり、地方選挙としては初めて50%を超えた。2人の新市長は、前任者の4年の任期のうち、残りの14ヶ月を務めることになる。
韓国ギャラップ社の調査によると、韓国の憲法で1期限りと定められている文大統領の支持率は先週、過去最低の32%に急落し、58%が自分の仕事に不服を持っているという。
今回の市議会選挙の結果は、民主党が地滑り的な勝利を収め、国民議会で大多数を占めた昨年の議会選挙の結果と対照的となった。
「コリアタイムズ」のコラムニスト、チェ・ソンジン氏は今回の結果について、ドイツ国際放送『ドイチェ・ヴェレ』に対し、「リベラル派の役人は、公共の利益よりも個人の利益を優先するという点で、保守派に劣らないことを証明した。有権者は失望した。」と説明している。
文在寅大統領と民主党は、不動産価格の高騰、格差の拡大、高官による数々の汚職や性的暴行のスキャンダルなどにより、ここ数ヶ月で支持率が急落している。大統領報道官によると、文在寅は市長選の結果を受けて、「国民の制裁を厳粛に受け止める」と述べ、「これまで以上に責任感を持って国政を処理する」と約束した。また、新型コロナウイルス危機の克服、経済の活性化、汚職の根絶など、国民の「切実な要求」に応えるために努力していくと述べたとされている。
『ドイチェ・ヴェレ』は、北朝鮮との平和構築を優先していた文大統領が、国内問題をより重視するようになるだろうと伝えている。今後の課題は、今回の保守派の勝利が、国政にどのような影響を与えるか、そして来年3月に予定されている大統領選挙にどのような影響を与えるかという点だと報じている。
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朴槿恵大統領とその長年の友人チェ・スンシル氏を巡る政治介入や不正資金疑惑の捜査の一環で、韓国検察は、韓国の大手企業、サムソン電子に家宅捜索に入ったという。サムソン電子の会長は韓国の馬術連盟の会長も務めており、チェ氏のドイツの会社へのコンサルティング名目で、実際には娘チョンユラ氏の馬術トレーニング目的で、310万ドルの資金援助をした疑いがもたれていると報道されている。また、朴大統領の前首席秘書官らもスピーチ原稿をチェ氏に渡したり、支援企業とチェ氏の仲介をした疑いで逮捕されたという。チェ氏はこのように政治的地位を持たず、怪しまれず国政に介入、次々と浮上する政治介入疑惑は、国政を不安定にし、今後の韓国の外交と安全保障問題を極めて不透明にすると専門家は警鐘を鳴らしている。韓国の混乱に付け入る北朝鮮の今後の挑発行為のあらゆる可能性にも警戒すべきとの声も上がる。
11月7日付
『ロイター通信』は「韓国検察、サムソン電子を家宅捜索」との出しで以下のように報道している。
火曜検察が朴槿恵大統領とその友人チェ・スンシル氏が関与する政治スキャンダルへの捜査の一環として、サムソン電子の事務所を家宅捜索、取材に対し検察は詳細にはノーコメント。
韓国「聯合ニュース」は、検察はサムソンによるチェ氏の娘への資金援助の疑いで調べが進んでいると報道しており、サムソンによるチェ氏とその娘(以前韓国馬術代表選手)が共同経営する会社への310万ドルの資金援助の疑いがある。...
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11月7日付
『ロイター通信』は「韓国検察、サムソン電子を家宅捜索」との出しで以下のように報道している。
火曜検察が朴槿恵大統領とその友人チェ・スンシル氏が関与する政治スキャンダルへの捜査の一環として、サムソン電子の事務所を家宅捜索、取材に対し検察は詳細にはノーコメント。
韓国「聯合ニュース」は、検察はサムソンによるチェ氏の娘への資金援助の疑いで調べが進んでいると報道しており、サムソンによるチェ氏とその娘(以前韓国馬術代表選手)が共同経営する会社への310万ドルの資金援助の疑いがある。
サムソン電子の社長は現在韓国馬術連盟の会長も務めており、社長室も捜査の対象となっているとの報道もある。捜査筋によると、サムソン幹部は既に聴取済みだという。検察が韓国乗馬連盟と馬事務組合の家宅捜査も開始したとの報道もある。
朴大統領はスキャンダルに関し2度謝罪したもののその支持率は5%(ギャラップ調査)に落ち、1988年の統計開始以来最低となった。これまで歴代大統領で5年の任期を全うできなかった大統領はなく、朴氏は強硬派や世論による辞任への圧力がかかる恐れがあるが、野党は弾劾手続き着手への意向は示していない。
11月8日付韓国
『コリアタイムズ』(聯合ニュース引用)は「検察がチェスンシル疑惑でサムソン電子本社を家宅捜索」との見出しで次のように報道している。
朴大統領とその友人チェ・スンシル氏を巡る疑惑捜査の一環で、検察はソウル南部のサムソン電子の本社などを家宅捜索、大企業の本社が家宅捜索対象となったのは8年振り。韓国馬術連盟に関わる事業における文書改ざんなどの容疑があるという。馬術連盟はチェ氏の娘チョンユラ氏への不正優遇が疑われている。スポーツ連盟会長を兼任するサムスン電子の広報担当部長の事務所も捜索対象となった。チェ氏が所有するドイツの会社へコンサルティング名目だが実際には娘の馬術トレーニング目的で、サムソン電子による310万ドルに及ぶ資金援助があったかが捜査の主要な目的とされる。検察がサムソン社の名字が「キム」とされる常務理事に聞き取り調査を行った5日後の家宅捜索となった。チェ氏は不正資金授受などの疑いで検察で事情聴取のため拘束中。
11月7日付韓国
『コリアタイムズ』は「チェ氏のスキャンダルは安全と外交を脅威にさらす」との見出しで以下のように報道している。
今回の大統領と友人のスキャンダルは外交と安全保障問題、特に北朝鮮の核開発に影響を与えると専門家らは警鐘を鳴らす。宗教カルト教祖の娘、チェ氏は朴大統領との親密らを利用し安全や経済政策、就任演説原稿に至るまで政治的地位を持たず、怪しまれず国政に介入した疑いがある。韓国の混乱に付けこむ北朝鮮の今後の挑発行為のあらゆる可能性を警戒すべきとの声が上がる。
北朝鮮研究大学のヤン教授は、THAAD配備などの重要な安全保障や慰安婦合意などの微妙な政策決定は延期されるべきだと主張。また、日韓軍事協定会議も不安的な状況下では中止すべきで、北朝鮮の今後の動きを注視するべきだとする。北がムスダンミサイルを再発射する可能性が高く、国連決議に反発する可能性も高いという。
Sungshin女子大国際政治学の金教授は、韓国の外交力は著しく弱まり、日中韓首脳会談をはじめとする他国との交渉での成果は期待できないとする。だが混乱の中朴大統領が何も出来ないというわけでなく、首脳会談に参加し国連決議終結で積極的役割を果たすことで国の損失を最小限に食い止めることは可能だとする。北朝鮮は米国の大統領選挙を注視しており、選挙前ムスダン発射する可能性も示唆。
他、専門家の意見としては、政府の司令塔不在で外交や安全がおろそかになるのが最大の問題、辞任を求める市民の声も大きく、信頼回復は大変困難、北朝鮮は朴氏が挑発的発言をしてこなかったため挑発的動きはないとの見方がある。現状では、北は見ず、政治危機収拾を確実にすべきで大統領が辞任し新大統領をたてるしか解決法がないとする意見もあった。
同日付中国
『人民日報』(新華社通信引用)は「韓国検察、大統領との癒着疑惑で大企業の本社を家宅捜索」との出しで以下のように報道している。
韓国検察は月曜、朴大統領との密会疑惑でコングロマットを家宅捜索、昨年朴氏の親友チェ・スンシル所有の2つの財団へ資金援助をした疑いがある。韓国メディアによると、検察の特別捜査隊が韓国産業連合会(FKI)の2人の幹部を徴取。
朴大統領は昨年7月24日大統領官邸で17人の企業の幹部らとランチミーティングを行い、韓国文化の推進を目的とした非営利団体設立の資金援助への賛助を求めた。オープニングイベント後、朴氏は7人の参加者と翌日にわたり個別に会談、参加者の中にはサムソン電子のイジェヨン副会長、現代自動車のチョンモン・ クー会長、LGグループのクーボン・ムー会長らがいたという。検察は朴大統領は7人にミール財団及びKスポーツ財団(チェ氏が実行管理)への寄付を要求したとみている。
チェ氏が大企業をゆする手助けをしたとみられる容疑で拘束されている元大統領秘書官ジョンジョンボム氏への聴取により証拠をつかんだ。また、長年朴氏をサポートしていたチョンホー・インソン元秘書官の携帯電話が検察により解析されており、機密文書をチェ氏に頻繁に渡していた疑いがあるという。
チェ氏には、全く警戒態勢も政治地位もないにもかかわらず、閣僚とのアポ、外交、防衛、経済上の批評や助言を行った政治介入の疑いがある。
「必要があれば」捜査を受け入れると発言した朴大統領に国民の関心は集まっている。レアルメーターの成人2538人を対象とした調査によると、先週11.5%だった支持率が7.5%も下落。
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