既報どおり、新型コロナウィルス(COVID-19)感染流行問題に関わり、COVID-19発生源が武漢(ウーハン)ウィルス研究所と主張するトランプ政権と、自国の感染抑制失敗の責任転嫁だと反論する中国が反発し合っている。そしてこの程、発生源特定は未定としながらも、そもそものCOVID-19世界流行の発端は、中国政府であり、それに忖度した世界保健機関(WHO)であるとする、欧米諜報機関(UKUSA協定、通称“ファイブ・アイズ”、注後記)の調査報告が明らかになった。最近、富に中国との軋轢が激しい、豪州の諜報機関からリークされたとみられる。
5月8日付
『ニューヨーク・ポスト』紙:「WHO、何故中国を擁護することが止められない?」
先週リークされた(編注;5月2日付豪州『サタデー・テレグラフ』紙報道)、諜報機関ファイブ・アイズの調査報告によると、中国政府がCOVID-19感染拡大の初期段階で、取得したウィルス検体の破棄、問題提起した関係者の“失踪”等、中国政府の責任に帰するところが多々あるとされている。
同報告では、COVID-19の発生源が武漢ウィルス研究所であるかまで結論付けていないが、初期段階の中国政府の対応の問題点について、WHOが擁護する対応を取ってきていることも問題だと指摘されている。
しかし、WHOで緊急事態対応を統括するマイク・ライアン氏は、COVID-19発生源が武漢ウィルス研究所だとするのは“憶測”だとした上、そう主張する米国は”証拠を一切示していない“と発言し、未だに中国を擁護する立場を取っている。
ところが、WHO研究者は2月以来中国を訪問していないし、また、中国側もCOVID-19発生源特定の調査班の受け入れを拒んでいる。
同調査報告でも明らかだが、WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェソス事務局長が初期段階から、中国政府の“透明性”を評価する発言をした上で、中国の虚偽報告にお墨付きを与えただけでなく、3月になるまで“世界流行”と指定することを拒んできた責任は重い。
5月9日付『コミュニティーズ・ディジタル・ニュース』:「中国の真珠湾攻撃;中国共産党政府がCOVID-19を西側諸国で故意に感染拡大」
この程明らかになった、ファイブ・アイズの調査報告によると、中国発症のCOVID-19が、欧州、米国、日本、韓国、豪州他世界各地に感染流行していった背景に、中国側の謀議があったことが明白である。
すなわち、中国政府は当初、武漢市民や湖北省住民が他省、他市を訪問することを何週間も禁じていたのに、その間、中国人が欧州、米国等中国以外の国を訪問することは制限していなかったことから、数十万人の中国人旅行客がそれらの国々を訪問し、結果としてCOVID-19を世界中にばらまくことになっている。
更に、中国側の謀議だと示す事態が次のように明らかにされている。
●口封じ、ネット検閲
・昨年12月に、異常事態に気が付いて警鐘を鳴らした医師らが拘束されたり、行方不明になっている。
・同様に、武漢ウィルス研究所でCOVID-19に最初に感染したと言われる研究者が行方知れずになっている。
・また、中国のネット検閲当局が、中国市民による“SARS(重症急性呼吸器症候群)”、“武漢海鮮市場”、“武漢の未知の肺炎”という単語検索をブロックし、徹底した情報操作を行っている。
●証拠隠滅
・中国国家衛生健康委員会(NHC)から武漢の関係病院や研究所に対して、保管しているウィルス検体を廃棄するよう指示が出されている。
・また、武漢海鮮市場の露店等は漂白殺菌されている。
・更に、上海にある研究所も、初期の生ウィルスの遺伝子データなどの公開をしない方針を打ち出し、また、中国科学技術部(日本の旧科学技術庁に相当)が、関連論文を事前にチェックする体制が敷かれている。
●WHOの落ち度
・昨年12月頃から、台湾や香港から“ヒトヒト感染”を懸念する指摘があったが、中国政府はその脅威を過小評価していた。
・WHO事務局長も、中国政府説明を鵜呑みにし、その対応を擁護する立場を取った。
・WHOが、3月まで世界流行と認定しなかったため、欧米諸国がそれまでの間に感染拡大への対応措置を取ることができなかった。
●中国による他国政策批判
・中国は、国内での国民の移動を大幅制限していたにも拘らず、米国などの行った中国人旅行者の入国制限措置を批判した。
・WHOも、これに加担して、ヒト・物の入国制限は不要と発表していた。
・更に、中国は、米国以外の豪州など中国より力の劣る国が、COVID-19について独立した機関による調査を要求すると、それらの国に対して“貿易制限”という経済力を使って脅しにかかってきた。
以上の調査報告内容を踏まえると、米国はかつての旧日本軍による米軍オアフ基地急襲(真珠湾攻撃)を思い出させられる。
ただ、今回の中国による真珠湾攻撃は、米国にとっては旧日本軍のそれより遥かに被害が甚大で、また、欧州においても大殺戮という悲劇を見させられることになっている。
(注)ファイブ・アイズ:1946年設立の、米、英国、カナダ、豪州、ニュージーランド5カ国の諜報機関が世界中に張り巡らせたシギント(諜報活動)の設備や盗聴情報を、相互利用・共同利用する為に結んだ協定。共通点は、大英帝国の植民地を発祥とするアングロサクソン諸国の機関であること。各国の協定締結組織は、米国家安全保障局(NSA)、英国政府通信本部(GCHQ)、カナダ通信保安局(CSEC)、豪州参謀本部国防信号局(DSD)、ニュージーランド政府通信保安局(GCSB)。
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