地球の境界の危険度、専門家が警鐘
「地球の境界(プラネタリー・バウンダリー)」は、越えると取り返しのつかない環境変化が生じる可能性がある閾値で、9つの境界(気候変動、海洋の酸性化、オゾン層破壊、窒素使用、淡水利用、土地システムの変化、生物多様性の損失、大気エアロゾルの負荷、化学物質による汚染)が2009年に発表された。最新の発表では地球の状況は更に悪化しているとされる。地球の境界枠組みは、政策やビジネスにも影響を与えている。
9月14日付
『ロイター通信』:「人間の活動が地球の生命維持装置を危険にさらす」:
13日に発表された科学研究によると、人間による活動の結果、地球の生命維持装置へのリスクが高まりつつあり、以前に増して不確実性が増しているという。
「サイエンス・アドバンシス」誌に掲載された専門家29名の国際チームによる地球の「健康チェック」によると、地球は「安全を維持する領域を遥かに超えている」ことが判明したという。...
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9月14日付
『ロイター通信』:「人間の活動が地球の生命維持装置を危険にさらす」:
13日に発表された科学研究によると、人間による活動の結果、地球の生命維持装置へのリスクが高まりつつあり、以前に増して不確実性が増しているという。
「サイエンス・アドバンシス」誌に掲載された専門家29名の国際チームによる地球の「健康チェック」によると、地球は「安全を維持する領域を遥かに超えている」ことが判明したという。
この研究は2015年の論文を発展させたもので、人間の生命の安全境界である生物多様性、気候変動、新鮮な水の確保などの「9つの地球の境界」のうち既に6つが限界を超えたとしている。
9のうち8つは、2015年時のアセスメントより更に厳し状況に陥っており、成層圏のオゾン層のみが改善。それ以外は地球の生活条件を格段に悪くしているという。
筆頭著者でコペンハーゲン大学のキャサリン・リチャードソン氏は、「境界を超えることが人類文明の停止を即意味するわけでないが、維持装置の不可逆的な変化に繋がりかねない。地球を人体になぞらえると境界は血圧で120/80を超えると発作ではなくともリスクの上昇に繋がる」としている。
科学者らは、森林破壊や植物燃料の消費拡大、プラスチックなどの人口製品の普及、遺伝子組み換えや合成化学薬品に警鐘をならす。種の絶滅のペースが過去1000万年の平均より早くなっているとされ、これは遺伝的多様性の安全境界を超えたことを意味する。
評価された9つの境界のうち、「海洋の酸性化」、「オゾン破壊」、ばい煙のような微粒子に関する「大気エアロゾルの負荷」は安全基準内だと判断されているが、「海洋の酸性化」は危険水域にあるという。
9月13日付仏『フランス24』:「人類は地球の境界の危険ゾーンにいる」
人間の活動や欲求が、地球の回復力を弱め、安全が維持されていないとする研究結果が13日発表された。
9つの領域のうち、気候変動、森林破壊、生物多様性の喪失、プラスチックなどの合成化学物質、水不足、窒素使用の6つが既にレッドゾーンに入っていると科学チームが報告している。残る3つのうち2つの領域は、海洋酸性化、大気中のばい煙だが、安定して安全な域にあるという。
デンマークのグローブインスティチュートの教授で第一著者のキャサリン・リチャードソン教授は、地球の領域とは、「地球を、人類と近代文明が発展した過去1万年以上に渡り続いてきた生存可能な状態に保つ重要なプロセス」とする。
この研究は、同様のコンセプトでの2つ目の大きな研究で、最初の2009年には地球温暖化、絶滅ペース、窒素のみが領域を超えていると報告されていた。
共著者でポツダム気候影響研究所のヨハン・ロックストローム所長は記者会見で、「今も我々は誤った方向に向かっている。オゾン層以外に、どの領域も正しい方向に改善しているとの指標は見当たらない。我々は回復力を失いつつあり、地球の組織の安定性を危険にさらしている」と警鐘をならす。
人間が作り出す科学物質、マイクロプラスチックや農薬、核のゴミや薬物に至るまで環境内に浸透するが、この研究で初めて量として示され、安全限度を超えていることが判明した。重要な発見は、異なる領域が相互に影響し相反したりする点だという。
「気候変動」の次に「生物圏の統合」が地球にとっては重要となるという。地球の境界枠組みは、「地球システム科学」の中心となり、現在では政策やビジネスにも影響を与え始めている。
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カナダメディア;米国同様カナダでも北京冬季大会視聴率低迷もストリーミングでカバー、と報道
既報どおり、米国における北京冬季大会のテレビ視聴率が低迷している。米メディアは、新型コロナウィルス(COVID-19)感染問題の最中での開催のみならず、米中対立が激化していることから止む無いとしているが、カナダにおいても、カナダ人実業家の中国当局による不当拘束問題等、中国との軋轢もあって、同様に低迷している。ただ、米メディアと同様、カナダメディアも「ストリーミング(注後記)」視聴率増でカバーされているとする。
2月12日付
『グローブ&メール』紙(1936年設立)が、カナダ公共放送
『CBCテレビ』(1952年開局)が集計したデータをもとに、目下開催中の北京冬季大会の視聴率について詳報した。
それによると、2月4日の開会式当日を除く最初の6日間のプライムタイム(午後7時から深夜12時まで)のテレビ視聴者数は105万5,500人と、同日数の東京夏季大会の129万人、また、前回2018年の平昌冬季大会の194万人から大きく後退しているという。...
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2月12日付
『グローブ&メール』紙(1936年設立)が、カナダ公共放送
『CBCテレビ』(1952年開局)が集計したデータをもとに、目下開催中の北京冬季大会の視聴率について詳報した。
それによると、2月4日の開会式当日を除く最初の6日間のプライムタイム(午後7時から深夜12時まで)のテレビ視聴者数は105万5,500人と、同日数の東京夏季大会の129万人、また、前回2018年の平昌冬季大会の194万人から大きく後退しているという。
ある広告代理店が『グローブ&メール』紙に語ったところによると、『CBC』が当初目論んでいた視聴率に比べて25%も下回っているという。
この凄まじい落ち込みは、米国の低視聴率と同様の事態で、米『NBCテレビ』(1938年開局)のプライムタイムの視聴者数は、平昌大会の2,300万人から僅か1,230万人と46%も下落している。
ただ、両冬季大会の競技日程及び放送時間の違い等から、単純に比較することはできない。
例えば、平昌大会でカナダのマックス・パロット選手(当時23歳)及びマーク・マクモリス選手(同24歳)がスノーボード・スロープスタイルでそれぞれ銀・銅メダルを獲得した際、カナダ東部時間午後9時28分の放送で340万人が視聴していたが、今回の北京大会では、同じく両選手がそれぞれ金・銅メダルを獲得した時の放送時刻は深夜12時29分だったこともあり、僅か120万人の視聴に留まったからである。
また、『CBC』によると、平昌大会フィギュアスケート団体戦でカナダチームが金メダルを獲得した際、午後9時57分の放送でもあったことから大会を通じて最多となる360万人が視聴していたが、今回の同種目では4位と成績が振るわなかったこともあってか、午後9時06分の時刻に放送されたものの、カナダ・ペアの試技で最多150万人が視聴したに留まったという。
一方、大会開催前のカナダにおける世論調査の結果、中国における人権問題に加えて、カナダ人ビジネスマンのマイケル・コブリグ氏(49歳)及びマイケル・スパバー氏(45歳)が中国当局によって不当に拘束された事態もあって、北京大会への興味はすこぶる低調であった。
(編注;両氏とも2018年12月、中国滞在中にそれぞれ“国家転覆容疑”等のでっち上げとしかみられない理由で拘束。多分に、カナダ当局が米国要請に応えて、通信機器大手ファーウェイの孟晩舟副会長(メン・ワンチョウ、50歳)を逮捕したことへの報復と推定。ただ、カナダが2021年9月、米国への引き渡しをせずに孟容疑者を退去処分とすることで放免したことから、ほぼ同タイミングで両カナダ人も釈放・帰国。)
ただ、トロントの広告代理店キングスター・メディアのアダム・シーボーン営業・メディア担当部門長は、上記政治的問題以外に、『CBC』が今回北京に余りスタッフを派遣せず、報道担当者・競技解説者等がカナダのスタジオからリモート中継したことも要因だとしている。
更に、大会期間中の2週間、視聴者の興味をそそるような中国の文化・歴史・地理等の情報について、『CBC』が中国側から収集できないという事情もあったとする。
その上で同部門長は、『CBC』はプライムタイムの視聴者数を平均142万人と見積もっていたとするが、“自身が思うところ、今のところ予想を大きく下回っている”と付言している。
また、別の観察者によると、東京夏季大会が終わってまだ半年しか経っておらず、視聴者にオリンピック疲れがあるとみられる他、COVID-19問題によって大観衆もいない殺風景の競技場に対する興味喪失、更には、NHL(北米アイスホッケーリーグ)やNBA(北米プロバスケットボールリーグ)の公式戦が続いていることや、2月13日にスーパーボウル(北米プロアメリカンフットボール優勝決定戦)が予定されていることもあるとする。
しかし、『CBCスポーツ&オリンピック』担当のクリス・ウィルソン部門長は、2018年の平昌大会の時と比べてカナダ全般のテレビ視聴率が下がっている傾向となっていることから、“前回大会のときとの視聴率比較についてあまり気にしていない”と表明している。
カナダの視聴率調査会社ヌメリス(1944年設立)の直近のデータによれば、同視聴率は平昌大会時に比べて約18%、東京大会時と比べても約10%減少している。
なお、同部門長は、『CBC』傘下のストリーミング・サービス提供の「ジェム(2018年設立)」の契約視聴者が特段増加していて、北京大会もライブもしくはオンデマンド配信で盛んに視聴されており、問題はないとも付言している。
『CBC』公式発表によると、北京大会の最初の3日間の「ジェム」総視聴時間数は、東京大会の同期間の実績に比べて48%も増えているとする。
(注)ストリーミング:主に音声や動画などのマルチメディア・ファイルを転送・再生するダウンロード方式の一種。通常、ファイルはダウンロード完了後に開く動作が行われるが、動画のようなサイズの大きいファイルを再生する際にはダウンロードに非常に時間がかかってしまい、特にライブ配信では大きな支障が出る。そこで、ファイルをダウンロードしながら、同時に再生をすることにより、ユーザーの待ち時間が大幅に短縮される。この方式を大まかに「ストリーミング」と称する。
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