12月16日付中国
『アジア・タイムズ』香港オンラインニュースは、「北京、北朝鮮ポップスグループ公演を観損なう」との見出しで、「北朝鮮の女性21人のポップスグループ、牡丹峰(モランボン)らが北京公演をキャンセルして、12月11日に突然帰国してしまった。理由は公にされていないが、同グループの女性と金第一書記が不適切な関係にあるとの根拠のない噂を、ある中国メディアが報じたことに金氏が激怒したとか、また、同グループらによる、独裁者の金氏を礼賛する歌などが過剰過ぎるとして中国側が内容を変更するよう求めたことに対して、北朝鮮側が最高尊厳(金氏)への冒涜として呼び戻した等と言われている。今回の公演は、ぎくしゃくした中朝関係を改善するワンステップとして企画されたものというが、この“ドタキャン”で関係が逆に更に悪化する恐れがある。」とし、「なお、中国は2千人の兵士を北朝鮮国境に急きょ派遣している。」と報じた。
12月18日付米
『NYSEポスト』オンラインニュースは、「金氏が女性バンドを呼び戻したことで中国側困惑」との見出しで、「中国はこれまで、北朝鮮と他国との関係の仲介役を果たそうとしてきたが、12月11日に持たれていた南北高官対話が何の進展もなく終わったことに不快感を示したためか、当初政治局員(共産党指導部)が同バンドを観賞する予定だったが、急きょ副部長級(次官級)に格下げした。これに金氏他北朝鮮側が激怒して、公演を急きょキャンセルしたのではないかと言われている。」とし、「近年中国側は、金氏や側近の気まぐれで予測不可能な態度・発言に嫌気しており、習主席は特に金氏と距離を置き始めているという。」と伝えた。
同日付カナダ
『ロイター通信』は、「北朝鮮の女性バンド公演キャンセルは、反米ソングが理由か」との見出しで、「中国当局は、北朝鮮バンドが披露する歌の中に、米国を“粗野なオオカミ”と呼んだり、1950~1953年の朝鮮戦争を賛美したりする歌詞が含まれており、いたずらに米国を挑発することに懸念を示した。しかし、同女性バンドメンバーの人選からショーの中味まで金氏が関わっていると言われていることから、北朝鮮側が反発して急きょ呼び戻したのではないかとみられる。」と報じた。
一方、同日付中国
『グローバル・タイムズ(環球時報、人民日報英語版)』は、「中国、国連での北朝鮮非難決議に反対票」との見出しで、「国連総会は12月17日、北朝鮮の人権問題を非難し、かつ、国連安全保障理事会に対し、北朝鮮を国際刑事裁判所に告発するよう求める決議を採択した。賛成119票、反対19票、棄権48票だったが、中国は反対票を投じた。但し、中国は、北朝鮮の人権問題は許されると認めた訳ではなく、中国の主張である、国内問題に他国は干渉すべきではないとの立場から、反対したものである。」とし、「中国国民からみれば、国内にも反対の声もあるのに、中国がこのように、結果として北朝鮮を擁護する対応をしているのに、中朝交流の一環で企画された北朝鮮女性バンドの公演を急にキャンセルするなど、北朝鮮は本当に不可解な国だと思われるはずだ。」と批評している。
なお、中国関係者の直近の情報では、モランボン楽団らの公演のリハーサルをみた中国当局関係者が、背景の映像に、同公演本番日の3年前の2012年12月12日に北朝鮮が行った、長距離弾道ミサイルの発射実験の様子が含まれていたことを認めた。この時中国政府は、自重を求めていたにも拘らず発射実験を行ったことに不快感を示していたが、2013年2月12日に北朝鮮が3度目の核実験を行ったことで、ついに中国の堪忍袋の緒が切れて、中国は、同年3月に提議された国連安保理の対北朝鮮追加制裁決議の賛成に回っている。従って、中国の顔に泥を塗るような、ミサイル発射実験の映像を流させることなどとても容認できず、習主席自身が、当該映像をあくまで流すというなら、即刻帰国させるよう指示を出したと言われている。
なおまた北朝鮮は2013年12月12日、当時No. 2だった張成沢(チョン・ソンテク、金第一書記の叔父)を粛清している。中国にとっては、北朝鮮との経済関係の交渉・調整役と認めていた張氏の排除についても、非常な不快感をもたらす事件だっただけに、2015年12月12日にも、金氏が何かしでかすのではないかと疑心暗鬼になっていたことも背景にあるとみられる。
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12月16日付米
『ワシントン・ポスト』紙は、「日本の最高裁は12月16日、夫婦は同姓とすると定めた民法の規定は合憲とする判決を下した。同規定は、夫婦どちらが名字を変更すべきかとまでは定めていないが、日本の慣習で女性が主に改姓している。しかし、近年女性が社会に出て活躍するようになり、婚姻に伴い女性が改姓することで不便を生じる事態が多く発生し、注目を集めていた。また、もうひとつ上告されていた、女性は離婚して6ヵ月間は再婚禁止とする規定については、100日を超える期間の部分を違憲と判断した。」と報じた。
同日付米
『ブルームバーグ』オンラインニュースは、「今回憲法判断が求められた民法の規定については、明治維新後の1896年、婚姻した女性は夫の姓を名乗ることが定められ、そして戦後の1947年に、婚姻後の名字は夫、妻どちらのものでも良いが、名字を同じとするとの改定がなされ、現在に至っている。現在、婚姻した夫婦の96%が夫の姓を名乗っている。今回の最高裁判決によれば、夫婦同姓の制度は社会に定着しており、家族の姓をひとつに定めることは合理性があると指摘している。かかる最高裁の判断は、世界で大きなうねりとなっている、女性の権利を擁護する動きとは一線を隔していると言える。」と伝えた。
また、同日付英
『メール・オンライン(デイリィ・メール電子版)』は、「最高裁は、夫婦別姓の禁止規定によって、主に女性の権利が損なわれていて人権侵害が起きているので違憲であるとの訴えを退けた。安倍政権が労働市場活性化のために女性の進出を促すとの目標を掲げながらも、19世紀に定められた民法の改定に反対している理由として、夫婦別姓とすると家族の絆が壊れるから、としている態度に呼応している。」と報じた。
更に、同日付中国
『グローバル・タイムズ(環球時報、人民日報英語版)』は
『AFP通信』記事を引用して、「最高裁大法廷の寺田逸郎長官は、主に女性が婚姻によって改姓することで生ずるアイデンティティの喪失感などの不利益は、旧姓の通称使用が広まっていることで一定程度は緩和できるとした。また、同長官は、夫婦別姓の問題は、国会で論じ、判断する問題だとして、新たな法律の制定について示唆した。」と伝えた。
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