新型コロナウイルスの拡散で、アジア人に対する差別が表面化(2020/01/30)
新型コロナウイルス感染者は、中国本土だけでなく今や世界各地で確認され始めている。そうした中、アジア系住民や観光客に対し嫌悪感を表す、または挑発的態度を取る人々が出てきており、フランスでは人種差別として問題になり始めている。
仏
『ルモンド』によると、ベトナム出身のミンさんは27日月曜日、あるドライバーが彼女に向って「ウイルスは自分にとっとけ!汚い中国人!フランスは歓迎していない!」と叫びながら車を加速させ、水を飛び散らせながら走り去っていったと語っている。
パリ南東部校外の街では、フィリピン出身のあるお母さんが買い物に行ったところ、ある男性が彼女の背後でそのお母さんを指さしながら、息子に対しウイルスと中国人について警告しているのが聞こえてきた。...
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仏
『ルモンド』によると、ベトナム出身のミンさんは27日月曜日、あるドライバーが彼女に向って「ウイルスは自分にとっとけ!汚い中国人!フランスは歓迎していない!」と叫びながら車を加速させ、水を飛び散らせながら走り去っていったと語っている。
パリ南東部校外の街では、フィリピン出身のあるお母さんが買い物に行ったところ、ある男性が彼女の背後でそのお母さんを指さしながら、息子に対しウイルスと中国人について警告しているのが聞こえてきた。
またフランス第二の都市リヨンでは、買い物客の夫婦が、チーズ販売店でアジア人の販売員が対応することを拒否したため、販売員が泣き出してしまったという証言が寄せられている。
フランスでは、新型肺炎感染者が何人か確認されて以来、こうしたアジア系の人々に対する挑発的態度が増えており、ウイルスへの懸念の、一番の犠牲者となっている。フランス在住の日本人もその対象となっている。ある日本人学生は、「大学で、咳をすると、全員に感染させると言われてしまう」と証言している。
仏『20min.fr』によると、ある女性は、知らない人から呼び止められ「中国人もベトナム人も、他(アジア系)みんな、同じようにコロナウイルスを持っている」と言われたといい、「日常的な人種差別は、新型肺炎によって悪化している」とコメントしている。
あるアジア系女子学生は、お菓子を食べにカフェテリアに入ったところ、そこにいた学生グループが彼女をじろじろと見始め、男子学生一人はあからさまに自分の口をマフラーでふさぎ、他の女子学生は、彼女を避けるように友達に寄りかかり、「春巻きは好きだけれど最近中国は食べたくないわ」と嫌味を言ったという。その瞬間彼女は何も反応しなかった。言葉の暴力と屈辱でショックのあまり反応できなかったのだと語っている。
英『BBC』は、「普段アジア人は人種差別についあまり公には話しません。黙って耐える傾向があります。しかし(今回のように)アジア人全員を一緒くたに扱うのは、あまりにひどすぎます」というアジア人女性のコメントを報じている。
またカナダでは、中国系カナダ人コミュニティの間で、カナダ・トロントでSARS発生時に起こったことが再び起こる可能性があるのではと懸念されている。
コロナウイルスが原因のSARSは、2002年に中国で始まり、中国国内で感染した8,098人のうち774人が死亡した。カナダでは、438人に感染の疑いがあり、そのほとんどがトロント市の居住者であり、2003年の春と夏に44人が死亡した。
トロント市のカウンセラーと中国人コミュニティの代表は、水曜日に記者会見を行い、新型コロナウイルスの拡散を恐れてアジア系の住民を非難したり差別したりしないにようと住民に促したという。
カナダ『グローバルニュース』は「ますますグローバル化している世界で、様々な相互接続が賞賛される時もあれば、伝染病が流行り始めると、途端に、人々がどこ出身なのかが気になり、流行地から来ているのではないかという憶測が飛び交うのです」と、カナダ・マニトバ大学のティナ・チェン教授のコメントを報じている。
同教授は、中国人がマスクをつけていることも誤解を生んでいると指摘している。中国では健康でも環境汚染のためにマスクをしたり、感染性ではない病気の際、マスクして外出したりする。しかしカナダでは、「人々はマスク着用しているのを見ると、感染を避けた方が良い何らかの病気の持ち主なのだと認識してしまう」という。
フランスでは、「わたしは中国人。でも、わたしはウイルスではない。みんなウイルスを怖がっていることは知っている、でも偏見は持たないで。お願いします。」という中国人の青年のツィートが話題になっている。
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ホームレスの半数に脳損傷(2019/12/03)
ホームレス経験者の多くが脳損傷を負った経験があるという。脳損傷という病気が原因で人並みの生活が送れなくなることでホームレスとなってしまったり、逆に家がないことや生活が不安定な貧困状態が脳損傷患者のリスクファクターと成りうると考えられている。
12月7日付英国
『ガーディアン』は「ホームレスの人たちの半数に脳損傷の可能性」との見出しで以下のように報道している。
ランセット公衆衛生ジャーナルに掲載された最新調査によると、ホームレスの約半数は、人生のある時点で脳損傷を患っている可能性があるという。ホームレスになったから又は、それが原因でホームレスになったと見られている。
脳損傷は、頭を強打したり揺らしたりすることで起きる損傷で、バイク事故や、落下、襲撃が要因となりやすく、長期的な脳への損傷となり、脳神経や精神疾患に繋がる場合もある。...
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12月7日付英国
『ガーディアン』は「ホームレスの人たちの半数に脳損傷の可能性」との見出しで以下のように報道している。
ランセット公衆衛生ジャーナルに掲載された最新調査によると、ホームレスの約半数は、人生のある時点で脳損傷を患っている可能性があるという。ホームレスになったから又は、それが原因でホームレスになったと見られている。
脳損傷は、頭を強打したり揺らしたりすることで起きる損傷で、バイク事故や、落下、襲撃が要因となりやすく、長期的な脳への損傷となり、脳神経や精神疾患に繋がる場合もある。
豪、カナダ、日本、韓国、英国、米国の6か国を対象とした大規模調査によると、ホームレスの53%に脳損傷(TBI)が見つかった。これは全人口あたりで見た場合の2~4倍にあたるという。専門家は、脳損傷がホームレスの原因なのか、その逆なのかが答えのない問いだとする。この関連性を理解し、問題を提起し、結果を改善することが必要だという。
メルボルン大のリサーチフェローは、機能的、社会経済的な因果関係、ホームレスに住所を斡旋することで脳損傷が減少するかなどを調査するよう要求している。
ロンドン大学の博士は、「英国のホームレスは、重大な健康問題を抱えているが、NHS(保健)に入っているとこれが見過ごされがちだ。公衆衛生の危機は対処法が分かっていながら対処できていない。多くのホームレス経験者が救急搬送されている。全てに人が尊厳される権利がある。ホームレス問題は社会問題を表すバロメータであり、我々が改善できるものだ。亡くなったホームレスの3人に1人が、適切なヘルスケアで防げた。高齢者の患者が安全な場所がないなら、路上には戻さないだろう、だが我々はそうしているのだ」としている。
同日付カナダ『グローバルニュース』は以下のように報道している。
ホームレスまたは住宅が不定の人の約半数が脳障害を患った経験があるという。精神的や身体的な健康問題によるものとみられる。これは、カナダを含めた高所得国6か国を調査した調査を分析したものである。
約半数のホームレスに脳障害がみられたというのに加え、4分の1が30分無意識状態やMRI画像で認められる程度の損傷を経験していたという。比較して、一般的な人では、わずか22%ほどしか脳損傷となっていない。(3%のみが重大な脳障害)。脳損傷はメンタルヘルス、薬物中毒、自殺念慮、犯罪司法システムなどの問題にも関係している。脳損傷が起きると、脳が頭蓋骨内で変化をおこす。血流の問題やむくみは更なる損傷につながる。損傷レベルにより、短期から長期に及ぶ。脳損傷はホームレスになる前にも後にも発症する可能性があると調査は指摘している。ホームレスから抜け出すのを難しくする要因にもなる。家がないことや不安定なことそれ自体が脳損傷患者のリスクファクターとなる。多くの脳損傷患者が貧困ライン以下で生活しているという。
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