仏の自動車関連のニュースサイト
『オトプリュス』によると、欧州委員会は、「欧州グリーン・ディール」成長政策と称して、2035年からEU域内で燃焼エンジン車とハイブリッド車の新車販売を禁止し、100%電気自動車を普及させようとしている。
自動車メーカーの影に隠れていることが多い自動車部品メーカーは、欧州13カ国の自動車製造部門の従業員の60%以上、つまり170万人を雇用している。そこで、欧州自動車部品工業会(CLEPA)は、この強制的な電動化政策が自動車部品メーカーの雇用に与える影響を測定しようと調査を依頼した。...
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仏の自動車関連のニュースサイト
『オトプリュス』によると、欧州委員会は、「欧州グリーン・ディール」成長政策と称して、2035年からEU域内で燃焼エンジン車とハイブリッド車の新車販売を禁止し、100%電気自動車を普及させようとしている。
自動車メーカーの影に隠れていることが多い自動車部品メーカーは、欧州13カ国の自動車製造部門の従業員の60%以上、つまり170万人を雇用している。そこで、欧州自動車部品工業会(CLEPA)は、この強制的な電動化政策が自動車部品メーカーの雇用に与える影響を測定しようと調査を依頼した。CLEPAには、500万人を雇用する中小企業数百社を含む3千社が加盟している。
戦略コンサルティング会社のPwC Strategy&が調査を行ったところ、CLEPAの事務局長であるシグリード・ド・ヴリエスは、「電気自動車一辺倒のアプローチでは、何十万人もの人々の生活にリスクがあることが明らかになった」とその社会・経済的影響に警鐘を鳴らしている。
調査によると、2035年までに、燃焼式自動車部品の生産に携わる50万1千人以上の雇用が危険にさらされ、ドイツ、スペイン、フランス、イタリア、チェコ共和国、ポーランド、ルーマニアが最も影響を受けると予想されている。しかし、この結果は、電気自動車に使用される新技術が、2040年までにソフトウェアやインフラ企業を中心に約22万6千人の新規雇用を創出する可能性があることを考慮に入れる必要がある。この結果、正味で27万5千人の雇用喪失にとどまる。
ただし、仏紙『ルフィガロ』によると、CLEPAは、「これはアジアの覇者に対抗して、ヨーロッパの電池産業が競争力をつけることを前提としており、新しい活動は必ずしも同じ地域、同じ企業で行われないだろう」と指摘している。
CLEPAは、より慎重な代替案を検討する必要があると主張している。ハイブリッド化やグリーン水素、持続可能な再生可能燃料などの代替案を開発すれば、付加価値を生み出し雇用を維持しながら、2030年までにCO2排出量を50%削減することができると述べている。
仏ニュースサイト『チャレンジ』は2018年にすでに、欧州が電気自動車に完全移行した場合、欧州のサプライヤーは電気自動車用部品の生産を38%、メーカーは17%失う可能性があると報じていた。電気自動車は構造が単純なため、部品点数も少なく、製造工数も少なくて済む。電気自動車は、従来のガソリン車に比べて可動機械部品が6倍少なく、合計で60%も部品点数が少ない。欧州連合(EU)の産業労働人口の11%が自動車産業で生活しているため、あまりにも急激な変化は危険でもある。
もう一つの重要な問題は、電気自動車への移行が欧州の産業に不利益を与え、アジア、特に中国の支配に道を開くことにならないかということであることも同ニュースサイトは指摘していた。PSAのタバレス会長は、欧州は基本的にアジア、特に中国にある電池メーカーに依存しているとし、レアアースの所在地の地理的戦略的問題も考慮に入れる必要があることを指摘していた。さらに、「キロワット時あたりの価格が競争力のある自由なアクセスを確保することが必要だろう」とも述べていた。経営コンサルティングのアリックス・パートナーズのアナリスト、ローラン・ペティゾンは、「世界の電池容量の半分は中国にあり、まもなく3分の2になる」と指摘していた。しかし電気自動車のコストの35%から50%はバッテリーが占めている。
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