台湾では、中国と対峙する与党・民進党候補が総統選に勝利したばかりだが、その僅か2日後、国交を結ぶ数少ない国から太平洋島嶼国のナウル(1968年英・豪・NZの信託統治から独立)が中国との国交樹立に翻意した。そしてこの程、1月26日に総選挙を迎える同海域のツバル(1978年英より独立)も、結果次第で親中政策に転じる恐れが出ている。なお、ツバルを含めて、台湾と国交を結ぶ国は僅か12ヵ国となっている。
1月25日付米
『AP通信』、欧米
『ロイター通信』は、太平洋島嶼国のツバルが総選挙の結果次第で台湾から中国に鞍替えする可能性があると報じている。
太平洋島嶼国のひとつであるツバルは、独立以来、台湾との外交関係を維持してきている。
同国には正統は存在せず、4年に一度の議会総選挙(一院制、定員16)では全ての候補者が無所属で立候補するが、その中で誰を首相に推すかによって派閥が形成されている。...
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1月25日付米
『AP通信』、欧米
『ロイター通信』は、太平洋島嶼国のツバルが総選挙の結果次第で台湾から中国に鞍替えする可能性があると報じている。
太平洋島嶼国のひとつであるツバルは、独立以来、台湾との外交関係を維持してきている。
同国には正統は存在せず、4年に一度の議会総選挙(一院制、定員16)では全ての候補者が無所属で立候補するが、その中で誰を首相に推すかによって派閥が形成されている。
直近の2019年総選挙を経て就任したカウセア・ナタノ首相は、親台湾政策を貫いている。
同首相は、2022年に台湾を公式訪問しただけでなく、昨年11月に開かれた太平洋諸島フォーラム(PIF、注1後記)においても台湾支持を強く表明した。
更に、同首相は、中国が外交関係構築を提案してきたが、台湾と断交することを条件としていたために、この申し出を拒否したとも発言している。
ところが、総選挙を前にして、次のように、同首相に反旗を翻す強力なライバルが出現しており、総選挙の結果、現首相が退陣に追い込まれることになると、同じく太平洋島嶼国のナウルが10日前、台湾から中国に鞍替えしたばかりでもあるため、ツバルの親台湾政策も大きく転換される恐れがある。
● セベ・パエニウ現財務相(58歳、2019年就任)
・今回総選挙の結果次第で、首相就任を強く望み、議員立候補者の支援取り付け中。
・台湾と中国との関係について、どちらがツバルにとって有益か(開発・発展の優先順位、そのための支援態勢)再検討が必要。
・具体的には、気候変動問題によって直接的に甚大な被害を受ける同国として、台湾含めた国際社会からもっと多くの資金的援助を求めるべく、その支援体制の見極めを行いたいと表明。
● エネレ・ソポアガ元首相(67歳、2013~2019年在任)
・ナタノ現首相に対峙する勢力代表で、同じく次期首相就任を画策。
・かつて駐台湾大使であったこともあり、今後とも台湾との外交維持を主張。
・但し、現政権が昨年11月に豪州と締結した安全保障を含む移住協定(注2後記)には全く反対。
なお、ナタノ現首相は、水没を防ぐため埋め立て工事を行い4~5メートル嵩上げするとし、豪州のアンソニー・アルバニージー首相(60歳、2022年就任)もその支援をすると表明している。
(注1)PIF:南太平洋の独立国および自治政府を対象にした地域経済協力機構。旧宗主国主導の南太平洋委員会(SPC、1947年設立された地域協力機構。現在の名称は太平洋共同体)に対して、島嶼国の主体性を堅持し、結束を図ることを目的として1971年8月に南太平洋フォーラム (SPF) として創設され、2000年10月にPIFと改称。
(注2)移住協定:気候温暖化現象による海面上昇で国土面積が失われるツバルに対して、豪州への移住を可能にする協定。その他、豪州が天災・感染症対策や武力支援を行うとされているが、ツバルが中国含めた多国と安全保障や国防協定を締結しようとする場合、豪州の許可が必要とも言及。なお、ツバル議会が批准しない限り発効せず。
(参考)2017年以降台湾から中国に鞍替えした国:パナマ(2017年)、ドミニカ共和国・エルサルバドル(2018年)、ソロモン諸島・キリバス(2019年)、ニカラグア(2021年)、ホンジュラス(2023年)、ナウル(2024年)。
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ロシア防衛省は、ロシア軍がハルキウのフランス人を中心とする外国人傭兵駐屯地を爆破したと発表した。ロシア防衛省の発表によると、傭兵駐屯地の建物が完全に破壊され、60人が死亡し、20人が負傷したという。
ロシアによる傭兵駐屯地の爆破に関する発表は、1月16日火曜日にフランス大統領のエマヌエル・マクロン大統領により今後、ウクライナに40基の長距離射程ミサイル’スカルプ‘を追加提供し、ウクライナとの安全保障合意に調印することを発表した矢先に行われた。...
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ロシア防衛省は、ロシア軍がハルキウのフランス人を中心とする外国人傭兵駐屯地を爆破したと発表した。ロシア防衛省の発表によると、傭兵駐屯地の建物が完全に破壊され、60人が死亡し、20人が負傷したという。
ロシアによる傭兵駐屯地の爆破に関する発表は、1月16日火曜日にフランス大統領のエマヌエル・マクロン大統領により今後、ウクライナに40基の長距離射程ミサイル’スカルプ‘を追加提供し、ウクライナとの安全保障合意に調印することを発表した矢先に行われた。
ハルキウ市警察によると、16日火曜日のロシアによる攻撃は地対空ミサイル’S-300’2基によるもので、傭兵駐屯宿舎が損傷し、17人以上の負傷者が出たという。
ところで、ハルキウ地方は、2022年に一部ロシアに占領されたが、常の侵略の標的にされており、警察当局は、次回のロシア軍による攻勢に備え、火曜日には26箇所の町村の住民に対して、安全な地域への避難を呼びかけている。
ウクライナのゼレンスキー大統領とクレーバ外相は現在、スイスのダボス経済会議に出席しているが、今年の防衛上の目標としては、ロシアの戦闘機、ミサイルおよびドローンによる攻撃に対抗するため、ウクライナ空軍の戦闘機増強により制空権を確保したいと訴えている。
ウクライナのこのような要望は、欧米諸国が、ウクライナへの支援に‘ちゅうちょ’する状況にいら立って発している。ウクライナとしては、このような‘ちゅうちょ’が、ウクライナ戦争の硬直化をもたらし、ロシア側に有利に働くことを懸念している。
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