英国では、学校での新型コロナウイルス感染症の感染防止対策として、「バブルシステム」と呼ばれる措置を取り入れている。児童を少人数のクラスに編成し、1人の児童が陽性反応を示した場合、同じクラスの児童も2週間またはPCRで陰性の結果が出るまで自主隔離しなければならない。しかし、一部の子供たちがレモンジュースなどを使って新型コロナウイルスの迅速検査で陽性反応を偽装し、学校を休もうとするケースが報告されている。
英紙
『ザ・スコッツマン』によると、一部の児童の間で、様々な液体を加えて迅速検査で陽性反応を偽装することが流行りとなっている。陽性反応をもたらす材料としては、咳止め薬、手指消毒剤、キウイフルーツ、アップルソース、酢などに加え、レモンジュースや発泡酒なども使われている。こうした動画が、「#fakecovidtest」というハッシュタグで人気アプリにアップロードされ、多くのユーザーが他の方法も提案したりしているという。一部の動画は650万回以上再生され、専用アカウント「@.fakecovidtests」には2万人以上のフォロワーがついていたという。ただし、このアカウントは現在削除されている。
独立系のファクトチェッカーであるFull Fact社は、炭酸飲料や酸味のある果物で、迅速検査で陽性反応を偽装できるものの、適切に使用されていれば、偽陽性が出ることはほとんどないと強調している。
ティックトックの広報担当者はこうした動画について、「コミュニティガイドラインでは、新型コロナウイルス感染症に関連する医療上の誤報や、ワクチンに対する偽情報など、害を及ぼす誤解を招く情報を含むコンテンツを削除することを明確にしています。」と述べている。
英紙『エジンバラ・ニュース』は、ある児童がティックトックで公開されている解説動画を見て陽性反応を偽装したことにより、感染していないはずの我が子が学校を休むことになってしまったという親子を紹介している。
クラスメイトの偽陽性のために、息子が学校を欠席することになったマシューさんは、「うちの子は陽性反応が出た人と濃厚接触者だと言われました。息子は、友達が結果を偽装していて、偽装方法に関するビデオがたくさん載っているティックトックを見てやったと話してくれました。」と語っている。また、「こうした動画を悪用する子供たちが出てくるでしょう(コロナによる休校などで)子供たちの教育全体がかなり台無しにされている中、意図的に、一人の児童の行為によって身近なクラスメイトに大きな影響を与えるのは、腹立たしいものです。」と付け加えた。
マシューさんは、教師の目の前で行われた2回目の迅速検査で陰性の結果が出たため、この児童に対して、検査結果が正当なものではないことを母親に説明し、ウイルスに感染していないことを確認するためにPCRテストを行うよう依頼したという。
英国政府の指針によると、迅速検査で陽性となった場合は、結果が出てから2日以内にPCR検査をオンラインまたは検査専用ダイヤルで予約して確認することになっている。PCR検査の結果を待つ間、生徒やスタッフなどの濃厚接触者は自主隔離が求められる。
ウィリアムソン教育相は、保健相と協力して今後について話し合いを進めており、新学期が始まる9月には「バブルシステム」はなくす方向で考えていることを明らかにした。労働党は、6月21日からの1週間で37万5千人の子供たちがコロナのために学校に行けなかったという実態について警告している。
学校・大学指導者協会のジェフ・バートン事務局長は、「このような偽陽性の事態はごく少数の生徒に限られており、ほとんどの場合、テストは正しく使用されていると確信しています。化学反応に興味のある生徒には、学校の化学の授業で化学反応について学ぶことをお勧めします」と述べている。
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