インド、ウクライナ戦争による小麦輸出の隙間市場を狙う(2022/03/17)
ロシアのウクライナ侵攻により、世界の小麦輸出の30%を占める黒海地域からの供給が途絶えるのではないかという懸念が広がっている。こうした中、世界第2位の小麦生産国であるインドは、小麦の不足分を補うために、積極的な増産と主要な輸出国になるための施策を進めている。
『ロイター通信』によると、インドは中国に次ぐ世界最大の小麦生産国で、国内での余剰在庫と世界的な価格の急騰を利用し、輸出取引を進めているという。世界最大の小麦輸出国であるロシアと、もう一つの主要供給国であるウクライナの紛争による混乱は、世界市場で小麦を販売するチャンスになっている。インドの小麦輸出は昨年、前年度の約110万トンから610万トン強に増加した。関係者によると、今月から始まる新シーズンの収穫後、輸出量が1000万トンに増加することが期待されている。...
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『ロイター通信』によると、インドは中国に次ぐ世界最大の小麦生産国で、国内での余剰在庫と世界的な価格の急騰を利用し、輸出取引を進めているという。世界最大の小麦輸出国であるロシアと、もう一つの主要供給国であるウクライナの紛争による混乱は、世界市場で小麦を販売するチャンスになっている。インドの小麦輸出は昨年、前年度の約110万トンから610万トン強に増加した。関係者によると、今月から始まる新シーズンの収穫後、輸出量が1000万トンに増加することが期待されている。
インドからの輸出が増えれば、農民の所得を上げるだけでなく、インド政府が地元の生産者を支援するために購入している国産小麦への負担を減らすことができる。
ただし『ロイター通信』は、主要輸出国となるためには、政府認定の研究所が輸出用小麦の品質を検査すること、輸送用の鉄道貨車を余分に用意すること、港湾当局と協力して穀物輸出を優先させることなど様々な課題もあると伝えている。
『ブルームバーグ』によると、シンガポールに拠点を置く国際的な商社アグロコープ・インターナショナルの会長兼マネージングディレクターであるアイイェンガー氏は、紛争が長引けば、インドの輸出量は2021-22年に過去最高の700万トンを超える可能性があると指摘している。「市場の誰もが、インドの小麦の需要増がどの程度になるかを見極めようとしている」と述べている。年間約1200万トンの穀物を取引しているアイイェンガー氏は、主にアジア諸国からの需要が見込まれるとしている。「アジア市場は7月から8月以降の供給が不足する」と推測している。なお、ウクライナ産小麦の最大の買い手の一つであるインドネシアは、代替品を探し始め、アルゼンチン、ブラジル、インド、その他のヨーロッパ諸国からの供給を視野に入れているという。
インド日刊紙『エコノミック・タイムズ』は、世界の小麦価格が今週、14年ぶりの高値を記録する中、インドは、国内での大量の余剰在庫のおかげで、現時点では唯一の世界的な小麦の主要供給国となっていると伝えている。小麦価格の上昇とインドルピーの対ドルでの記録的な下落も、売り手としてのインドの小麦の出荷を魅力的なものにしているという。
インドは過去5年間、連続して記録的な収穫を経験している。これは主に、好天、高収量品種の導入、生産者支援のための国による価格設定のおかげである。また、最近ではインドの科学者たちがパスタやピザの生地に適した高タンパク品種の小麦を数多く発表しており、インドは小麦の品質に関する懸念を払拭することができるようになったという。
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欧州連合、欧州軍創設に向けて具体的な話し合いを開始(2021/11/18)
11月16日、ブリュッセルで欧州防衛大臣会合が開かれ、2025年までに5千人の欧州軍を配備する欧州連合(EU)の体制構築について具体的な話し合いが行われた。
仏誌
『レゼコー』によると、欧州連合が効果的な欧州防衛の構築について話し合いを始めた。EU27カ国の外務・防衛大臣は、先週、ジョセップ・ボレル欧州連合外務・安全保障政策上級代表が提示した「戦略的羅針盤」の草案について熱心に議論した。
現在ポーランドの国境で状況が悪化し続けており、治安部隊はベラルーシの国境から石を投げてきた移民に対して水鉄砲を使用した。『レゼコー』は、数週間にわたって行われたベラルーシによるEUの対外国境への攻撃は、戦略的羅針盤が提唱するハイブリッド戦争のコンセプトを見事に体現しており、こうした地政学的な背景から、「戦略的羅針盤」の提案は適切なタイミングであると伝えている。...
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仏誌
『レゼコー』によると、欧州連合が効果的な欧州防衛の構築について話し合いを始めた。EU27カ国の外務・防衛大臣は、先週、ジョセップ・ボレル欧州連合外務・安全保障政策上級代表が提示した「戦略的羅針盤」の草案について熱心に議論した。
現在ポーランドの国境で状況が悪化し続けており、治安部隊はベラルーシの国境から石を投げてきた移民に対して水鉄砲を使用した。『レゼコー』は、数週間にわたって行われたベラルーシによるEUの対外国境への攻撃は、戦略的羅針盤が提唱するハイブリッド戦争のコンセプトを見事に体現しており、こうした地政学的な背景から、「戦略的羅針盤」の提案は適切なタイミングであると伝えている。
ボレル氏は、「戦争か平和かという区別の仕方は古く、今日ではもはや有効ではない。もはや白か黒かの問題ではなく、ライバル関係、強制、脅迫など、さまざまなグレーゾーン的状況に対応しなければならない。昨夏のアフガニスタンの例のように、危機が数時間で悪化するような、より残酷で不安定なこの新しい世界では、対応方法は複数なければならない。」と述べている。
EUの「戦略的羅針盤」は、2025年までに5千人の部隊を設立し、アメリカの資源に頼ることなく自ら危機に対応できる軍事力を構築することを提案している。しかし、それは同時に、型破りな攻撃に直面したときに、EU27が機敏に対応することを求めているものである。例えば宇宙では、ロシア国防省が、現在使用されていないロシアの人工衛星を標的とした兵器の「テストを成功させた」と16日に発表している。また、ロシアは、病院や発電所などの重要インフラを停止させるサイバー攻撃において、世界でも有数の国である。
インドの『エコノミック・タイムズ』によると、草案は、EUが2025年までに陸海空の各部門で構成される共同の「緊急展開能力」を設立する必要性を提案している。来年までに、最終案をまとめ、2023年からは海軍訓練を含む定期的な軍事演習を開始する意向だ。
また、サイバー攻撃を防ぐために、来年までに、特別な合同サイバーユニットを運用することに合意することを目指している。さらに、EU加盟国間の合意に基づいて設定される期日までに、新型の戦車と「将来の戦闘航空システム」を開発することを目標としている。
米軍への依存度を下げるために、長距離軍事航空輸送、宇宙通信技術、諜報能力など、「2025年までに重要でありながらも不足している能力を埋める」ことも目標としている。そして、中国の軍事的台頭に対抗する欧米の戦略の一環として、2023年までにインド太平洋地域における欧州海軍のプレゼンスを強化し、海上演習やパトロールを行うことを計画しているという。
会合に参加した欧州の外交官は、「草案は非常によく受け入れられ、各国の意見が合致した」とコメントしている。
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