航空専門家、世界の航空運賃は原油市場沈静化に拘らず高止まりと分析【フランスメデイア】(2023/06/12)
世界の航空業界は、2020年初めから世界的大流行となった新型コロナウィルス(COVID-19)感染流行問題に伴う移動制限によって大打撃を受けたばかりか、この問題が沈静化してきた2022年には、ロシアによるウクライナ軍事侵攻が引き起こしたエネルギー価格高騰に見舞われてしまった。そこで大幅減収に追い込まれた航空業界は、軒並み航空運賃を引き上げて苦境を乗り越えようとした。ところが、今年になって漸く原油市場の高騰が収まってきているものの、航空業界専門家らは、運賃値上げは続き当分高騰したままとなると分析している。
6月11日付
『AFP通信』は、世界の航空運賃は高騰状態が続くとの専門家の分析について報じている。
世界中を苦境に陥れたCOVID-19は、昨年漸く沈静化に向かい、多くの国で移動制限が解除され、経済活動が戻りつつある。
そこで航空業界としても、今年から旅客数がコロナ禍前のレベルまで戻るものと期待している。
ところが、航空運賃そのものは既に高上りの状態となっている。...
全部読む
6月11日付
『AFP通信』は、世界の航空運賃は高騰状態が続くとの専門家の分析について報じている。
世界中を苦境に陥れたCOVID-19は、昨年漸く沈静化に向かい、多くの国で移動制限が解除され、経済活動が戻りつつある。
そこで航空業界としても、今年から旅客数がコロナ禍前のレベルまで戻るものと期待している。
ところが、航空運賃そのものは既に高上りの状態となっている。
この理由は、コロナ禍で落ち込んだ売り上げを補填するだけでなく、2022年2月下旬に始まったウクライナ戦争に伴うエネルギー価格の高騰による。
米ミズーリ州のセントルイス連邦準備銀行公表のデータによると、米国における2023年4月現在の航空運賃指標は、コロナ禍前の2019年4月より11%も上昇しているという。
また、フランス民間航空局(1946年設立)によると、フランスの今年4月現在の航空運賃は4年前と比べて32.6%、アジア太平洋地域方面の運賃は実に51%も上昇しているとする。
ただ、航空運賃の25~30%と最も多くを占める燃料費の高騰が昨年より沈静化してきても、運賃値下げの兆しはみえない。
国際航空運送協会(IATA、注後記)発表のデータによると、今年の原油価格は1バレル当たり98.5ドル(約1万3,790円)と、昨年の135.6ドル(約1万8,980円)より大幅に下がると見込まれている。
しかし、IATAのマリー・オーウェンズ・トムセン主任エコノミスト(2022年就任)は先週(6月5日の週)に開催された年次総会で、“人件費やその他諸々の費用は更に高騰する恐れがある”と表明した。
同氏は、“コロナ禍に伴う膨大な債務を弁済すべく、運賃値上げで対応してきたが、今後の燃料費以外のコスト上昇をカバーするため更に運賃を上げざるを得ないと見込まれる”と言及している。
米大手コンサルティング会社マッキンゼー(1926年設立)の航空業界専門のビック・クリシュナン氏は、“目下の航空運賃に影響を与える問題は、原油市場というより、航空業界が提供できる搭乗券数以上の旅客が殺到していることにある”とする。
すなわち、多くの部品不足等供給網問題に見舞われている航空機メーカーが、受注分の航空機製造・納入遅延問題を起こしており、このため、航空業界が必要とする発注済みの航空機の手当てが予定どおり進んでいないからであるという。
更に、米コンサルティング会社ベイン&カンパニー(1973年設立)のジェフリー・ウェストン氏は、“多くの航空会社が、コロナ禍で止む無く削減した乗務員、地上職員、補修員等を再雇用するため、コロナ禍前より高い報酬を払って確保する必要があった”とコメントしている。
(注)IATA:1945年設立の、世界の航空会社で構成される業界団体。本部ジュネーブ(スイス)。世界300社の主に大手航空会社が加盟し、世界の定期運航の有効座席キロ数のおよそ82%を占める。航空会社の活動を支援し、業界の方針や統一規準制定に寄与。
閉じる
デンマーク、軍事費増のため祝日を1日廃止(2023/03/01)
デンマークでは、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、国防費の増強を急いでおり、その財源捻出のため、17世紀から続く祝日を廃止するという。
3月1日付米
『ABCニュース』:「デンマーク、反対を押し切り軍事増強で祝日を廃止」:
デンマーク国会は今週火曜、春の祝日を廃止とする法案を賛成多数で可決させた。軍事予算増強のためで、反対派や労働組合、聖職者からは猛反発があった。
廃止となるのは復活祭(イースター)後4回目の金曜にあたる「大祈祷日」で、祝日を廃止することにより、年間約3億クローネ(4億2600万ドル)の歳入増加が見込めるとしている。...
全部読む
3月1日付米
『ABCニュース』:「デンマーク、反対を押し切り軍事増強で祝日を廃止」:
デンマーク国会は今週火曜、春の祝日を廃止とする法案を賛成多数で可決させた。軍事予算増強のためで、反対派や労働組合、聖職者からは猛反発があった。
廃止となるのは復活祭(イースター)後4回目の金曜にあたる「大祈祷日」で、祝日を廃止することにより、年間約3億クローネ(4億2600万ドル)の歳入増加が見込めるとしている。
与党社会民主党連合は、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、NATOの軍事費負担目標である国内総生産にしめる軍事予算2%を2030年までに達成することを目指している。
反対議員らは、法案は「馬鹿げている」、「全く間違いだ」と主張しており、デンマーク議会では60人の同意があれば国民投票に持ち込めるが、意見はまとまらなかったという。
デンマークの祝日は年間最大11日で、クリスマスや正月が週末に重なる年には、祝日は少なくなる。「大祈祷日」は300年以上前に始まった祝日で、国民の73%はデンマーク国教会に属しているため、国民からは大きな反対があった。労働組合はオンラインで5万人から反対の署名を集めていた。
2月28日付独『DW』:「デンマークで軍事費増強のため祝日を廃止」:
デンマークでは、28日の議会投票で祝日の廃止法案が通過したことにより、来年の春から長い週末の祝日である「大祈祷日」が廃止となる。
新政権では福祉改革や、NATOの軍事費負担目標達成を掲げている。反対意見も多い中、数時間の議論のすえに、179議席中95票を獲得し、法案は可決した。
2024年から「大祈祷日」は国民の祝日ではなくなり、企業や店舗は通常通りの営業を続けることとなる。
デンマーク政府は、廃止により、歳入が3億デンマーク・クローネ(約4億2700万ドル)プラスとなると公共放送「DR」は伝えている。労働時間が7.4時間が増え、所得税収入も増加すると考えられている。
歳入を増やすことで、NATO加盟国の目標である軍事費2%目標の財源に充てることを目的としている。デンマークは2033年までを目指していたが、ロシアによるウクライナ侵攻を念頭に、2030年に変更するとしている。
メッテ・フレデリクセン首相は、「労働時間の延長は問題ないと考える。我々は軍事や安全保障、ヘルスケア、精神医療、気候変動問題などへ、大きな歳出を必要としている」としている。
労働組合、教会指導者、反対派議員らはこの動きに反対しており、エコノミストも政府の対策を疑問視する。今月はじめ、コペンハーゲンの議会周辺では、祝日廃止に反対する5万人規模のデモが行われた。
「大祈祷日」は、キリスト教の宗教的な祝日で、デンマークでは17世紀に始まった。復活祭(イースター)後4回目の金曜日にあたる。デンマークでは、この日伝統的なパンを食べる習慣があり、これは継続されるという。
これまでデンマークでは年間の祝日は週末に重なる日も合わせて10日だった。これはスウェーデンやノルウェーと同じ日数。ドイツでは祝日は9日だが、州ごとに最大13日まで祝日となる。
閉じる
その他の最新記事