オーストラリアとニュージーランド、コロナゼロ戦略の限界に直面
新型コロナウィルスの死亡者数がわずか26人のニュージーランドは、デルタ株の普及によって「コロナゼロ」戦略が脅かされていることを認めた。オーストラリアでも、感染者をゼロに抑える政策は限界に来ているという声が上がり始めている。
仏
『BFMTV』によると、ヒプキンス新型コロナウィルス対応相はニュージーランドのテレビ番組で、デルタ株は「パンデミック始まって以来私たちが見てきたものとは違うものだ。」と述べた。デルタ株の出現により「すべてが変わる。既存の対策が適切でなくなってきており、長期的戦略の将来に疑問を感じる」と語った。
先週、ニュージーランド最大の都市オークランドで、21人の新型コロナウィルス新規感染者が報告された。...
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『BFMTV』によると、ヒプキンス新型コロナウィルス対応相はニュージーランドのテレビ番組で、デルタ株は「パンデミック始まって以来私たちが見てきたものとは違うものだ。」と述べた。デルタ株の出現により「すべてが変わる。既存の対策が適切でなくなってきており、長期的戦略の将来に疑問を感じる」と語った。
先週、ニュージーランド最大の都市オークランドで、21人の新型コロナウィルス新規感染者が報告された。半年ぶりに発生した感染のために全国的なロックダウンが行われた。しかし、ヒプキンスコロナ対応相は、今回のデルタ株は感染力が非常に強いため、これまでに比べて封じ込めるのが難しいと述べた。実際、オークランドで66件、首都ウェリントンで6件、合計72件の新規感染者がその後確認されている。
英『テレグラフ』は、ニュージーランド国民はロックダウンに協力的ではあるものの、ロックダウンが頻繁に行われることは、一部の企業にとっては経済的に厳しい現実であると報じている。ニュージーランドは、数十年にわたって慎重な貿易管理を続けてきた結果、連続して黒字を計上しており、依然として財政力がある。しかし、ニュージーランドの3大輸出部門である農業、観光、教育のうち、後者2部門は、新規入国者に検疫期間を設けるなどの厳しい国境管理の結果、今も打撃を受けているという。
今月初め、米アマゾンが、10億ドル(約1千億円)以上の予算をかけた「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの制作を、総額数億円の奨励金にもかかわらず、ニュージーランドから英国に移すという驚きの発表をしたことで、アーダーン政権の戦略は大打撃を受けた。アマゾンは、この決定の理由を説明することを控えているが、ニュージーランドの厳しい国境管理と、それがしばらく続く可能性があることが、大きく影響したのではないかという疑念が広がっている。他の大手企業も同様の理由で、ニュージーランドへの投資を控えるようになるのではないかと危惧されている。
米『ウォールストリート・ジャーナル』は、オーストラリアもニュージーランド同様、島国という地理的条件とロックダウンを組み合わせて、パンデミック初期にコロナ終息に成功したが、現在出回っているデルタ株は感染力が非常に強いため、再び感染者をゼロにすることは不可能だと考えるオーストラリアの指導者たちが出始めていると伝えている。
人口約2600万人のオーストラリアでは18日、新規感染者が747人と過去最高の感染者数が報告された。同国の2大都市であるシドニーとメルボルンは、首都キャンベラと同様にロックダウンが実施されている。
オーストラリアで最も人口の多いニューサウスウェールズ州では、6月中旬に国際線の乗務員から感染したとされる運転手が確認されて以降、感染が拡がっていった。その後、同州では1万人以上がデルタ株に感染し、65人が死亡している。20日には644人の新規感染者が報告されている。ニューサウスウェールズ大学カービー研究所の准教授でウイルス学者のスチュアート・タービル氏は、「今回の発生は、ウイルスを寄せ付けないというオーストラリアの戦略の終わりの始まりだろう。世界的になくなるものではない。ゼロにしたいと思っている。」しかし、生物学的に見てその方向には行っていないと指摘した。
中国や韓国など、ウイルスを積極的に抑制しようとしている他の国も、感染者をゼロに抑えることに苦労している。
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米バイデン大統領、アフガニスタン撤退の方法に対し米メディアが批判
アメリカのバイデン大統領は15日のテレビ演説で、アフガニスタンから急速に撤退するという決断を後悔していないこと、また撤退の実行方法で混乱を招いたことも後悔していないことを語った。しかし大統領の説明は、これまでバイデン政権を支持してきた米メディアからも批判を招いている。世論調査によると、アメリカ人の多くは軍隊の撤退に賛成している。しかし、バイデン政権が5ヶ月も前から進めてきた撤退の実行方法が批判の対象となっている。
米
『タイム』誌は、「タリバンがアフガニスタンの首都カブールを略奪してから24時間足らず、タリバンが地域の首都に向けて電撃的な攻撃を開始してから1週間余りが経過したが、バイデン大統領は、軍や情報機関の当局者が何年も前から予測していた結果を、なぜ政権が予測できなかったのかについて、まだ説明をしていない。代わりにバイデンは、反抗的な態度で19分間のスピーチを行い、現在起きている人道的災害の原因をアフガニスタン軍、アフガニスタンの指導者、そしてトランプ政権に押し付けた。...
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米
『タイム』誌は、「タリバンがアフガニスタンの首都カブールを略奪してから24時間足らず、タリバンが地域の首都に向けて電撃的な攻撃を開始してから1週間余りが経過したが、バイデン大統領は、軍や情報機関の当局者が何年も前から予測していた結果を、なぜ政権が予測できなかったのかについて、まだ説明をしていない。代わりにバイデンは、反抗的な態度で19分間のスピーチを行い、現在起きている人道的災害の原因をアフガニスタン軍、アフガニスタンの指導者、そしてトランプ政権に押し付けた。」と伝えている。
『タイム』は、「まず米軍や航空機、重火器を撤去し、次に飛行場や基地を閉鎖し、最後に危険にさらされている民間人を避難させるという決定は、悲惨な戦略だった。このやり方には、ワシントンのほとんどの人が首をかしげている。外交政策に精通した大統領が率いる政権が、なぜこれほどまでに状況を見誤ったのか。」と指摘している。
なお、バイデン大統領は、タリバンがアフガン軍に急速かつ決定的に勝利したのは、戦おうとしなかったアフガン人自身の責任であると述べた。しかし、「アフガン軍が無給であり、20年近く占領していた戦略的な場所からアメリカ軍、航空機、重火器が撤退したことによって身動きが取れなくなっていたことには言及しなかった。」大統領はまた、撤退のスケジュールを設定したトランプ政権のタリバンとの和平合意に拘束されたと述べた。「5月1日以降、私たちの軍隊を撤退させるという合意に従うか、紛争をエスカレートさせ、さらに数千人の米軍を再び戦闘に送り返すという冷たい現実しかなかった。」と述べたが、バイデンは自らその取引の条件を変更しており、米軍と連合軍が、ほぼ20年前に米国が侵攻するきっかけとなった9月11日までにアフガニスタンから撤退することを決定していた。
『タイム』はまた、どんな大統領でも、自分に突きつけられた難問に立ち向かい、その過程でミスを犯すものだが、バイデンはこれまで大統領に就任した中で最も経験豊富な人物の一人であり、その外交政策における豊富な経験は選挙戦のセールスポイントだったと指摘している。10年以上にわたって上院外交委員会を率い、その専門性を買われてオバマ大統領の副大統領に抜擢された。そしてバイデン政権の国家安全保障会議のメンバーには、素晴らしい経歴を持つ官僚たちが名を連ねている。しかし、バイデン政権のアフガニスタン政策は、ほとんど計画通りには進まなかった。
同誌は、アフガニスタンの人々は怒りに満ちていると伝えている。TOLONewsを運営するアフガニスタン最大のメディア企業Moby GroupのCEOであるSaad Mohseni氏は、バイデンのスピーチを非難し、特にアフガン軍に戦意がないと非難したことを問題視した。「兵站、サービス、メンテナンス、計画、空軍力のない軍隊がどうやって戦うのか。これらすべてがアフガン軍から奪われた。」と批判した。
米『ウォールストリート・ジャーナル』紙は、バイデン大統領は、演説で他人のせいにしながら、失敗した撤退の責任を認めようとしなかったと報じている。「トランプ前大統領のタリバンとの和平交渉を非難し、自分が追い詰められたと再び虚偽の主張をした。バイデンは3人の前任者がアフガニスタンから撤退しなかったことを非難した。アフガニスタン人が十分に戦わなかったこと、彼らの指導者が逃げ出したこと、そして我々を助けてくれたアフガニスタン人でさえ、もっと早く撤退しなかったことを非難した。バイデンが唯一非難しなかったのは、かつてオサマ・ビンラディンをかくまい、その後継者もかくまっているかもしれないタリバンであった。」と伝えている。
同紙は、「アメリカが20年間もアフガニスタンに留まったのは、女性を学校に通わせるためでも、国づくりのためでもない。中心となる任務は、アフガニスタンが再びテロリストの安全な避難所となるのを防ぐことだった。しかしタリバンの勝利により、世界中から何千人もの若いジハード主義者が集まり、彼らはアメリカ人とアメリカの国土を狙ってくるだろう。」と伝えている。
また、「アメリカがアフガニスタンで1年以上、一人の犠牲者も出していないこともバイデンは知っている。たとえ撤退を決めていたとしても、タリバンに政府と交渉するインセンティブを与える条件に基づいて撤退することができたはずだ」とも指摘している。
さらに、「バイデンは、アフガニスタン大統領と国家和解高等評議会議長がタリバンとの交渉を勧める彼の助言を拒否したと主張した。これは正しくない。彼らは、トランプ政権からの多大な圧力を受けながら、何カ月も前からタリバンと交渉していた。問題は、米国が撤退し、軍事的勝利に賭けることができると知ったとき、タリバンには誠実に交渉する動機がなかったということだ。」と伝えている。
「私たちは、バイデン氏が何らかの責任を負い、この混乱を解決する方法を説明することを期待していた。しかし、バイデン氏はそのようなことはせず、彼自身がこの無用なアメリカの降伏の主な立役者であることを明らかにした。これは、バイデン氏の残りの大統領期間にとって良い兆候ではない。」と同紙はコメントしている。
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