フランスの73人の医師らが15日、ビタミンDは、新型コロナウイルスの重症化を防止する効果があるという研究結果が数多く報告されているとして、国民全員にビタミンDを配布するべきであるという論文を発表した。
ラジオ放送局
『フランスアンテール』によると、ビタミンDが新型コロナウイルスへの感染や重症化に対する予防効果を発揮する可能性があることが、様々な研究で明らかになってきているという。そこで、ビタミンDの補給は、ワクチンの代替にはならないものの、新型コロナウイルスの重症化を防止する効果があるとして、73人の専門家と、フランス小児科学会やフランス老年医学学会などの6つの団体が、高齢者や基礎疾患のある人々をはじめ、国民全体にビタミン D のサプリを配布するよう求めている。
例えば数ヶ月前にノルウェーで行われた研究では、ビタミンDが豊富なタラ肝油を定期的に摂取することで新型コロナウイルスへの感染から守られている可能性があると報告されている。昨年5月には、フランス医学アカデミーが感染予防や治療の一環として高齢者にビタミンDを与えることも推奨していた。
その後いくつかの研究で、ビタミンDは奇跡の治療薬ではないものの、カルシウムの代謝という働きをはるかに超えたステロイドホルモンであることが明らかになっている。アンジェ大学病院のアンワイラー教授は、「フランスの研究によると、定期的にビタミンDのサプリメントを摂取している高齢者の場合、感染症に感染した場合、重症化するリスクが90%減少することが示されている。感染の拡がり方を考えると、ワクチンや三密対策に代わるものではないにしても、この追加の武器を活用しないのはもったいない」と説明している。
フランスのニュースサイト『LCI』や『ウエスト・フランス』によると、アンジェ大学では、2020年12月から「国家的優先の研究」として、10の病院と養護老人ホームの協力を得て、大規模臨床試験が進められている。高齢者が感染した場合に高用量のビタミンDの摂取が、どれほどの効果があるのかを測定しようという研究である。ビタミンDはワクチンとちがい副作用の恐れがないために、広く推進できるものとして期待されているようである。
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仏メディアは、日本の安倍首相が病気による辞任を正式に発表した後、わずか1週間で新しい日本のリーダーがほぼ決定したこと、また新首相の前には課題が山積していることを報道している。
仏金融紙
『レゼコー』は、日本は、安倍首相が8月28日に辞任を表明してから1週間も経たないうちに、国民投票や議論もなしに新しい首相が選ばれたと報じている。公式には、9月17日に国会で選出される予定だが、裏では、すでに当選者が決まっているためだ。
安倍首相は2021年9月の任期満了を前に辞任することを決めたため、国会で過半数を占める党が自動的に執行部を担う新党首を選ぶことになるが、自民党執行部が体調不良である首相の交代が急務であることを指摘し、党員・党友が投票する正規の総裁選は行わず、限定的な選考方法を選択した。...
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仏金融紙
『レゼコー』は、日本は、安倍首相が8月28日に辞任を表明してから1週間も経たないうちに、国民投票や議論もなしに新しい首相が選ばれたと報じている。公式には、9月17日に国会で選出される予定だが、裏では、すでに当選者が決まっているためだ。
安倍首相は2021年9月の任期満了を前に辞任することを決めたため、国会で過半数を占める党が自動的に執行部を担う新党首を選ぶことになるが、自民党執行部が体調不良である首相の交代が急務であることを指摘し、党員・党友が投票する正規の総裁選は行わず、限定的な選考方法を選択した。
したがって、次の党首を選ぶのは、国会議員394人と、47都道府県から各3人ずつの自民党代表者(合計141人)だけとなる。当選するためには、この535人の有権者の中から過半数の票を獲得しなければならない。
しかし、現政権のナンバー2である菅官房長官は、2日の夜に立候補を宣言する前から、日本の右派を構成するほとんどの「派閥」の支持を得ており、すでに250票以上の票を確保している。
『レゼコー』は、安倍内閣で要職に就いており、思想的な立場が非常に似ている各派閥のリーダーたちは、自分たちの影響力を失わないように、ほぼ全員が、安倍路線を継承してくれる菅官房長官を支持することを選択していると指摘。また、党員投票または、国民投票が行われたとすれば、菅氏ではなく石破氏が当選していたと全ての世論調査が示していると報じている。
『ヤフー フランス』や『ウエスト・フランス』は、新首相が直面する課題について報じている。
まずは新型肺炎対策。日本での流行規模は欧米諸国に比べて小さいものの、安倍政権の対応は、緩慢でまとまりがないという厳しい批判にさらされている。また新型肺炎の世界的流行により、景気後退が一段と強まり、オリンピックは2021年まで延期された。専門家らは、世界一の高齢化社会である日本が、医療制度の崩壊を防ぐためには対策を講じる必要があると警告している。
衰退する経済も課題となっている。日本の脆弱な経済は新型肺炎の影響を受け、4月から6月にかけて前年同期比7.8%減、前年同期比27.8%減と戦後最悪の落ち込みを記録した。専門家らは、長期的には、日本は貧弱な生産性を向上させるために主要な構造改革を実施する必要がある、という見方で一致している。
また、2020年東京オリンピックの延期の問題も引き継ぐことになる。集団感染の防止方法から、急増する費用を誰が払うのかという問題まで、多くの困難が伴う。さらに、日本の国境は依然として外国人観光客にはほぼ閉鎖されており、国内のスポーツイベントでも観客数は限定されているため、オリンピックの実現可能性について疑問視されている。
外交問題も非常に厳しいかじ取りが待っている。中国の主張が強まり、韓国との関係が悪化し、北朝鮮が予測不能な状態が続く中で、米国との同盟関係はますます重要になっていると見られている。しかし日本は、主要な貿易相手国である米国と中国との間の緊張関係にも巻き込まれてしまっている。
そして最後に少子高齢化が急速に進んでいる人口問題を引き継ぐことになる。
労働力不足は経済を阻害し続けており、移民規制を緩和してより多くの女性を労働市場に投入しようとする努力も成功には至らなかった。安倍首相が「女性が輝く」社会をつくると公約していたにもかかわらず、財界や政治の上層部は頑なに男性社会のままとなっている。世界経済フォーラムの最新の男女平等ランキングでは、日本は153位中121位にとどまっている。
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