フランス、コロナ禍で50万人の高齢者が「社会的孤立」の状態にあるとの調査結果(2021/10/05)
フランスのNPO法人が9月30日に、高齢者の孤立化に関する調査報告書を発表した。NPO団体は、新型コロナのパンデミックによるロックダウンや様々な規制により、「人間関係が希薄な高齢者が極度の孤立状態に陥っている」ことを警告している。
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『ウエストフランス』紙によると、NPO法人「プチフレール・デ・ポーブル」が9月30日に発表した調査結果によると、50万人の高齢者が人と全く会わない、またはほとんど会わない状態にあり、その数は4年間で77%増加したと、警告している。
60歳以上の人を対象に行われた調査によると、コロナ規制により、人間関係が希薄になった人たちが強い孤独感に苛まれているという。家族や友人から孤立するシニアの数は、2017年の調査の90万人から2021年には200万人と、4年間で2倍以上(+122%)に増加した。...
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『ウエストフランス』紙によると、NPO法人「プチフレール・デ・ポーブル」が9月30日に発表した調査結果によると、50万人の高齢者が人と全く会わない、またはほとんど会わない状態にあり、その数は4年間で77%増加したと、警告している。
60歳以上の人を対象に行われた調査によると、コロナ規制により、人間関係が希薄になった人たちが強い孤独感に苛まれているという。家族や友人から孤立するシニアの数は、2017年の調査の90万人から2021年には200万人と、4年間で2倍以上(+122%)に増加した。この急激な増加は、他人と会うことを禁じた、15ヶ月以上続いたパンデミック対策の結果の一つであるという。
子や孫に会わない、またはほとんど会わない状態にある高齢者の数は、2017年の調査では47万人だったのに対し、2021年の調査では130万人にのぼった。調査では、高齢者の孤立度を測るために、家族、友人、隣人、団体という4つの社会性の輪を考慮に入れた。しかし、53万人もの高齢者が、いずれの輪にも所属しなくなったことが判明した。
仏『ル・テレグラム』紙によると、フランス北部に住むドニーズさん(81歳)は、「私には4人の子供と9人の孫、4人のひ孫がいますが、私はひとりぼっちです。一人はボルドーに、もう一人はガールに、もう一人はパリ地域に住んでいます。私の娘はリールに住んでいますが、仕事をしていて会いに来る時間がありません」と語っている。
報告書は、「友人や団体とのつながりが、相次ぐロックダウンによって最も大きな被害を受けている」と指摘している。390万人、つまり5人に1人の高齢者が、友人関係がない、またはほとんどないと回答している。2017年の時は150万人であった。
最も被害が少なかったのは「近所付き合い」(2%減)で、「孤立を防ぐ防波堤」としての役割を果たす店員や地域の専門家との関係も同様だった。71歳のベルトさんは、「今週私が会った人は、電球を持ってきてくれた電気屋さんだけだった」と語っている。
高齢者の3分の1(650万人)が「頻繁に」、14%(250万人)が「毎日」または「非常に」孤独を感じているという。半数の人が、親族の死、病気、障害、別居、離婚ではなく、コロナ対策が孤独感に最も影響を与えているとして回答している。
なお、身近な家族がいないこと、自律性を失っていること、パソコンやスマホに慣れていないこと、収入が1千ユーロ(約13万円)以下であることなどが、孤立のきっかけとなる要因として挙げられている。SNSやビデオ通話が出来るネット環境は、パンデミックの最中に社会的なつながりを維持するための貴重なツールであったにもかかわらず、フランスでは360万人の高齢者がいまだにデジタルの世界から排除されているという。こうした中、若いシニア層の61%が、2021年にビデオ通話をしたと回答している。
なお、シニアの44%が自宅で老後を過ごすことを希望しており、その割合は2017年よりも増えている。コロナ対策が取られた結果、老人ホームは、「入居者の健康維持と市民権の尊重を両立させることが難しい」としてそのイメージが悪化したと見られている。
プチフレールは、フランス政府が「自律性喪失防止のための公共政策の構築において、高齢者の孤立との戦いを主要な軸とする」ことを呼びかけている。
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ノルウェー、新型コロナ規制を全面解除でコロナ以前の日常生活に戻る(2021/09/27)
成人の91.1%が、新型コロナワクチンの接種1回目を受けているノルウェーでは25日、新型コロナウイルスのパンデミックが始まった2020年3月から適用されてきた感染拡大防止措置が、ほぼすべて解除された。
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『ウエストフランス』によると、エルナ・ソルベルグ首相は記者会見で、「これまで平時として最も厳しい措置を導入してから561日が経過し、誰も想像できなかったような生活の制約を受けてきた。通常の生活に戻る時が来た。パンデミックに見舞われる前のような生活を取り戻す時が来た」と語った。
ノルウェーでは、感染状況の改善に伴い、夏前から感染防止対策を徐々に解除していたが、完全な正常化は、数回にわたり延期されていた。...
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『ウエストフランス』によると、エルナ・ソルベルグ首相は記者会見で、「これまで平時として最も厳しい措置を導入してから561日が経過し、誰も想像できなかったような生活の制約を受けてきた。通常の生活に戻る時が来た。パンデミックに見舞われる前のような生活を取り戻す時が来た」と語った。
ノルウェーでは、感染状況の改善に伴い、夏前から感染防止対策を徐々に解除していたが、完全な正常化は、数回にわたり延期されていた。しかし、25日の午後4時をもって、ノルウェーでは公私のイベントに参加する人数の上限が撤廃され、1メートルのソーシャルディスタンスのルールや、飲食店でまだ残っていたいくつかの規制も解除された。握手もできるようになった。欧州経済領域(EEA)、シェンゲン協定加盟国、英国、スイスの居住者に対するノルウェーへの入国制限も解除され、海外旅行を控える旨の公式勧告も10月1日に消滅する。
ただし、新型コロナウイルスに感染した場合の自己隔離の義務は残される。守らなければ罰金が科せられる。公共交通機関でのマスクの着用も、必要に応じて地域で推奨または強制されることがあるという。
ノルウェー政府によると、規制の全面的な解除は、ワクチン接種の進展によって可能になったものだと説明している。25日の時点で、ノルウェーの成人人口の91.1%がコロナワクチンを少なくとも1回接種している。ソルベルグ首相は、「新型コロナウイルスは今後何年にもわたって私たちの身近に存在し続けるだろう」と述べ、新種のウイルスが爆発的に蔓延した場合には、感染対策を再導入する可能性も否定しなかった。
欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると、ノルウェーでは直近2週間で、人口10万人あたり356 人の感染者が発生しており、死亡率は非常に低い。パンデミックが始まって以来、500万人強の人口に対し、死亡者数はわずか850人しか記録されていない。
スウェーデンのニュースサイト『ザ・ローカル』によると、ノルウェーの保健省は先週、ノルウェー公衆衛生研究所に、新型コロナウイルスが依然として危険な病気として扱うべきかどうかを評価することを要請した。公衆衛生研究所はまだ調査結果を公表していないものの、ゲイル・ブクホルム副所長はウイルスの危険性を格下げすることを明らかにした。
ブクホルム副所長は、国内新聞のインタビューで「我々は今、新型コロナウイルスを季節的変動のあるいくつかの呼吸器疾患の一つとして見なければならない新しい段階に入っている」と述べ、新型コロナウイルスがインフルエンザ、風邪、RSウイルスなどの病気と同じカテゴリーに分類されるようになる可能性を示唆した。「これは、危険にさらされている人の大部分が保護されているからだ。ウイルスはまだ循環しているが、入院患者数は抑えられている。新型コロナウイルスが医療サービスに大きな負担をかけることはなくなった。ワクチンを接種した人でも、感染して症状が出る可能性はあるが、大部分は軽い風邪のような症状にとどまる」と説明している。ただし、「パンデミックは、世界にウイルスが存在する限り、そしてワクチン接種率がまだ低い国に存在する限り、終わりとは言えない。世界中で感染の広がりがある限り、パンデミックは続く」と警鐘を鳴らした。
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