ロシア;米ロ首脳会談で軍拡競争抑制協議まで核兵器増強の手は緩めず?【米・ロシアメディア】
6月2日付Globali
「トランプ政権;米朝首脳会談復活の後は、懸案の米ロ関係修復に奔走」で報じたとおり、トランプ大統領としては、出来るだけ早くプーチン大統領と会談し、米ロ軍拡競争抑制について協議したい意向である。ただ、したたかなプーチン大統領は、貿易摩擦問題で米・欧州間がギクシャクしている間に、核兵器増強に拍車をかけ、来るべき米ロ会談において、有利に話を進めようとしている模様である。
6月19日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「衛星写真でロシアによる核兵器保管場所増強が明らかに」
米国科学者連盟(FAS、注後記)は6月18日、衛星写真によって、カリーニングラード(バルト海東岸にあるロシアの飛び地)にあるロシアの核兵器保管場所が増強されていることが見て取れると公表した。
2016年、同地で核シェルター建設が開始されたと報じられていたが、今回の衛星写真から、保管場所が深く掘られ、分厚い屋根が設けられていることが判明したという。...
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6月19日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「衛星写真でロシアによる核兵器保管場所増強が明らかに」
米国科学者連盟(FAS、注後記)は6月18日、衛星写真によって、カリーニングラード(バルト海東岸にあるロシアの飛び地)にあるロシアの核兵器保管場所が増強されていることが見て取れると公表した。
2016年、同地で核シェルター建設が開始されたと報じられていたが、今回の衛星写真から、保管場所が深く掘られ、分厚い屋根が設けられていることが判明したという。
FASの核兵器情報収集グループのハンス・クリステンセン主任は、英国『ザ・ガーディアン』紙のインタビューに答えて、同地の状況についてこれまでの定期的監視では然程大きな動きはなかったが、今回初めて大々的な進展がみられたとコメントした。
また、ロシア軍が同保管場所に核弾頭を持ち込んでいるのか不明だが、同所で明らかに活発な動きが確認されているとも付言した。
『ザ・ガーディアン』によると、ウラジーミル・プーチン大統領は、ロシアに敵対する北大西洋条約機構(NATO)が東欧に勢力拡大するのを抑えるべく、カリーニングラードを最大限利用しようとしているという。
なお、カリーニングラードはロシアのバルチック艦隊の基地となっている。
また、ロシア軍は今年1月、“イスカンデルM”移動式核弾頭発射ミサイルシステム(射程距離310マイル、約500キロメーター)配備のための基礎工事を行ったと発表している。
一方、同日付ロシア『イタル・タス通信』:「ロシア大統領府、米ロ首脳会談の準備が整えばメディアに必ず知らせると約束」
ロシア大統領府のドミートリィ・ペスコフ報道官は6月19日、依然米ロ首脳会談の話は何ら具体化されていないが、もしその準備が整えば、必ずメディアに知らせると約束した。
米『ワシントン・ポスト』紙が6月16日、米高官の話として、トランプ政権が今年7月、トランプ大統領のNATOサミット(ベルギー開催)訪問時に米ロ首脳会談を設定すべく動いていると報じていた。
(注)FAS:第二次大戦後の1945年、マンハッタン計画(原子爆弾の開発・製造計画)に参加した原子力科学者を中心に米国の核科学者たちが集まって結成された非政府組織。科学者の立場から、軍備競争の中止、核兵器の使用禁止などを訴えている。事務局はワシントン。
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米朝首脳会談の行方の陰に米中の鍔迫り合いが見え隠れする中、ロシアも北朝鮮への影響力誇示に奔走【米・チェコ・ロシアメディア】
ドナルド・トランプ大統領は、金正恩(キム・ジョンウン)委員長の陰に習近平(シー・チンピン)国家主席の存在を感じて、一度は米朝首脳会談を中止すると宣言した。しかし、その後、米の思惑通りのシナリオで当該首脳会談を取進められるとの期待が高まったことから、当初予定通りの日程・場所で行われる可能性が再浮上した。そしてこの程、これまで静観していたとみられていたロシアが、改めて北朝鮮への影響力を誇示すべく、ロシア外相を急きょ訪朝させて、存在感を示そうとしている。
5月31日付米
『ワシントン・ポスト』紙(
『AP通信』配信):「ロシア外相、北朝鮮を急きょ訪問」
ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相(68歳)は5月31日、急きょ訪朝して李容浩(イー・ヨンホ、61歳)外交部長(外相に相当)と会談した。
同外相の訪朝は、米朝首脳会談開催の可能性が高くなったこと、更には、金正恩委員長(34歳)が直近で中韓との関係改善を図ろうとしていることから、これまでのロ朝友好協力関係に鑑み、ロシアとして対北朝鮮影響力を改めて誇示しようとしたものとみられる。...
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5月31日付米
『ワシントン・ポスト』紙(
『AP通信』配信):「ロシア外相、北朝鮮を急きょ訪問」
ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相(68歳)は5月31日、急きょ訪朝して李容浩(イー・ヨンホ、61歳)外交部長(外相に相当)と会談した。
同外相の訪朝は、米朝首脳会談開催の可能性が高くなったこと、更には、金正恩委員長(34歳)が直近で中韓との関係改善を図ろうとしていることから、これまでのロ朝友好協力関係に鑑み、ロシアとして対北朝鮮影響力を改めて誇示しようとしたものとみられる。
また、ウラジーミル・プーチン大統領(65歳)としても、これまで盛んに金委員長を擁護する発言を繰り返してきたのに、肝心の金委員長が、習国家主席(64歳)及び文在寅(ムン・ジェイン、65歳)大統領とそれぞれ2度も会談していることが気にかかることではある。
同日付チェコ『ラジオ・フリー・ヨーロッパ(米議会出資の報道局)』:「ロシアのラブロフ外相、トランプ大統領・金委員長会談直前に急きょ訪朝」
ラブロフ外相の突然の訪朝は、米朝首脳会談の実現確度が高まったことから、ロシアによる北朝鮮への影響力行使を念頭に置いたものとみられる。
同外相はツイッターで、李外交部長との会談後、金委員長とも面談したと強調している。
一方、マイク・ポンペオ米国務長官(54歳)は5月30日、金委員長の片腕と目される金英哲(キム・ヨンチョル、71歳)副委員長をニューヨークに迎えて、来るべき米朝首脳会談の準備のために会談している。
一方、同日付ロシア『イタル・タス通信』:「ロシア、南北朝鮮との3ヵ国共同インフラ開発プロジェクト推進に積極的」
今週訪朝したラブロフ外相は、李外交部長との会談の後、ロシアが新たな鉄道建設等、南北朝鮮との3ヵ国共同インフラ開発プロジェクト推進に積極的に関わっていく旨表明した。
更に同外相は、ロシア産天然ガスの輸送パイプライン敷設、また、発電事業展開にも関わっていく意向であり、これまで及び今回の会談を通じて、南北朝鮮各々からロシアの参画について支持されているとも語った。
なお、同外相の訪朝は、2009年以来のことである。
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