サウジアラビアでは目下、サルマン第7代国王(82歳)の王位継承者に任命されたムハンマド・ビン・サルマン皇太子(32歳)の号令の下、「ビジョン2030」と称する脱石油の経済大改革が進められている。その一環で、政治・経済界における大胆な浄化政策(反汚職取り締まり政策)がとられ、王族である王子や高官併せて200人余りが逮捕・拘留された。そして、そのうちの一人でアラブのウォーレン・バフェット(米投資家)と呼ばれた、アル=ワリード・ビン・タラール王子(62歳)が、大金を積んで早期釈放を政権側と交渉していることが判明した。ただ、政権側が要求する10億ドル(約1,110億円)の罰金支払いに応じていないため、依然拘束されたままである。
1月14日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』(
『ロイター通信』配信):「サウジアラビアの大資本家の王子、早期釈放を求めて政権側と交渉」
サウジアラビアのアル=ワリード・ビン・タラール王子は、反汚職取り締まり政策の一環で逮捕され、2ヵ月余り拘留されている。
同王子は、米経済誌『フォーブス』の試算で170億ドル(約1兆8900億円)の資産を保有していて、サウジアラビア最大の国際投資会社キングダム・ホールディングのオーナーでもある。...
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1月14日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』(
『ロイター通信』配信):「サウジアラビアの大資本家の王子、早期釈放を求めて政権側と交渉」
サウジアラビアのアル=ワリード・ビン・タラール王子は、反汚職取り締まり政策の一環で逮捕され、2ヵ月余り拘留されている。
同王子は、米経済誌『フォーブス』の試算で170億ドル(約1兆8900億円)の資産を保有していて、サウジアラビア最大の国際投資会社キングダム・ホールディングのオーナーでもある。
政府高官によると、同王子は政権側と早期釈放につき交渉しているが、今のところ政権側が求める罰金の支払いに応じていないため、依然拘留されているという。
反汚職取り締まり政策は、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が取進めているが、政権側としては、不正によって流出した政府資産約1,000億ドル(約11兆1,000億円)を可及的速やかに取り戻す意向である。
なお、同じく昨年11月下旬に逮捕・拘留されたムタイブ・ビン・アブドゥッラー王子(65歳)は、10億ドル(約1,110億円)余りの支払いに応じたため、釈放されている。
1月15日付英『デイリィ・エクスプレス』紙:「サウジアラビア一の資産家の王子、汚職取り締まりで拘留されて“逆さ吊りやムチ打ち”の罰を受ける」
昨年11月に汚職容疑で逮捕・拘留されたアル=ワリード・ビン・タラール王子は、政権側が求める7億2,800万ポンド(約10億ドル)の罰金支払いに応じていないため、“逆さ吊りやムチ打ち”の罰を受けている。
カタールの『アル=アラビー・アル=ジャディード』ニュース報道によると、同王子は、同様の罪で逮捕された200人余りの王子・高官とともに、拘置所代わりとなっているリヤド・リッツカールトン・ホテル(米系五つ星ホテル)に拘留されているという。
サウジアラビアでは、昨年6月21日に、サルマン・ビン・アブドルアズィーズ国王から王位継承者に任命されたムハンマド・ビン・サルマン皇太子の指揮の下、大胆な経済改革の一環で大掛かりの反汚職取り締まり政策が進められている。
また、サルマン国王も、同国社会の自由化促進のため、女性への運転免許証交付を認める決定をしている(編注;サウジアラビアは、世界で唯一、女性の運転を認めていない国)。
なお、反汚職取り締まり委員会は今週初め、ビンラディン建設グループのオーナー一族(悪名高いテロリストの故オサマ・ビン・ラディンの親族)を逮捕している。
1月14日付サウジアラビア『MEM(ミドル・イースト・モニター)ニュース』:「サウジアラビアのアル=ワリード王子、早期釈放を求めて政権側と金銭交渉」
サウジアラビアの高官が『ロイター通信』に語ったところでは、アル=ワリード王子が政府に“寄付”を申し出ることで、自身の罪状が否認されること等を狙って交渉しているが、政権側は、提示金額含めて全く受け入れられない条件だとして拒絶しているという。
同王子の罪状は、資金浄化・賄賂・政府高官ゆすり等と言われている。
なお、建設会社大手のサウジ・ビンラディン・グループは1月13日、反汚職取り締まりの一環で、同社の株主の何人かが保有株式を政府に譲渡したこと、また、バクル・ビン・ラディン会長(71歳)とその一族が拘束されたと発表した。
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