ロシア軍所属の太平洋艦隊が10月11日、北方領土沖の日本海で軍事演習を実施した。これに対して、岸田文雄新首相(64歳)が、北方領土は日本固有の領土だとして当該演習を非難する声明を発信した。しかし、ロシア連邦国防・安全保障委員会代表は、日本側の主張は歴史の歪曲であり、両国間に領土問題など存在しないとして首相声明を一蹴している。また、ロシア大統領府も正式に反論声明を発信している。
10月12日付米
『アメリカン・ミリタリー・ニュース』(2015年創刊の軍事・外交専門ニュース):「ロシア艦船、日本海沖でミサイル発射訓練実施」
ロシア軍所属の太平洋艦隊が10月11日、日本海沖で対空ミサイル発射訓練を実施した。
ロシア『タス通信』が報道した同艦隊の声明文によると、“ミサイル巡洋艦「バリャーク」(1989年就役)及び対潜駆逐艦「アドミラル・トリーブツ」(1983年就役)が、夏季軍事演習計画の一環で、日本海において高速飛行体を標的としたミサイル発射訓練を実施した”という。...
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10月12日付米
『アメリカン・ミリタリー・ニュース』(2015年創刊の軍事・外交専門ニュース):「ロシア艦船、日本海沖でミサイル発射訓練実施」
ロシア軍所属の太平洋艦隊が10月11日、日本海沖で対空ミサイル発射訓練を実施した。
ロシア『タス通信』が報道した同艦隊の声明文によると、“ミサイル巡洋艦「バリャーク」(1989年就役)及び対潜駆逐艦「アドミラル・トリーブツ」(1983年就役)が、夏季軍事演習計画の一環で、日本海において高速飛行体を標的としたミサイル発射訓練を実施した”という。
同報道によると、“実施されたのは10月11日で、計10発のミサイルを発射した”という。
ロシア軍は極東国防の一環で、定期的に海上演習を行っているが、今回の軍事訓練は、岸田文雄新首相が誕生して間もなくの実施となる。
日本とロシア両国は戦争状態にないが、第二次大戦終結以降何十年もの間、クリル諸島(日本呼称千島列島)の帰属問題が未解決のままとなっている。
日本がかつて領有していたクリル諸島は、戦後すぐに旧ソ連が収奪し、以降旧ソ連及びロシアが実効支配してきている。
そしてこの問題が未解決なこともあって、両国間で未だ平和条約が締結されていない。
岸田新首相は10月12日、クリル諸島南部(日本呼称北方領土)は日本固有の領土だと主張して、北方領土沖の日本海でのロシア軍演習を非難した。
インドの『アジア・ニュース・インターナショナル』(1971年設立)によると、同新首相は、“領土問題は次世代に先送りすべきではなく、可及的速やかに解決する必要がある”とし、“その上で正式な平和条約を締結したい”と述べたとする。
しかし、この発言に対してロシア高官がすぐさま、歴史の歪曲だと非難する声明を出した。
ロシア連邦国防・安全保障委員会のビクトル・ボンダレフ委員長(61歳、元ロシア空軍上級大将)が『タス通信』のインタビューに答えて、“岸田首相の大衆迎合主義的な発言は、日本国内の支持を得ようとしただけでなく、ロシアを批判したり攻撃したりする友好国を歓迎する米国政府におもねるものだ”と非難した。
同委員長は更に、“日本の首相がクリル諸島南部の領有権を何度主張しようとも、現状は全く変更されることはない”とし、“かかる発言は歴史の歪曲と解釈される”と強調した。
その上で、“何故なら、同領有権は戦勝国側帰属に変更されたからであり、従って、第二次大戦後の結果に基づく現状は、討議する必要も、また変更の余地も全くない”と断言した。
同日付ロシア『タス通信』:「ロシア政府、クリル諸島南部はロシア領土だと強調」
ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官(53歳)は10月12日、岸田首相がクリル諸島南部の領有権問題に言及した声明に対して、同諸島は全てロシアに帰属する領土である、と強調した。
同報道官は、“明らかにロシア領土であるので、首相のかかる発言は全く同意できない”と付言した。
その上で同報道官は、“ウラジーミル・プーチン大統領(69歳)が、かねてより両国間の懸案事項について、ひとつひとつ関係閣僚間で協議し、政治的解決を図る用意があると表明してきた”と言及した。
しかしながら、同首相は10月12日、衆議院本会議場において、クリル諸島南部の領有権を主張し、“将来世代に先送りせずに速やかに解決すべきだ”と唐突に発言していた。
なお、ロシア外務省はこれまで幾度となく、国際法に基づいて同島は正式にロシアに帰属することになっており、疑問を差し挟む余地はないと発信してきている。
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アメリカのトム・コットン上院議員は10日に開催された上院公聴会で、ロイド・オースティン国防長官に対し、米軍で、ダイバーシティとインクルージョン研修という名のもとに、「反米教育」を受けさせられているとする数百人に及ぶ内部告発を受け取ったことを明らかにした。
米
『フォックスニュース』や米誌
『エアフォース・タイムズ』によると、コットン上院議員は今月初めに、元米軍特殊部隊少佐のダン・クレンショウ議員とともに、内部告発を受け付けるウェブサイトを開設した。サイトに集まった証言をもとに、コットン議員は上院公聴会でオースティン国防長官に対し、軍内では「士気の低下、わずか6ヶ月前には存在しなかった人種や性別間の不信感の増大、これらの研修だけで予想外の退職や離職が発生している」と伝えた。ある海兵隊員は、軍事史の研修が、警察の残虐行為や白人の特権、組織的な人種差別に関する教育に置き換えられ、何人もの将校がその研修を理由にこの部隊を去っていると報告したという。またある隊員は、ロビン・ディアンジェロ著の「白人であることの脆弱」を読まされたと報告した。この本は、西洋の白人が白人至上主義を内面化していると主張している。
オースティン国防長官は、軍隊が「資格を持ち、任務に就くのに適した人なら誰でも歓迎する」ことを確実にするための研修を実施していると語り、「私たちは、私たちが支え、守るアメリカを反映すべきであり、上層部は、隊員を反映しているべきです」と述べた。
米『エポックタイムズ』によると、コットン議員は、軍がこのような訓練で多様性を育もうとしているという主張は正しくないと指摘したという。「これは、我々が受け取った内部告発者からの苦情に基づいて、軍の一部に浸透している非常に特殊な反米教育だ」と述べ、「軍隊は何十年もの間、肌の色や出身地、両親の肩書に関係なく、自分の成績や実力で出世できる可能性の高い社会的機関の1つだった」はずだと述べた。
国防長官は、「私がその例です」と答え同意した。しかし、軍は、「もう少し改善」が、「絶対的に包括的」であり、「公平性」を促進する必要があると述べた。この 「包括性」と「公平性」という言葉は、社会正義推進派の中で長年使われてきたものであり、それを促すことで、「世界で最も質の高い最強の軍隊」を構築することになると主張した。
米『アメリカン・ミリタリー・ニュース』は、米航空機・宇宙船の開発製造会社のロッキード・マーティン社でも、白人男性の幹部を対象とした強制参加のダイバーシティ研修プログラムを開催していることが明らかになったと報じている。
ダイバーシティ研修に参加した出席者は、白人男性を「人種差別主義者」「特権階級」「KKK」に分類するよう教えられ、「白人男性文化のルーツ」として、「頑固な個人主義」、「やればできるという態度」、「勤勉さ」、「原理原則に基づいた行動」、「成功に向けて努力する」などの特徴が挙げられていたという。しかし、これらの特徴は、女性やマイノリティにとって「破壊的」なものであると教えられる。同社では2007年以降、1,000人以上の従業員がダイバーシティ研修を受けてきたことが明らかになっている。
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