韓国政府による慰安婦財団解散発表;海外メディアの一部は日本政府発表・日本メディア報道より被害者慰安婦発言の方に重き【米・英国メディア】
韓国政府は11月21日、旧日本軍の慰安婦問題をめぐる2015年12月の日韓合意に基づき設立された慰安婦被害者支援のための「和解・癒し財団」の解散を発表した。これに対して日本政府はもとより、日本メディアも一斉に、“韓国は政権が代わると国家間の合意を覆す国”と非難の声を上げている。しかし、海外メディアの中には、歴代の韓国政府の不作為を非難するのでなく、弱者と捉えられる元慰安婦の生の声を掲載して、日韓合意の不誠実さとその反故が必要だとの韓国世論の方に重きを置いて報じるところもある。ただ、その記述には正確を欠く部分が散見される。
11月23日付米国
『ロイター通信』:「韓国で生存する“元慰安婦”が、日本からの償いを求めて残り僅かな余命を過ごす」
『ロイター通信』が10月30日にインタビューした元慰安婦の李龍洙(イー・ヨンスー、90歳)さんは、1945年に解放されて生家に戻ったときは僅か17歳であった。
彼女の家族は、彼女が死んだものと思っていたため、幽霊が帰ってきたと思ったという。
彼女自身、台湾にあった旧日本軍の空軍基地に連れてこられ、幼い性奴隷として扱われたときは、死を覚悟していた。...
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11月23日付米国
『ロイター通信』:「韓国で生存する“元慰安婦”が、日本からの償いを求めて残り僅かな余命を過ごす」
『ロイター通信』が10月30日にインタビューした元慰安婦の李龍洙(イー・ヨンスー、90歳)さんは、1945年に解放されて生家に戻ったときは僅か17歳であった。
彼女の家族は、彼女が死んだものと思っていたため、幽霊が帰ってきたと思ったという。
彼女自身、台湾にあった旧日本軍の空軍基地に連れてこられ、幼い性奴隷として扱われたときは、死を覚悟していた。
その後終戦を迎え、無事に本国に帰還できたが、彼女自身、七十数年前より現在の方が、日本政府からの真摯な謝罪及び法的な損賠賠償を求める気持ちが強いという。
何故なら、歴史家の中の何人かは、1910~1945年の間の日本の占領下、20万人の朝鮮人女性が性奴隷にされたと推定しているが、現在生存する人は僅か27人である。
また、『ロイター通信』が李さんにインタビューした数日前にも、元慰安婦のひとりが亡くなっている。
更に、別の元慰安婦の金福童(キム・ボクドン、92歳)さんは、ガンに罹患していて余命数ヵ月しかなく、証言することもできない状態となっている。
一方、日本政府は、1965年に締結された日韓基本条約の下、8億ドル(編注;現在の貨幣価値で1兆800億円相当、当時の韓国国家予算の2倍強)を拠出し、戦時中の賠償はカバーされているとし、また、2015年の日韓合意の義務まで遵守しないとせば、日韓両国の関係が悪化するばかりだと非難している。
しかし、韓国世論は、1990年代の「アジア女性基金」では、日本政府が立ち上げて賠償金が支払われたものの、当時の日本政府から慰安婦への謝罪がなく誠意が欠けていたと主張。更に、2015年の日韓合意についても、日本政府の法的責任について言及されていないとし、いずれも不満に思っている。
冒頭に引用した李さんは、ローマ教皇に会って被害を訴え、また、北朝鮮にも赴いて同じ境遇の被害者に一緒に行動するよう訴える運動もしてきた。
そして李さんは、安倍晋三首相には、自分たちへの直接の謝罪の言葉、真実を話すこと、更に、法的賠償を強く求めると話している。
一方、11月21日付英『ザ・ガーディアン』紙:「韓国が“慰安婦救済財団”を解散したことに対して日本側に怒り」
安倍首相は、日韓政府間で不可逆的に合意された2015年合意事項に基づき、日本側は謝罪を表明した上で基金を拠出したにも拘らず、韓国側はその義務を履行せず、一方的に元慰安婦救済のための「和解・癒し財団」を解散したことは誠に遺憾だとして猛烈に抗議した。
韓国の『聯合(ヨナプ)ニュース』によると、日本政府は2015年合意に基づき、約900万ドル(10億円)の基金を拠出し、うち約390万ドル(4億3千万円)が生存していた元慰安婦34人、及び既に死亡した58人の遺族に支払われてきたという。
しかし、韓国政府は、2015年合意が元慰安婦の声を十分反映していないこと、その影響で同財団の運営が立ち行かなくなっている現状に鑑み、止む無く同財団を解散することとしたと表明している。
なお、韓国政府が認めている元慰安婦240人のうち、現在の生存者は27人となっている。
一方、日本政府への賠償を求める活動団体によると、1932~1945年の間、旧日本軍によって強制連行、あるいは騙されて慰安婦とされた女性は20万人に及ぶとし、ほとんどは朝鮮人だが、他に中国人、東南アジア人、また、僅かながら日本人や欧州人も含まれているとする。
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世界銀行による「2019年ビジネス環境ランキング(起業のしやすさ等)」でロシアが日本を抜いて31位に躍進【米・韓国メディア】
世界銀行(WB)は2003年より、中小の国内企業のビジネス環境をモニタリングする報告書を発行している。各国・地域の資金調達や電力供給、税制など10項目を分析し、起業のしやすさ等についてランキングしたもので、10月末に最新版「2019年ビジネス環境ランキング」を発表した。それによると、ロシアが日本(昨年の34位から39位に後退)を抜いて31位に躍進している。安倍政権による経済成長戦略において、“2020年までに先進国3位”を達成目標として掲げているが、規制改革の遅れ等で上位に食い込むのが難しくなっている。
10月31日付米
『ロイター通信』:「ロシアがWBの世界ビジネス環境ランキングで31位に躍進」
WBが10月31日にリリースした「2019年ビジネス環境ランキング」(対象190ヵ国)によると、ロシアが昨年の35位から31位に順位を上げた。
2011年報告書では120位であったことから、ウラジーミル・プーチン大統領が掲げている目標“10年以内にトップ10入り”の下、大躍進を遂げていると言える。...
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10月31日付米
『ロイター通信』:「ロシアがWBの世界ビジネス環境ランキングで31位に躍進」
WBが10月31日にリリースした「2019年ビジネス環境ランキング」(対象190ヵ国)によると、ロシアが昨年の35位から31位に順位を上げた。
2011年報告書では120位であったことから、ウラジーミル・プーチン大統領が掲げている目標“10年以内にトップ10入り”の下、大躍進を遂げていると言える。
特にここ数年、クリミア半島併合に伴う欧米からの経済制裁、米大統領選への不当介入問題での米制裁等に喘いでおり、その中での躍進はロシアの威信の表れとみられる。
ただ、WBは同報告書の中で、ロシアは更に小規模投資家保護や企業責任を問う法制を改善・強化する必要があるとしている。
なお、ニュージーランドが3年連続首位となっている。最下位はソマリアである。
同日付韓国『聯合(ヨナプ)ニュース』:「韓国、WBビジネス環境ランキングで5位に後退」
10月31日にWBが発表した「2019年ビジネス環境ランキング」で、韓国は昨年よりひとつ順位を下げて5位となった。
起業上の法整備、電力供給、建築許可では上位に評価されているが、破綻処理、資金調達の点で評価をさげたことが総合順位に影響を及ぼしたものとみられる。
なお、首位ニュージーランド、2位シンガポール、3位デンマークは3年連続同じ結果となっている。
そして、香港が4位に躍進し、以降、6位ジョージア、7位ノルウェー、8位米国、9位英国、10位マケドニアとなっている。
(参考)「2019年ビジネス環境ランキング」における、主な国のランキングは以下のとおり:13位台湾、18位豪州、22位カナダ、24位ドイツ、30位スペイン、32位フランス、38位スイス、39位日本(昨年34位)、46位中国、77位インド。
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