ロシア政府は今年5月、米国による対ロシア制裁措置等に対抗して、米国を「非友好国」に指定した。これに伴い、米国は在ロシア大使館・総領事館で現地職員を雇用できなくなるため、米国はこの程、止む無く200人近い現地職員を解雇することとした。
7月30日付
『ボイス・オブ・アメリカ』(
『AP通信』配信):「米国、ロシアによる禁止措置に従って在ロシア大使館等の現地職員を解雇」
米国は7月30日、ロシア政府が期限と定めた8月1日に先行して、在ロシア米国大使館等で働く200人近い現地職員を止む無く解雇した。
ロシアは今年初め、米国を「非友好国」と指定し、在モスクワ米国大使館及び在エカテリンブルグ(ロシア中央)・在ハバロフスク(極東)米国総領事館の非米国人スタッフの雇用を禁止すると発表していた。...
全部読む
7月30日付
『ボイス・オブ・アメリカ』(
『AP通信』配信):「米国、ロシアによる禁止措置に従って在ロシア大使館等の現地職員を解雇」
米国は7月30日、ロシア政府が期限と定めた8月1日に先行して、在ロシア米国大使館等で働く200人近い現地職員を止む無く解雇した。
ロシアは今年初め、米国を「非友好国」と指定し、在モスクワ米国大使館及び在エカテリンブルグ(ロシア中央)・在ハバロフスク(極東)米国総領事館の非米国人スタッフの雇用を禁止すると発表していた。
これは、2020年米大統領選へのロシア介入疑惑、英国滞在中の元ロシアスパイの服毒事件、ロシア野党勢力代表アレクセイ・ナワルニー氏(45歳)の不当逮捕及び同氏支持者への取り締まり、更には米政府省庁が採用している米ソーラーウィンズ社(1998年設立)製ソフトウェアへのサイバー攻撃等々を理由に、米国が対ロシア制裁を導入・強化したことに対する報復措置とみられる。
かかるロシア政府発表に基づき、米国大使館等では今年5月以降ビザ発給手続き等が一切停止されている。
このため、ロシア人ビジネスマンや交換留学生、更には米国に住む恋人に会いたいと願う人たちは、ロシア国内では米国ビザが取得できない状況になっている。
米国側としては、6月中旬にジュネーブ(スイス)で開催されたジョー・バイデン大統領(78歳)とウラジーミル・プーチン大統領(68歳)との会談を契機に、ロシア側が翻意するかと期待していたが全くの空振りとなった。
そこで止む無く、アントニー・ブリンケン国務長官(59歳)が7月30日、在ロシア米国大使館等に勤務する事務員・運転手・下請け等182人の現地職員の解雇を発表した。
同長官は、“ロシア政府によるかかる措置によって、米大使館等勤務の人たちの安全が脅かされるばかりか、両国の外交関係にも悪影響を及ぼしかねない”と非難する一方、解雇せざるを得ない現地職員に対しては、“常日頃から行われてきた不断の業務遂行に大いに感謝している”と、最大限の表現を使って労った。
なお、本件に関わり、ロシア外務省は沈黙したままで、また、在ワシントン・ロシア大使館も『AP通信』からの照会に対する反応はない。
閉じる
今年初めに就任したジョー・バイデン大統領(78歳)は、米中関係について“21世紀における民主主義と専制主義の闘い”と定義した上で、前政権と同様、中国の貿易不公正・人権蹂躙問題等々で厳しく対峙している姿勢を示している。ただ、同時に、気候変動対策等米中両大国が協力すべき問題で協調していくと表明している。そうした中、この程国務省No.2を訪中させて、協調的アプローチを試みようとしている。
7月21日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』:「米国、外交トップをアジアに派遣し中国への協調的アプローチ」
米中間の緊張が高まる中、米外交トップが7月25日、中国で会談することになった。
訪中するのは、国務省No.2のウェンディ・シャーマン国務副長官(72歳、2021年4月就任、オバマ政権下で国務次官)で、中国東端の天津(ティエンチン)において王毅外交部長(ワン・イー、67歳、外相に相当)等と会談する予定である。...
全部読む
7月21日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』:「米国、外交トップをアジアに派遣し中国への協調的アプローチ」
米中間の緊張が高まる中、米外交トップが7月25日、中国で会談することになった。
訪中するのは、国務省No.2のウェンディ・シャーマン国務副長官(72歳、2021年4月就任、オバマ政権下で国務次官)で、中国東端の天津(ティエンチン)において王毅外交部長(ワン・イー、67歳、外相に相当)等と会談する予定である。
国務省のネッド・プライス報道官(38歳)は7月21日の記者会見で、“米中関係は複雑でチャレンジングな事態であるが、両国の高官レベルでのオープンなコミュニケーションを維持することが重要だと考える”とした上で、“中国との競争関係は続くとしても、共産党政権との対話は必要だ”と言及した。
ただ、同副長官の訪中の話が明らかにされる直前の7月19日、バイデン政権は、マイクロソフト・エクスチェンジ・サーバー(MES、注後記)のメール・ソフトウェアに対して中国が大規模ハッキングを行ったとして非難した。
そして、米国の通商機密・技術情報・感染症研究報告等を盗み出そうとした容疑で、中国人4人を起訴している。
なお、同副長官の訪中は、今年3月にアラスカで行われた米中外交トップ間の会談以来の直接対話である。
また、同副長官は、中国の他、日本、韓国、モンゴル及び中東のオマーンも歴訪する。
一方、同じタイミングで、ロイド・オースティン国防長官(67歳)が、バイデン政権閣僚として初めて東南アジアを歴訪する。
同長官は7月21日、出発に先立って、“中国による南シナ海における一方的で根拠のない領有権主張を看過しない”とし、“同海域における航行の自由を確保すべく行動する”と強調した。
なお、同長官の訪問先はシンガポール、ベトナム、フィリピンである。
7月22日付中国『環球時報』:「中国、米国外交トップの訪問を認めるも、内政干渉を止めるよう要求すると表明」
外交部(省に相当)は7月21日晩、米国務省のウェンディ・シャーマン副長官が7月25~26日に天津を訪問することになったと発表した。
同部声明によると、同副長官の訪問は、米国側の要請に基づくもので、同副長官はまず外交部米中関係担当の謝鋒副部長(シー・フェン、57歳)と面談し、後に王毅部長も加わるという。
ある外交問題専門家は、現下の両国の関係悪化の中にあって、かかる外交トップレベルの会談は重要であり、中国政府も米国側との対話継続の必要性を認めているとする。
ただ、米外交トップの訪中の話が明らかになる直前、バイデン政権は新たに、中国によるサイバー攻撃があったと、根拠もなく国際問題化している。
従って、米中両国の高官レベルの会談は重要であるが、今回の会談では大きな成果は期待でいないだろう。
なお、別の専門家は、“もし米国側が再び、新疆ウィグル自治区や香港の問題を提起してくるならば、今春のアラスカで行われた両国外交トップ会談と同様、時間の浪費となろう”とコメントしている。
(注)MES:マイクロソフトの開発したグループウェア・電子メール製品。マイクロソフト製品を採用している企業で広く使われている。主な機能は、電子メール・予定表・連絡先などの共有と携帯機器やウェブからの情報アクセスサポート、さらにデータ格納サポートである。
閉じる