フランス、ホテル業界歴史的危機
フランスでは新型コロナウイルスのパンデミックとそれに伴う経済危機のために、多くの業界が大打撃を受けている。ホテル業界にとっても、2020年は悪夢の年であった。現在もコロナ禍で客足が遠のいたままとなっている国内のホテルは、その3分の1が今も休業している。業界では人員削減を余儀なくされており、高級ホテルも免れていはいない。
仏放送局
『フランス アンフォ』によると、ホテル大手のル・メリディアンは、近々254人の従業員を解雇することを計画している。業界全体でも、今後数週間で労働力の4分の1を失う可能性があると見られている。
ホテルレストラン独立事業者団体の副委員長であるエマニュエル・ソバージュ氏は、大量解雇の状況は避けられないと述べている。「1,000室もの部屋が空いているのに、どうすればいいのか。イベントもセミナーも観光客も航空会社もなくなったら、解雇するしかない」と嘆いている。...
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仏放送局
『フランス アンフォ』によると、ホテル大手のル・メリディアンは、近々254人の従業員を解雇することを計画している。業界全体でも、今後数週間で労働力の4分の1を失う可能性があると見られている。
ホテルレストラン独立事業者団体の副委員長であるエマニュエル・ソバージュ氏は、大量解雇の状況は避けられないと述べている。「1,000室もの部屋が空いているのに、どうすればいいのか。イベントもセミナーも観光客も航空会社もなくなったら、解雇するしかない」と嘆いている。
仏日刊紙『ル・フィガロ』や金融紙『レゼコー』によると、観光・ホテル業界専門の「MKGコンサルティング」社は、価格の大幅な下落とホテルの稼働率の低下が相まって、昨年、1室あたりの平均収益(RevPAR)は61.3%減少し、2020年全体では32.4%にとどまったと発表した。パナヨティス社長は「これほど低い数字は30年以上も見たことがない。」と1970年代のオイルショック以来の数字だとコメントしている。
また、財源不足は膨大なものとなっており、合計で140億ユーロ(約1兆7600億円)に上る。損失は宿泊施設で100億ユーロ(約1兆2600億円)、ホテルのケータリングで40億ユーロ(約5000億円)となっている。すべてのホテルカテゴリーが、すべての地域で被害を受けていることも判明した。しかし、最も重い代償を払っているのは、高級ホテル業界とパリ首都圏地域だという。
それでもフランスは、MKGコンサルティングが調査した欧州18カ国の中で最も良い結果を記録している。1室あたりの平均収益(RevPAR)は、イギリスで70.8%、スペインで75.2%、イタリアで76.7%、ギリシャで77.4%減少し、最も影響を受けた2カ国、ハンガリーでは80.4%、チェコで83.3%の急減少を記録している。
しかし、中国の錦江グループの子会社であるルーヴルホテルズの社長ピエール・フレデリック・ルーロ氏は昨年、日刊紙『ウエストフランス』のインタビューで、「過去10年間、すでにフランスのホテルは毎年2~3%ずつ減っていた。コロナ禍は、そのトレンドを加速させている」だけであり、「ヨーロッパのホテル業界の20~30%は消滅するだろう」と述べていた。
そして、「ホテル業界は社会に比べて十分な速さで変化していない。ホテルとケータリング業界には17の組合がある。フランスはそのポテンシャルを十分に生かしていない。フランスも例えば上海のように、すべてのサービスにアクセス可能なアプリケーションを持つことができるはずだ。」と指摘している。
ホテルはもはや「部屋と本では十分ではない。私たちは暮らしの延長にある新しいホテルサービスを提供しなければならない」とも指摘している。例えば今月、リヨン市のホテルでは、上海のホテルで提供しているテクノロジー愛好家向けのサービスを真似て、配送ロボット、部屋の空気清浄機、デジタルチェックインなどのサービスを導入する。また、イル=ド=フランス地域圏にあるランジス市では、果樹園と野菜園を持っているホテルがケータリングセミナーを主催する予定だ。
同社長は、現在の困難な状況がホテル業界の徹底的な再構築につながると確信している。
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フランス、上院議員が郵便投票の復活を提案、政府は復活に消極的
米国大統領選で郵便投票をめぐる不正に関する論争が起きている中、フランスでは上院議員が郵便投票の復活を提案している。フランスでこの制度は、不正が多すぎるという理由で1975年に廃止されている。
『フランス アンフォ』によると、フランス上院議会で5日、多数派の与党がフランスでの郵便投票を復活させる法案を提出した。フランスでは、新型コロナウイルスの流行で、今年行われた市町村議会選挙での投票率が過去最低を更新しており、郵便投票による投票率の回復を目指したい考えだ。
ローヌ地方の議員ブルーノ・ボネル氏は、極めて低い投票率のままでは、選挙の将来を危うくするものであると主張している。この見解は、与党議員の中で広く共有されており、「アジール(行動)党」などの野党議員の中にも、今後議論が行われなければならない議案だという声が上がっている。...
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『フランス アンフォ』によると、フランス上院議会で5日、多数派の与党がフランスでの郵便投票を復活させる法案を提出した。フランスでは、新型コロナウイルスの流行で、今年行われた市町村議会選挙での投票率が過去最低を更新しており、郵便投票による投票率の回復を目指したい考えだ。
ローヌ地方の議員ブルーノ・ボネル氏は、極めて低い投票率のままでは、選挙の将来を危うくするものであると主張している。この見解は、与党議員の中で広く共有されており、「アジール(行動)党」などの野党議員の中にも、今後議論が行われなければならない議案だという声が上がっている。
オリビエ・ベヒト議員は、「フランスでは新型コロナウイルスのパンデミックが収まらない中、感染防止のために県議会選挙や補欠選挙の延期も検討され始めている。しかし民主主義を無期限に先送りすることができない」と述べている。
しかし『ロシアトゥデイ』によると、この提案は多数派の支持を満場一致で得ているわけではないという。10日の国会演説でダルマナン内相自らが反対の意向を示した。「我々は今日、郵便投票が電子投票のように不正に対して議論の余地のないものであることを確認することはできない。」と指摘した。そして、不正対策により有効な「投票所での自由な投票を続けられることを願っている」と述べた。
野党議員からも議案に対する反対の声が上がっている。マリーヌ・ル・ペン議員は「郵便投票については、この投票方法が可能にする不正行為はよく知られており、誰でも簡単にできてしまうために1975年に廃止されており、そうあるべきだとコメントしている。
元欧州議会議員のフロリアン・フィリポ氏も、フランスは不正のために1975年に郵便投票を廃止し、今回のアメリカ選挙でも郵便投票と不正の問題が出てきている中、コロナウイルスを理由に議員が郵便投票を提案するようなことはあってはならない、と批判した。
『フランス アンフォ』によると、フランスでは戦後から1975年まで郵便投票が行われていたという。しかし、不正行為が認められたために法律で禁止された。当時の内務大臣であったミシェル・ポニャトフスキ氏は国民議会の前で、フランス全土で指摘されている違反行為を詳しく説明した。不正な投票用紙の大量送付、有権者に対し投票用紙を「送り忘れる」、亡くなっているはずの人達の投票、など具体例が挙げられた。
例えば1973年にコルシカ島の小さなコミューンで行われた選挙では、200票の郵便投票が不正と判断され、そのうち35票はすでに亡くなった人からの郵便投票だった。また、1975年には、投票所での投票数を含めて、11,308票のうち3,799票しか獲得できなかった党に郵便投票670票のうちの9割が投票されてきた。
ベルサイユ-セルヴィス・サントオー大学の准教授であるジャン=ピエール・カンビー氏は、「送る側も受け取る側も確実でないため、不正行為を完全に許すやり方だ」とコメントしている。有権者自身による不正の可能性と、投票用紙が役場に到着してから行われる不正の可能性があるため、選挙法の専門家は郵便投票を安全ではないと見ている。
一方で、郵便投票復活に賛成の議員は「それは45年前のことだ」とコメントしている。「郵便投票による票を確実なものとするために色々なことが発明されてきた。」 また、郵便局にはその「対応力がある」と思うと指摘している。
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