フランス映画館、再開後も客数の制限で経営立て直しに苦戦
新型肺炎の流行の為に休館していたフランスの映画館が再開してからまもなく1ヵ月となる。映画館にとって稼ぎ時となるはずの夏休みの期間が来ているが、今年は新型肺炎のために入場者数が通常の1/3にとどまっているという。このままでは閉館危機に直面する可能性が高く、業界関係者からは追加支援策を求める声が出ている。
『レゼコー』によると、フランスの映画館は6月22日から再開し、観客数は徐々に戻ってきているという。観客の数は、7月8日から15日までの1週間に120万人を達成し、一つの目安となる100万人を超えた。デジタル市場分析を行う米コムスコア社のフランス支社長マルティ氏は、「7月8日以降、入場者数が毎日増加している。これは前向きな兆候だ」とコメントしている。
映画館が再開された6月22日の週には、映画に関する大々的なキャンペーンを繰り広げたおかげで、92万人の入場者数を記録している。...
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『レゼコー』によると、フランスの映画館は6月22日から再開し、観客数は徐々に戻ってきているという。観客の数は、7月8日から15日までの1週間に120万人を達成し、一つの目安となる100万人を超えた。デジタル市場分析を行う米コムスコア社のフランス支社長マルティ氏は、「7月8日以降、入場者数が毎日増加している。これは前向きな兆候だ」とコメントしている。
映画館が再開された6月22日の週には、映画に関する大々的なキャンペーンを繰り広げたおかげで、92万人の入場者数を記録している。6月22日からの映画館の入場者数は累計で420万人に上る。
しかし、通常であれば7月中旬の観客数は約340万人に上り、今年はその1/3にしか達していない。本来7月にはアメリカの映画が7割以上を占めているが、今年は夏のヒット作となる予定だったアメリカの作品のほとんどがリリースを延期したことが売り上げに響いている。
更には、感染防止対策の一環として入場者の入れ替えの際の密を避けるために、上映回数が通常の4分の3に減らされていることも売り上げを直撃している。
『ヨーロッパ1』によると、フランスのミニシアター協会(SCARE)は、観客を呼び戻すために頼りとしていた大作のほとんどは秋以降にリリースが延期されため、映画館によっては臨時休館に追い込まれる状況にあるという報告書を出した。
予定通りリリースされた大作を上映した場合でも、運営コストをまかなえるほどの観客が集まらないため、赤字運営となってしまっている。
反面、ミニシアターの中でも、中・小規模作品を主に上映している映画館は、危機を何とか乗り越えることが出来ている。特にパリの映画館は市役所による6ヵ月間の賃貸料免除など、金銭的支援を受けていることが大きいという。
しかしある映画館の支配人は『フランス アンフォ』に対して「本来、7月と8月は1万人から1万2千人の観客が見込める。今年は希望的観測で6千か7千人というとこだろう。この程度の観客数で映画館の運営を続けることは不可能であることはみな認識していると思う。ある時点で、本来の入場者数に戻すことが必然である」と警告している。
『レゼコー』の報道によると、フランスは国産の作品を多く上映できているため、ドイツ(17%)やスペイン(13%)など他のヨーロッパの国々よりも観客数の戻りが良いものの、フランス映画連盟はこのままではフランスの映画館は閉館の危機に直面しているとして、追加の緊急支援対策が必要であることをフランス政府に訴えている。
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フランス在住の中国少数派民族、中国政府による監視政策の標的に
フランスに亡命しているチベット、ウイグル、香港の人々は、亡命先の国でも、中国政府から監視され、嫌がらせを受けていることがフランスメディアによって報じられている。
『ル フィガロ』によると、フランスに亡命した中国の少数民族の人々にとって、殺害予告や電話による嫌がらせ、スパイ行為、脅迫メールなどが日常生活の一部になっているという。
どの民族の人も、同じ方法で監視され、脅しを受けている。中国政府の目的は、新型肺炎の危機以降イメージダウンしている中国の印象を更に悪化させることを防ぐために、問題を起こしそうな亡命国民を脅迫し、とりわけ沈黙させることだという。...
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『ル フィガロ』によると、フランスに亡命した中国の少数民族の人々にとって、殺害予告や電話による嫌がらせ、スパイ行為、脅迫メールなどが日常生活の一部になっているという。
どの民族の人も、同じ方法で監視され、脅しを受けている。中国政府の目的は、新型肺炎の危機以降イメージダウンしている中国の印象を更に悪化させることを防ぐために、問題を起こしそうな亡命国民を脅迫し、とりわけ沈黙させることだという。
チベットからの政治難民である一人の男性は、チベットを指示するデモに参加することを予定していた。しかしある日、友達とパリ植物園を散歩していたところ、知らない男が突然現われ、「おまえが誰であるかを知っている。殺すからな」と襲い掛かって脅してきたという。政治難民の男性は、その日初めて自分が尾行されていたことを知った。その日以降夜眠れなくなり、直後に嫌がらせ電話が始まった。昼も夜も嫌がらせを受けた末、精神的に耐えられなくなり、デモの参加をあきらめたという。
『フランス アンフォ』では、中国政府がどのように監視を行っているのか、その具体的な方法を紹介されている。
まずは小包の使用である。ある日突然、小包を受け取るために中国大使館に立ち寄るようにという電話連絡を受ける。しかし問題は、大使館は郵便局ではないという点である。中国当局の真の目的は、治外法権が認められる中国施設に本人に来てもらうことで、フランスでの活動を細かく聞き出し、本人の写真を撮ることだという。
また、香港の民主主義を訴えるデモ、チベットの独立、ウイグル人の自由を求めるデモなど、何らかのデモを行う時、見知らぬ人々が群衆に混ざってデモをする人々の写真を撮ってから忽然と姿を消す、ということが度々起こっているという。
なお、亡命者はSNSなどのITテクノロジーの使い方に気を付けているという。例えば、WeChatまたはTikTokアプリは使用しない。どちらも中国企業のテンセントとByteDanceによって開発されたもので、これらのアプリを使用すると深刻な結果を招く可能性があるからだ。これらのアプリでダライ・ラマの写真を送ったチベット人の多くが現在刑務所に入っているという。
こうした監視や嫌がらせは、中国にとって不利益とされる事柄に関わる中国人以外にも及んでいるという。レジオンドヌール勲章を授与された、フランス人の中国研究家であり、政治的抑圧の犠牲者のために戦っているマリー・ホルツマンさんは、その活動のために、家を荒らされた経験があるという。ホルツマンさんは、それは中国当局から、目をつけている、というメッセージだったと語っている。
そして、今の「習近平ほど権力を持ったリーダーは中国にはこれまでいなかったことを理解する必要がある」と指摘し、「彼の力の範囲は毛沢東を超えている。一生涯権力が保証され、世界をこれから征服しようとしている時に、彼の体制を批判するいかなるものをも許さないという姿勢のあらわれだ。」と説明している。
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