米国:中国に対抗しベトナムとの連携強化
ベトナムと米国との貿易、投資関係が拡大、半導体や鉱物分野で協議が行われている。ベトナムは米国にとって、南シナ海上で覇権を主張する対中国戦線の前線と捉えられており、領有権を主張する中国との溝が深まっている。
9月10日付米
『CNBC』(ロイター通信):「米、中国に対抗しベトナムとの関係強化」:
ベトナムは米国との外交関係を中国やロシアと並ぶ最上位国に引き上げた。
米国は数ヶ月に渡り、中国関連のリスクから世界のサプライチェーンを守る戦略として、ベトナムとの関係強化を求めてきた。長い冷戦時代から半世紀を経て、バイデン氏はハノイに到着、小学生らが米国旗を振る中、ベトナム共産党主催の歓迎式典に出席した。...
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9月10日付米
『CNBC』(ロイター通信):「米、中国に対抗しベトナムとの関係強化」:
ベトナムは米国との外交関係を中国やロシアと並ぶ最上位国に引き上げた。
米国は数ヶ月に渡り、中国関連のリスクから世界のサプライチェーンを守る戦略として、ベトナムとの関係強化を求めてきた。長い冷戦時代から半世紀を経て、バイデン氏はハノイに到着、小学生らが米国旗を振る中、ベトナム共産党主催の歓迎式典に出席した。
国際経済競争の中、ベトナムは、独自の地位を模索し、米国と中国の緊張関係の中バランス外交をしてきた。ベトナムは大国中国との関係も維持する方向で、習首席をはじめとする中国の高官が、今後数日か数週間のうちにベトナムを訪問するとみられている。一方、ロシアとの関係は、ウクライナ情勢をめぐり、米国の制裁に繋がる武器の供与合意などで不安定となっている。
米越関係強化は、安全保障面にも影響がある。現時点では武器合意の段階にはないが、米国や同盟国により、軍事面でロシアへの依存から脱却できるような提案が行われる可能性が指摘されている。両国間の貿易や投資関係がますます盛んになる一方、南シナ海でのベトナムと中国の領土対立は激しさを増している。
経済面では、半導体分野での合意が中心となるとみられる。半導体分野でのエンジニア不足から、技術訓練支援も合意に盛り込まれるとみられる。ベトナムへの「友好的移転」の重要性を強調し、グーグル、インテル、ボーイング等の米IT業界幹部は11日、ベトナムのIT幹部やブリンケン国務長官らとハノイで会合を行う。
レアアース等の重要鉱物のサプライチェーン強化も重要な課題。米国の調査によると、ベトナムは中国に次ぐ世界最大のレアアース埋蔵地とされる。バイデン氏の訪問中、同分野での合意の可能性も期待されているが具体性に乏しく、過去の米企業とベトナムのレアアース企業との契約は失敗に終わっているという。
人権問題では、活動家の逮捕や表現の自由がないことが米国当局から批判されているため、ベトナム側が善意を示し、活動家を開放する可能性も指摘されている。
同日付米『フィナンシャル・タイムズ』:「ベトナムと米国が中国への対抗措置として関係格上げ」
バイデン大統領はG20サミット開催地のインドから出発し、ベトナム・ハノイを訪問。中国が覇権を主張する中、ベトナムが米国との関係を強化。
米国は10日、「包括的戦略パートナーシップ」に合意。(包括的パートナーシップから)2つ上の最上位に格上げされた。これはかつて、中国、ロシア、インドのみだったが、昨年時点では、韓国も加わっていた。ベトナムは中国の反応を恐れ、米国との関係強化を避けてきた。
米国と同盟国は、対ロシアで世界的コンセンサスを築くようグローバルサウスを説得している。米国は、インド太平洋へ権力を広めようとする中国へ対抗するために、アジアの途上国の国々を重要視しており、ベトナムは南シナ海上で覇権を主張する対中国戦線の前線と捉えられている。
バイデン氏はベトナムとの関係の重要性を示すため、G20前にジャカルタで開かれた東アジアサミットを欠席。ベトナム戦争終結からほぼ半世紀というタイミングでの関係強化となった。
今回の動きに懸念を示した中国は、バイデン氏の訪越に先立ち、今週急遽、高官をハノイに派遣。中国共産党中央対外連絡部の劉建超氏がグエン・フー・チョン書記長と会談し、両国の「政治的相互関係強化」について協議した。
シンクタンク「シンガポール国際問題研究所」のサイモン所長は、米国側への大きな転換期であり、ベトナムはオーストラリア、シンガポール、インドネシア、日本との関係強化にも意欲を示している」とする。
安全保障面だけでなく、米国との関係格上げは、経済面、特に半導体でも重要性が増してくる。米産業への「半導体サプライチェーン支援」もパートナーシップ合意に含まれている。
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英シンクタンク、2024年の生活水準下げ止まり予測
英シンクタンクの調査によると、英国では平均的な労働者世帯で来年には2019年と比べ4%生活水準が下がると予測されている。
9月6日付英
『Guardian』:「2024年労働者の生活レベルは2019年より低下との予測」:
低中所得世帯を調査する英シンクタンク「Resolution Foundation」によると、来年、平均的な国民では4%生活レベルが下がる一方で、安泰なのは富裕層の年金生活者だという。
英国の労働者の生活水準は、次期総選挙を控えた来年下げ止まり、2019年よりも落ち込んでいると予測され、報告では、「英国世帯はこれ程貧困を経験したことがないレベル」だという。...
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9月6日付英
『Guardian』:「2024年労働者の生活レベルは2019年より低下との予測」:
低中所得世帯を調査する英シンクタンク「Resolution Foundation」によると、来年、平均的な国民では4%生活レベルが下がる一方で、安泰なのは富裕層の年金生活者だという。
英国の労働者の生活水準は、次期総選挙を控えた来年下げ止まり、2019年よりも落ち込んでいると予測され、報告では、「英国世帯はこれ程貧困を経験したことがないレベル」だという。
住宅ローンの上昇、税金の急激な引き上げ、経済の低迷により、1950年代以降の統計史上5カ年間で最も低い所得となっている。
エコノミストは、「来年の所得の安定予測が多くの世帯により安心材料となるが、生活水準でみると、先行きは厳しく、より低所得層でダメージが大きい」とする。
別の調査によると、来年の景気悪化は、EU離脱による貿易減少を一旦とする欧州および各国への輸出量の減少によるものだという。
英国商工会議所 (BCC) の四半期予測によれば、今年、英国は不景気を回避できたが、「経済指数は危険信号」で今後2年は「深刻な低成長」だとしている。
シンクタンクのアナリストは、平均的な労働者世帯では、2024~25年の所得は2019~2020年に比べ4%減少、2005~2006年から2010~2011年の1%減少を大きく上回る。
一方で改善している点としては、インフレ率が昨年の11.1%から今年7月は6.8%に下がっており、金利引き上げは数ヶ月で終了すると見られている。ローン金利高や家賃高、増税、財政悪化により回復は遅れるとみられる。
金利上昇により貯蓄を持つ人々が恩恵を受けている。来年の金利による総収入増加で、貯蓄が多くローンのない年金受給者が最も有利となる。65~74歳の世帯では、35歳未満の世帯より、平均6倍の収入増となっている。
最貧困層(平均所得の4割と定義)の数は、来年30万人増加し、2024年には1200万人に達するとみられている。
同日付英『フィナンシャル・タイムズ』:「次期選挙まで英国民の生活水準は下げ止まりか」
英シンクタンクの調査によると、英国では労働者世帯で来年までに生活水準の改善はみられそうにない。
「The Resolution Foundation」が6日、インフレ緩和の影響で、平均賃金が消費者物価価格より早いペースで上昇している一方、所得は高額増税やローンの支払い、政府による生活費支援の終了により相殺されると発表。課税最低額は2028年まで固定されており、税控除後の所得の回復は遅れる見通しとしている。
労働者平均では、可処分所得が横ばい、過去2年では4%の減少を予測。政府による支援で最も恩恵を受けてきた最貧困層の半数世帯では、1%の可処分所得の減少も予測されている。
このような経済状況から、スナク英首相は、パンデミック以降の経済回復を示す最新データがある一方で苦しい選挙戦となるとみられている。
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